燃える勇者
劇場公開日:1981年12月19日
解説
ある地方都市を訪れた青年が、偶然に知り会ったルポライターとともに、その都市を支配する企業の悪事を暴露するまでを描く。脚本は「真田幸村の謀略」の松本功、「アゲインスト むかい風」の中島貞夫、そしてこの作品で監督としてもデビューする土橋亨、撮影は井口勇がそれぞれ担当。
1981年製作/90分/日本
配給:東映
劇場公開日:1981年12月19日
ストーリー
アフリカで両親と暮らしていたジョーは、内乱にまきこまれて死んだ父、母の遺骨を持って帰国した。用事を済まし、アフリカ行の船に乗ろうと神戸に向う貨車に飛び乗るが、眠っているうちに、とある地方都市に辿りついてしまった。そこで、街中で暴れる馬を見つけ、慣れた動作で馬を静めたジョーは馬の持ち主、坂本和平の家に世話になることになった。和平は、息子夫婦を早く亡くし、孫娘の和代と暮らしている。その日は和代の十五歳の誕生日で、家に寄りつかない地方紙の記者をしている兄の文男がプレゼントを持ってきた。翌日、その文男は、泥酔運転で海に車ごと落ちて死んだ。「兄はお酒は好きでなかった」と事故を不審に思う和代。葬儀に、兄の友人だったというルポライターの西条という男が現れ、兄は、この都市を支配する大矢グループの悪事の証拠を見つけたために殺されたと言う。証拠を見つけたら大矢に高く売りつけようという西条の不純な動機に、ジョーは協力を拒否した。そんな時、街で知り会ったギター弾きの勝とクーコが、大矢の経営するクラブに勤めることになる。ジョーは西条とは別に、文男のことを調べるが、この街は政治、経済の全てを大矢グループに頼っており、誰もが、多くを話したがらない。やがて、ジョー、西条に大矢の圧力がかかるようになり、暴走族に襲われ、被害者でありながら留置されてしまう。そこには、彼らを助けた大矢運送の運転手、梶も入れられていた。梶はジョーたちを助けたことでクビにされたのだ。翌日、そこを出るジョーと西条。その頃、金が欲しくて西条に協力していた勝は、幹部の電話に盗聴器を取り付け、テープを手に入れるが、見つかってしまい、クーコは殺され、勝は腕に傷を負う。病院に勝を連れていったジョーと西条のところに、和代から電話が入り、誕生日のプレゼントに証拠が隠されていたという。そして、大矢はグループの経営悪化の打開策として、青酸ガスを作って輸出しようとしていることを知る。武器を作っていると予想していた西条も、毒ガスと聞いて、その非情さにジョーに協力することになる。しかし、その電話を聞いた看護婦がいち早く幹部に連絡、配下の者が坂本の家に向った。さらに、テープから、毒ガスの出荷が明日と分かり、ジョー、西条、勝の三人は工場に向う。途中、坂本家に寄ると、和代は連れ去られ、和平は殺されていた。三人は工場に忍び込む。敵を倒し、あと一歩というとき、陣頭指揮する大矢と、和代、毒ガスを積んだ貨車が出発した。さらにジョーをかばって勝が敵の銃に倒れた。貨車に飛乗ったジョーと西条は、次々と敵を倒し、西条の銃弾が運転士、大矢に命中するが、和代と毒ガスを乗せたその車輛が切り離されて、暴走を始めた。もし、ガスの容器が壊れると、和代はもちろん、この都市の生命はなくなる。ジョーは吊り橋に縄をかけ、走ってくる暴走貨車へ飛んだ。急カーブを前にブレーキをかけるジョー。貨車は火花を飛ばしながらやっと止った。