卍(1983)のレビュー・感想・評価
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ハーレイダビッドソンの男
雑な立ち上がりには正直閉口するところ。体あたりの演技というか、女優ふたりに取っ組み合いさせているだけのようでもある。肝心の性愛の芽生えに説得力はない。樋口加奈子の屋外放尿だとか、なんの脈絡もなくでてきて消え去る梅宮辰夫だとか、そのB級感に苦笑い。
しかし、天真爛漫でありながら尖った才気を放つ樋口加奈子には若さがもつ魅力と危うさがあり、優柔不断ながらも男臭さがムンムンの原田芳雄の掛け合いは、妙に馬があっていて、原作を裏切るラストシーンに説得力をもつ。文藝作品が題材ながら、3人による取り調べコント展開はシュールで秀逸。B級だからの良さ。
あなたのお父が好きよ
谷崎潤一郎原作の泥沼三角関係物語。序盤はかなり無理な展開。万引きしたことを見られたと思い、光子の後をつける園子。途中、光子も亀の子だわしを万引きしていたように思えたが、銀のスプーンとじゃ値段が違い過ぎる!いやはや、なんでまたタワシを・・・。マンションまで突撃し、何でもするから許して!と懇願する園子。床に零れたミルクを舌で舐めさせられるというSMチックな主従関係・・・そこから二人のレズビアンな関係が始まったのだ。
樋口可南子と高瀬春奈の裸体がそれぞれイヤらしい。そんな二人に絡むのが園子の夫である原田芳雄。途中は海岸でのブルーから真っ赤に染まる海がとても文学的で美しく、終盤の独創的な取り調べ劇なんてのが面白い。園子の自虐的、やっちまった感が映し出されると、美しいも何も、後戻りできない辛さがにじみ出る。それでも夫の「一からやり直そう」という優しい言葉と光子の罵倒の声。あまりにも演劇じみてきて、ちょっと萎えてもくるが、生理=赤というイメージが瞼に焼き付くかのようだった。2006年版よりかは心に残る作品(樋口効果かもしれないが)。
樋口さん綺麗★
自分神戸生まれなので、樋口さんの喋る神戸弁凄い好きだ〜 ちょうど私が生まれたくらいに公開されたよう。樋口さん今ではソフバンのママというイメージしかない。
男女の仲っていつの時代も一緒なんだなあと感じた〜
バンザイ!原田芳雄!!ビバ!!!高瀬春奈!!!!
主婦が若い女性に惹かれる同性愛を描いた谷崎潤一郎原作の映画化。
冒頭で壮絶なキャットファイトから一転、ネチネチと絡み合うレズビアンセックスに発展する2人の関係性は鬼気迫る爆発力が有る。
床に零れた牛乳を舐める高瀬の舌の矛先が、樋口の乳首へとスライドしていく生々しさは今作の粘着質な性描写の象徴と云えよう。
樋口はワガママ言いたい放題で、高瀬は困りながらも見守っていく距離感は母娘に通ずる愛にも感じた。
高瀬のボロ〜〜ンと重量感たっぷりに顔を出す真ん丸バストが癒やしとエロスの貫禄を兼ね備えた母性愛を象徴している。
しかし、高瀬の旦那で刑事の原田芳雄が介入し、3人の同棲生活を始める事で嫉妬やセックス観が入り混じり、各々の絆が激変。
どんどん破綻へと突き進んでいくエキセントリックな展開に顔をしかめるが、原田芳雄の軽妙なアドリブが冴えてドラマの深刻化を和らげているのが救いだ。
ふくよかな高瀬のポッチャリ体型と、樋口のスレンダーヌード、そこにガッチリした原田のワイルドボディが合体する奇妙なバランスが、様々に重なり合っていて興味深い作品であった。
最後に短歌を一首
『乳の味 しつこく舐める 舌触り 紅く埋めし 恍惚の絵や』
by全竜
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