牡丹燈籠

劇場公開日:1968年6月15日

解説

中国に伝わる怪談と、三遊亭円朝の怪談を素材にして、「悪名十八番」の依田義賢が脚色し、「座頭市牢破り」の山本薩夫が監督した怪談もの。撮影は「怪談雪女郎」の牧浦地志。

1968年製作/88分/日本
原題または英題:The Bride from Hades
配給:大映
劇場公開日:1968年6月15日

あらすじ

盆の十六日。燈籠流しの宵に旗本の三男坊新三郎は、吉原の遊女お露を知った。その夜、新三郎の住居を訪ねたお露と下女のお米は、武士の娘でありながら吉原に売られた不幸な身の上を語った。新三郎は、三男坊で長屋暮しをしている自分と同じように、お露が非情な社会の仕組の犠牲者であることに胸をつかれた。そしてお米のたっての頼みから、せめて盆の間だけでもと、お露と祝言の真似事をして契りを結んだ。一方同じ長屋に住む伴蔵が、この有様を覗きみた時、お露の裾が消えているのに仰天、易者の白翁堂に駆け込んだ。伴蔵から様子を聞いた白翁堂は、翌日、新三郎の顔にまざまざと死相を見て驚き、新三郎にそれが悪霊のためだと言う。一方、伴蔵はお露とお米が、最近自害して果てたことを聞き込んできた。新三郎は信用しなかったが、二人の女の墓を見ては信用せざるを得なかった。その夜、再び現われたお露に、新三郎は狂ったように斬りつけた。しかし、お露は新三郎の心変りを悲しみ、哀れな運命を物語った。そんなお露の姿に、新三郎は心をうたれ、ひしと抱きしめるのだった。やがて新三郎は日毎にやせ衰えて行った。長屋の人はそんな新三郎を心配し、また悪霊の退散を祈願して、新三郎を籠り堂に閉じ込め、護符を張りめぐらした。そのため、お露とお米は仕方なく一度は帰ったが、金につられた伴蔵が、護符の一枚をはがした。お露とお米の二人は喜んで手をとり、戸口の隙間から吸い込まれるように入っていった。一夜あけて、白翁堂や長屋の人たちが新三郎の身を案じて入ってみると、新三郎はこと切れ、彼の首にしゃれこうべがすがりつき、その脇にもう一つの女の骸骨が横たわっていた。

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スタッフ・キャスト

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映画レビュー

4.0 【”カランコロン・・。戸を開けておくんなまし・・。”お盆に観る怪談なら、ヤッパリ牡丹燈籠だね!哀愁漂う日本怪談。】

2025年8月18日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

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■盆の晩に燈籠流しをしている時に、遊女のお露と付き添いのおよねと知りあった新三郎。お露の不幸な身の上を聞き、盆の間だけでもと、お露と祝言の真似事をして契りを結ぶ。
 同じ長屋に住む伴蔵がこの様子を見て、お露の裾が消えているのに仰天し、やがて、お露とおよねが身の不幸を嘆き最近自害して果てたことがわかる。

◆感想

・牡丹燈籠と言えば、怪談噺かと思ったが、映像化されていたとはなあ。

・新三郎が蚊帳を吊った中で、お露と契りを結ぶシーンが何ともエロティックでありながらも、恐ろしく切ない。

・お露と付き添いのおよねが亡霊であると知った白翁堂が、新三郎が籠るお堂に、お札を貼り、それを見たお露と付き添いのおよねが戸の外から弱弱しく声を掛けるも、新三郎が貧しき子たちのために読み書きを教えるために生きるというも、欲に目がくらんだ伴蔵夫婦が、お露と付き添いのおよねが金二百両を求めてお札を一部破ってしまう所からの、新三郎もお露を室内に入れてしまう姿。

<伴蔵夫婦が、金を盗られた盗賊に切り殺されるシーンなども、因果応報である。が、今作は美しくも哀しき怪談である事には、間違いはないであろう。
 お盆は、死者が戻って来る時期故に、今作を観るのも趣が有るであろう。>

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NOBU

3.5 途中から 落語になってしまって

2025年2月22日
PCから投稿

残念ではあるが それは作劇上、致し方なかったであろう
この作品は何と言っても前半の幽霊が出てくるその雰囲気を味わう映画だから。ワンシーン ワンシーンをじっくりと撮り、観るものを この映画の世界へ いざなっていく、その情緒感のようなものがとても良かった。このレンズの持つ味わいとか風景とか風俗とかが全て上手く溶け合っていると感じた。時々 急にアップになる役者の顔なんかも ホラー ものとしてうまく効いていた。西村晃の絶妙な 演技によって ホラーとコメディのバランスというものが取れていて そこら辺が最後まで破綻 なく繋がっていて 映画としても良かった
まぁ、チャイニーズゴーストストーリーには負けてるけどね。

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KIDOLOHKEN

4.0 ザ・怪談。

2021年8月10日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:映画館

牡丹燈籠って長いお話みたいだけど…だいぶはしょってまとめられてるのかしらん。元話を読みたくなった。ちょっと意外だったのは幽霊のおどろおどろしさと、どこにでも誰にでも堂々と現れちゃう大胆さのうまいミックス具合。大人になってみても怖く感じるから子供時代にみたらトラウマだな。それにしても新三郎さん、親切にしたのに祟られる…可哀想すぎる…。

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peanuts

4.5 昔の美人は本当に美人!

2021年2月17日
iPhoneアプリから投稿

とにかく目の保養になる映画、そして欲を出すとバチが当たるという教訓も含まれた良い映画。

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承太郎

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