劇場公開日 1988年4月16日

「辛すぎて暫くは見れない」火垂るの墓(1988) ぽよのすけさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5 辛すぎて暫くは見れない

2025年8月19日
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鑑賞方法:映画館

20年ぶりに『火垂るの墓』を観た。
結末は記憶に焼き付いていて、苦しいラストが来るのは分かっていたのに、清太と節子が徐々にやつれていき、目から正気が失われていく様子はやはり辛抱たまらなかった。

幼い頃に観たときは、西宮のおばさんに怒りを覚えた。
「子どもに冷たくするなんて最低!」と単純に憤ったのを覚えている。
しかし、大人になった今観直すと見方が変わった。

清太の不器用さが目立つ。
父が海軍将校で比較的裕福な家庭に育ったこともあり、世の中が苦しい中でどう立ち振る舞えばいいのか分からず、プライドが邪魔をする。ただ、清太はまだ14歳。その年齢で「正しい生き方」を選ぶのはあまりに難しい。親戚のおばさんに邪険にされれば、距離を取りたくなるのも当然だろう。

西宮のおばさんについても、今は少し違って見えた。
もちろん嫌味な言い方や行動をする冷たい大人ではあるが、顔も知らなかった遠い親戚の子を突然預かり、限られた食料を分け与え、生活を共にすることになったのも事実。清太が学校に行くでもなく、働くでもなく、プライドに縛られていたことに苛立ちを感じるのも、理解できなくはない。

そして節子。わずか4歳。ほとんど赤ちゃんのような存在だ。辛い状況の中でも日々の暮らしに小さな楽しみを見つける姿は、本当に可愛らしい。けれど、最初は頻繁に泣き喚いていた節子が、栄養失調もあり次第に体力もなくなり、泣くことすらできなくなり、声を失っていくのが何よりも胸を締めつけた。

結論として、この作品が突きつけるのは「戦争は絶対に繰り返してはならない」という一点に尽きる。
幸せを奪い、未来を奪う戦争は二度と起こしてはいけない。
過去から学び、平和を紡ぎ続けること。命をかけて私たちを守ってくれた人々に感謝と敬意を捧げ、その想いに報いるように、平和な未来を築いていきたいと強く思った。

ぽよのすけ