三たびの海峡

劇場公開日:

解説

日本に強制連行された朝鮮人男性の半生を描く大河ロマン。監督は「ひめゆりの塔(1995)」の神山征二郎。原作は吉川英治文学新人賞を受賞した帚木蓬生の同名小説で、「君といつまでも」の加藤正人と神山との共同脚色。撮影は「ひめゆりの塔(1995)」の飯村雅彦、音楽は「EAST MEETS WEST」の佐藤勝がそれぞれ担当している。「釣りバカ日誌7」の三國連太郎、「東雲楼・女の乱」の南野陽子ほか、オールスター・キャストによる、日本映画初の本格的韓国ロケーションを敢行した作品。

1995年製作/123分/日本
配給:松竹
劇場公開日:1995年11月11日

ストーリー

韓国・釜山。70歳の河時根の元へ、戦時中ともに徴用で連行された在日韓国人の同胞・徐鎮徹が訪ねて来た。日本のことを一切断ち切っていた河の脳裏に、50年前の過去が蘇ってくる。太平洋戦争末期、若き河は北九州の小さな炭坑に連行され、朝鮮人を人間と思わず牛馬のようにこき使う日本人の労務監督・山本三次の下で地獄のような日々を過ごした。脱走を謀る者へは凄まじいリンチが加えられ、労働争議を起こした金などは自殺に追い込まれた。河はついに脱走を決意し、見回り労務を殺して逃走。アリラン集落に匿われ、そこからさらに飯場に送り込まれて追手から逃げきった。そこで働き始めた河は、若い戦争未亡人の日本人・千鶴と秘かな恋におちる。やがて日本は敗戦を迎え、徴用で連行された朝鮮人たちも解放された。河が未払いの給料を炭坑に受け取りに行くと、あの山本は以前とはうって変わった態度で手続きを助けるのだった。折しも千鶴は河の子供を身ごもっており、河は千鶴とお腹の子供を連れて海峡を渡り故郷・韓国へ戻ることになる。故郷の慶尚北道の小さな村では、日本人女性を連れた河は村八分にされるが、村外れの小屋にやっかいになって千鶴は男の子を出産した。そんなささやかな幸せも束の間、千鶴は置き手紙を残し、子供を連れて日本へ帰ってしまう。以来河は日本のことを忘れ今日まで過ごしてきたが、不治の病に侵された今、さまざまな思いを込めてもう一度日本を訪れる決心をした。日本に来た河はかつての軍属や同胞を訪ね回り、かつての炭坑の側で眠る仲間たちの墓を訪れる。あの山本は、今はこの土地の市長となって再選の選挙に臨んでいた。河はまた今は亡き千鶴ともうけた息子・佐藤時郎と対面し、時郎の許しを得て彼の家族とも引き合わせてもらう。時郎の家族からも暖かく迎えられた河は、次に山本と会おうとした。半ば脅迫して山本を呼び出した河は、炭坑の側の墓へ彼を連れていき、墓に謝ってくれと叫ぶ。だが山本は昔は昔だと取り合わず、河に対して金まで用意していた。河と山本は揉み合いになり、弾みで河は山本を殺してしまう。そして、河もまた病のために力尽きるのだった。それは河にとって50年目の戦争だった。

全文を読む(ネタバレを含む場合あり)

スタッフ・キャスト

全てのスタッフ・キャストを見る

受賞歴

詳細情報を表示

フォトギャラリー

映画レビュー

映画レビュー募集中!

この作品にレビューはまだ投稿されていません。
皆さまのレビューをお待ちしています。
みんなに感想を伝えましょう!

レビューを書く