「沢田研二の天草四郎!シリーズ化して欲しかった」魔界転生(1981) あき240さんの映画レビュー(感想・評価)
沢田研二の天草四郎!シリーズ化して欲しかった
主演は千葉真一
なのに観終わってみれば、頭の中に残っているのは沢田研二の天草四郎だけなのだ
なんという強烈なビジュアル!
日本映画屈指のキャラクターの誕生だ!
本作だけなのはもったいなさすぎだ
沢田研二の類い稀な美形
それが青白いメイク、爬虫類のような特殊な金色の瞳、辻村ジュザブローによる見事な西洋風衣装
脚本は正直あまりよろしくない
しかし佳那晃子の演じる細川ガラシャを登場させたのは素晴らしい
ホームラン級の発案だ!
原作には登場しない人物であるのに、これだけで一気に山田風太郎の世界に本作を近づけている
アクション、グロ、エロの三要素が揃ってこそ山田風太郎の世界だ
もっともっと、エロ要素が強くても良かったのではないか
アクションに寄り過ぎに感じる
沢田研二×真田広之のキスシーンも素晴らしい
自分にはその趣味はないが、背徳性を強調した見事な演出だと感嘆した
そして、美術、衣装、監督の演出がノリノリで脚本の荒削りなところをカバーしている
クライマックスの江戸城炎上シーンは素晴らしい映像だ
本当にすごい
CG や合成では出せない迫力だ
その紅蓮の炎の中での柳生父子の対決と天草四郎との最終決戦
もうこれで全て許せてしまう
キービジュアルの魔法陣も素晴らしいアートワークだ
海外でも評価が高いようだ
タランティーノがキル・ビルで、千葉真一による刀鍛冶のオマージュシーンを入れているのは有名
今回改めて気づいたのは、1982年のジョン・ミリアス監督のコナン・ザ・グレートが本作のオマージュをふたつ取り入れていたこと
大好きな作品なのに今回初めて気づいた
ひとつは幼少期のコナンの村が襲撃されるシーン
これは伊賀の隠れ里への甲賀衆の襲撃を参考にしているのは疑いもない
本作を観たなら一目で元ネタだとわかる
そしてもうひとつは瀕死のコナンを死霊から守るために魔術師のマコが、彼の全身に経文を書くシーンだ
もちろん、それは耳なし芳一のモチーフなのだが、じつは本作の柳生十兵衛の魔物と化した父と戦う姿からの由来だったのだ
沢田研二の天草四郎、シリーズ化して欲しかった