劇場公開日 1988年4月16日

「凄い映画」火垂るの墓(1988) さくさくさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0 凄い映画

2025年8月20日
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鑑賞方法:TV地上波

悲しい

怖い

知的

最初に劇場で見た時は、トトロと同時上映でした。トトロで心が暖かくなったあとにこの映画を見ました。
当時は完全入れ替えではなかったかと思うので、順番が逆だった方もいると思います。
逆の方が救われたかもしれません。
ちなみに節子はトトロに出てくるサツキと同い年だそうです。
当時の彼氏と一緒に見て、私は号泣してしばらく席から立つことができず、彼氏はお涙頂戴が嫌いな人だったので、かなり不機嫌になっていました。
しかし、その後何度も見てかなり感じ方が変わってきて、今はあの頃2人ともきちんと解釈出来ていなかったのだと思っています。
今見ると、可哀想というよりむしろ恐ろしいです。清太(の幽霊)は冒頭とラストの2度、こちら(観客)をまっすぐに見ます。その視線をまっすぐ見返すことがかなり苦しいです。
清太は自分がどこで間違ったのか、その答えが見つからないまま永遠に煉獄に閉じ込められて、空襲の日から自分が死ぬまでの時間を繰り返し、成仏できないでいる。
これは単純な反戦映画ではありません。
もう二度と見たくないと言っている方にはもう一度見てほしい。高畑監督が全編にちりばめた作品の意図を感じてほしいです。
私も多分まだ全然わかっていないところがあると思いますので、この先も時折繰り返して鑑賞しようと思います。

さくさく