マルサの女2

劇場公開日:

解説

マルサ(国税局査察部)の地上げ屋や宗教法人に対する戦いを描く。「マルサの女」シリーズの第二弾で、脚本・監督は同作の伊丹十三、撮影は「いとしのエリー」の前田米造がそれぞれ担当。

1988年製作/127分/日本
原題または英題:A Taxing Woman's Return
配給:東宝
劇場公開日:1988年1月15日

あらすじ

マルサこと国税局査察部査察官・板倉亮子に、東京大学を卒業したばかりという部下がついた。亮子はある地上げ屋の脱税を追求していたが、その裏にはもっと大きな力がうごめいていた。それはヤクザであり、宗教法人であり、さらに大物政治家までもが絡んでいた。宗教法人というのはいくらお金をもうけても税金はかからない。そこに目をつけた悪人たちは、宗教法人を隠れミノに金儲けを企む。亮子たちは地上げ屋を繰る鬼沢鉄平という天の道教団の代表に目をつけ調査を始めるが、なかなかシッポをつかまえることができない。亮子らはあるとき税務署員を装い教団へと潜入するが、教徒らによって追い出されてしまった。地上げ屋のマンションの住人や大衆食堂に対する横暴が続く中で、何億円という巨額な金が動いていた。しかし、亮子たちが証拠をつかもうとすると、次々にトカゲのシッポを切るように人が殺されていく。いよいよ脱税の確信をつかんだ査察部は、天の道教団へ乗り込み、証拠書類を押収。鬼沢鉄平を取り調べまで追い込んだ。しかし、最後まで鬼沢は口を割らず挙句の果てに自ら顔を壁にぶつけて血だらけになりながら、「国税局は納税者を拷問にかけるのか」とすごむ始末。しかし、そんなとき取り調べ室まで狙撃された。鬼沢までトカゲのシッポでしかなかったのか。やがて鬼沢の腹心・猫田が死体となって発見され、鬼沢は身重の愛人と巨額の財産を隠していた自分の墓に逃げ込み高笑いし続ける。鬼沢の地上げした土地ではビルの着工を前に地鎮祭が行われ、鬼沢を背後で操って自らは手を汚すことなく利益を得た大臣・代議士・企業幹部が談笑する。その姿を少数の同僚とともにフェンス越しに隠れて見つめていた亮子は、やりきれなさに唇を噛む。

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スタッフ・キャスト

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受賞歴

第12回 日本アカデミー賞(1989年)

ノミネート

監督賞 伊丹十三
脚本賞 伊丹十三
主演女優賞 宮本信子
音楽賞 本多俊之
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映画レビュー

3.5鬼沢「日本人は村人だ!のぞき魔だ!下衆だ!」

2025年5月27日
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鑑賞方法:DVD/BD

怖い

興奮

知的

鬼沢鉄平(三國連太郎)「日本人は全部村人だ、全部のぞき魔だ!全部下衆だ!他人の不幸がなにより好きなんだよ」

1988年公開作品
洞口依子60歳
当時23歳
可愛かったね
昔の映画である

監督と脚本は『お葬式』『タンポポ』『あげまん』『ミンボーの女』『スーパーの女』の伊丹十三

伊丹監督の代表作『マルサの女』の続編
伊丹監督唯一の続編
監督の話では前作は入門編で本当に撮りたかったのはこっちだという

マルサVS宗教法人兼地上げ屋
地上げ屋のバックには大物政治家

前回はラブホテルの経営者が納税を誤魔化しているだけでは今回の敵はまさしく極悪人
これなら対立する税金取りの肩も持てそうだ

やはり三國連太郎はこういった好色なアクの強い悪役がよく似合う
『釣りバカ日誌』のスーさんも悪くないけど

流石にマルサの自覚か今回寝癖はない板倉亮子

配役
マルサの女の板倉亮子に宮本信子
国税局査察部統括官の花村に津川雅彦
国税局査察部管理課長の佐渡原に丹波哲郎
国税局査察官の伊集院に大地康雄
東京大学出身の大蔵省キャリア官僚で国税局に異動した三島に益岡徹
東京大学出身の大蔵省キャリア官僚
国税局査察官の金子に桜金造
港町税務署員で亮子の後輩の秋山にマッハ文朱
港町税務署員で亮子の後輩の山田に加藤善博
表の顔は「天の道教団」管長であるが裏の顔はやくざ集団『鬼沢一家』の組長でその上宗教法人を隠れ蓑に脱税する地上げ屋の鬼沢鉄平に三國連太郎
「天の道教団」教祖で鬼沢の妻だが夫の女癖の悪さに悩まされ毛皮のコートなどを衝動買いしてしまう赤羽キヌに加藤治子
鬼沢の家の女中で教祖キヌの側近で「繁子」の源氏名で銀座クリスティーンのホステスとしても働いている受口繁子に柴田美保子
表の顔は教団の幹部であり裏では多数のヤクザを操る鬼沢の腹心の猫田に上田耕一
猫田配下のヤクザで鬼沢の立ち上げたダミー会社「マサインターナショナル」の社長に就任し地上げを行うチビ政に不破万作
猫田配下のヤクザでマルサに押収された鬼沢の秘密のノートを取り戻そうと合鍵で国税局の倉庫へ忍び込むが脱出に失敗し逮捕されるサダオにきたろう
猫田配下のヤクザでチビ政の手伝いに任命されダミー会社経営と地上げを行うハカセに佐藤昇
鬼沢の運転手に長江英和
サラ金に追われ鬼沢に娘を「担保」に差し出して助けを求める顔に大きなアザのある駅の手荷物預かり所の主任の奈々の父親に市村昌治
父親の借金のカタとして鬼沢の愛人にされた少女の奈々に洞口依子
鬼沢の地上げのターゲットで大衆食堂「日の出食堂」の主人に小鹿番
日の出食堂のおかみさんに菅原ちね子
写真週刊誌のカメラマンで鬼沢の地上げのターゲットの清原に石田弦太郎(石田太郎)
ヤクザから日々嫌がらせを受け疲労困憊しマンションを明け渡すように夫に言う清原の妻に結城美栄子
大学教授で鬼沢の地上げのターゲットの米田に南原宏治
鬼沢が経営するクラブ「黒猫」にかつて勤めていホステス一筋の女に岡本麗
店の常連であるキヌに4500万円の毛皮のコートを売る毛皮店主人に浅利香津代
ソープ嬢のもえよに村井のりこ
店長の女で店の売上金を中央駅の手荷物預かり所への運び役でもある足が不自由なソープ嬢のマリちゃんに神林泰子
海に浮いた地上げ屋の水死体を見つける警官に三谷昇
ヤクザが怖くて持ち込まれたドーベルマンを黙認する地上げのターゲットのマンションの管理人に武内文平
嫌がらせに耐えかねた清原の妻の通報により出動するマンションの警官に舟田走
三島が屋根の上で張り込みをする家の主人に里木佐甫良
還俗していたが鬼沢が教団を立ち上げる際に言葉巧みに僧服を着せられ写真を撮られる元・僧侶に笠智衆
税務調査に入った亮子たちに激しく抗議して追い出す信者代表に岡本信人
税務調査に入った亮子たちに激しく抗議して追い出す信者代表に久保晶
夫の暴力から逃げ出した女に変装した亮子を受け入れ教団の説明をする咥えタバコにハートの形の髪型がトレードマークの老婆に原泉
黒幕達にとって邪魔な存在となったチビ政を射殺する鉄砲玉に丹野由之
人手不足で対応しきれない「天の道教団」の所轄庁の担当職員に矢野宣
ビルの地鎮祭で地上げについての噂を語り合う商社員に高橋長英
ビルの地鎮祭で地上げについての噂を語り合う商社員に成田次穂
与党の代議士で「委員長」と呼ばれている「陰の巨悪」で国税局にも圧力を加えてくる漆原に中村竹弥

与党の代議士で漆原の派閥腹心で地上げ屋として鬼沢を紹介する猿渡に小松方正

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野川新栄

3.0続編的な映画を夢見ても叶わないことが残念

2025年3月22日
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鑑賞方法:映画館

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知的

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ねこたま

5.0三國連太郎氏演じる鬼沢鉄平、完全に本作の主役でしたね。 意気軒高とバブルの波に乗るが、最後は黒幕たちの捨て駒になる男の栄枯盛衰、悲哀が滲み出ていました。

2025年3月20日
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鑑賞方法:映画館

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楽しい

興奮

2月21日(金)からTOHOシネマズ日比谷さんで開催されている「日本映画専門チャンネル presents 伊丹十三 4K映画祭」(監督作品を毎週1作品、計10作品上映)も早いもので4週目。本日は『マルサの女2』(1988)。

『マルサの女2』(1988/127分)
前作『マルサの女』(1987)から1年後の公開。
伊丹監督曰く「前作はマルサの入門」と語るように本作では、バブル最盛期で狂乱する東京で、汚職政治家、地上げ屋、新興宗教、建設業者、商社、銀行の魑魅魍魎が跋扈する悪くてセコイ奴らのオールスターをリアルに、かつコミカルに描いています。
中でも彼らが冒頭で高級タラバガニを下品に食べるシーンが、彼らの本質や性格を一発で表現、食のシーンにこだわる監督の真骨頂、お見事です。

本作では『悪い奴ほどよく眠る』のように最終的には諸悪の根源を絶つことができず、スカッとカタルシスを感じることはできませんが、その後リクルート事件(1988)やサリン事件(1994)が発生、本作と現実が地続きのように感じますね。

前作に引き続き国税局査察部(マルサ)のメンバーも魅力的ですが、若き東大出身大蔵省キャリア官僚を演じた益岡徹氏の若々しい演技も良いですね。

特に三國連太郎氏演じる鬼沢鉄平、完全に本作の主役でしたね。
意気軒高とバブルの波に乗るが、最後は黒幕たちの捨て駒になる男の栄枯盛衰、悲哀が滲み出ていました。
この当時の三國氏は『利休』(1989)『息子』(1991)『ひかりごけ』(1992)『夏の庭 The Friends』(1994)など名作に出演、円熟味を増した演技でまさに怪優でしたね。

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矢萩久登

3.0板倉亮子の存在感が薄くないか?

2025年3月19日
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興奮

前作の方がワクワク感に溢れていた。
税務署の調査官から国税庁査察部に抜擢され、権藤を追い詰めるまでの彼女の奮闘振りに釘付けになったが、本作品では彼女よりも宗教団体に隠れている蓑にしている鬼澤の悪賢さに面白みを感じた。
三國連太郎の悪っぷり、お見事です。

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ちゃ坊主

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