劇場公開日 1961年3月1日

もず(1961)のレビュー・感想・評価

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3.0病院へ行こう

2021年1月16日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

 女優の魅力を存分に引き出した作品ではあるが、プロットそのものは面白くない。母と娘の確執というほどの争いはないが、戦争が終わってから会ってないところから推察するとかなり苦労した母親。それでもパトロン藤島のおかげでやっと生きているといった感じだ。身をくずした母を見かねて美容師として稼いで母親と暮らそうとするさち子。

 一緒に暮らし始めたはいいが、母と娘はけんかばかり。それでも喧嘩が終わると母への愛が感じられる。その経緯の台詞のやりとりが絶妙だ。

 終盤は母が不治の病で入院。別れたパトロンに入院費を出してもらおうと迫るが、別れてしまった者には愛情のかけらもない。ましてや治らないとわかっている女に・・・映像には表れてないが、その藤島に抱かれ金をもらったさち子。まぁ、’61年作品だからしょうがないけど、金のために抱かれる心情をうまく表現できたらもっと凄まじい映画になってたかも。何しろ、その直前には松山からやってきた男(川津)に求婚され、それを諦めたばかりなのだ!そして、母と同じように身をくずしてしまい(とは言っても一度だけだからすぐに立ち直れそう)、病院へ行くと一足遅かった・・・そして母が握りしめていた袋の中にはさち子名義の預金通帳。死んでから母の娘に対する温かさに気付いたさち子だった・・・最後の急展開はなかなかよかった。

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kossy

4.0人間ドラマの佳作

2015年3月29日
フィーチャーフォンから投稿
鑑賞方法:映画館

楽しい

東京の下町を中心とした女のドラマは、主演の淡島千景を始めとして有馬稲子、山田五十鈴、乙羽信子、桜むつ子といった出演者達のアンサンブルが素晴らしいの一言。
更に中盤では、高橋とよさんによる楽天野村監督をも遥かに凌ぐ、ぼやきの連続で観客を大いに笑わせてくれる。

淡島・有馬コンビによるウェットでドライな母娘関係も絶妙だが、渋谷監督の描く風俗描写もまた見事。
男に媚びながら生きて行かなければならない悲しい女の生き方を通して映し出される戦後。
時折ハッとさせる場面が何度となく見受けられ、人間ドラマの佳作と言って良いでしょう。

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松井の天井直撃ホームラン