「観終わった時、ずしりとした感動が残っていました」祭りの準備 あき240さんの映画レビュー(感想・評価)
観終わった時、ずしりとした感動が残っていました
登場人物と舞台の説明で終始する前半はかなりの辛抱が必要でした
ところが後半のタマミが帰ってくる辺りから、急激に物語が走り始め面白くなります
前半の長い、息の詰まるような退屈なそれぞれの人物の背景説明が、まるで自分がその村に生きていたかのように効いてくるのです
冒頭の籠の鳥は主人公の暗喩であり、終盤に主人公自ら逃がします
浜の棒杭に巻き付いた赤い布は何でしょうか?
駅のある町と村を結ぶバスは赤いラインがあります
そして主人公がある決意をするきっかけは火事です
赤い布は棒杭に巻き付けられていて飛ばされはしません
長い間巻きつけられて赤い布はボロになりつつあるのです
広い大海原から強い風が吹いています
この村の浜の先の水平線の向こうから吹き寄せています
祭りのシーンはありません
祭りは村にも町にもありません
祭りは水平線の向こうの東京にあるのです
窒息しそうな田舎の村のこの日々は祭りの準備だったのです
走りさる列車を走りながら万歳をして見送る地元の原田芳雄が演じる悪友のシーンに祭りに向かう高揚があります
赤い旗は夏の間海水浴客に遊泳禁止を告げていた旗でしょうか?
もちろん、共産党の赤旗のつもりだったのでしょう
そんなことはこれっぽっちも匂わせていません
でも残り香があるのです
そんなことはさておき、観終わった時、ずしりとした感動が残っていました
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