モンゴリアンB・B・Q

劇場公開日:

解説

現実と伝統のはざまで悩み、苛立ち、青春を彷徨う男女の姿を描く。脚本・監督は新人の三輪誠之。撮影は「鉄拳」の笠松則通がそれぞれ担当。

1990年製作/74分/日本
配給:エンボディメント・フィルムズ
劇場公開日:1990年12月14日

ストーリー

とある刑務所の表、ゲートの前に止められた車の中で健とアキちゃんが精二の出所を待っていた。そして刑務官に連れられて出て来る精二にシャンパンを抜き、出所を祝う健。だが二人には会わなくてはならない女とその子供がいた。由緒ある狂言師の家に生まれた健は、舞扇師の家に生まれた精二と共に兄弟のように育ち修業を続けてきた。やがて精二は扇師としての道を歩み始めるが、保守的な伝統の世界を飛び出そうとした健はそれによって通い始めたバレエスタジオで七重と出会い、恋におちる。健から七重を紹介された精二はある直感で結ばれるが、健はそれに気付きながらも不安と同時に奇妙な安堵感を抱いていた。こうした不思議な愛情で結ばれる三人に、ある日子供ができる。そして七重の出産が近づいた時、健を横に乗せ無免許で車を疾走させていた精二は、七重の目の前で彼女の両親をひいてしまう。六年後、出所した精二と健は、精二を逮捕した警官の建守さんのいる交番を訪ねる。彼は娘の真魚ちゃんの合図を得ては、紐つきの警棒を投げて暴走する車やバイクを仕止めていた。そして、七重と再会した健と精二は、澄んだ瞳と背中に青いアザを持つ息子の一太郎を交えて、サナトリウムの庭で親子四人で遊ぶ。辛い現実を飛び越えてやって来たかのような一太郎の姿を目にした健と精二は、その新しい子供達の国を造ろうとする。そして遂にその時がやって来た。銀行の貸金庫に押し入る健、精二、七重は札束を抱えて逃走し、三人を乗せた車は建守さんの交番に向かって飛び込んでいく。その時、不意に健の身体がワイヤーロープで釣り上げられた。空を舞うように飛んでいく健。そのクレーン車を操縦していたのは一太郎だった。

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