「人知れず消えていった命」火垂るの墓(1988) Cape Godさんの映画レビュー(感想・評価)
人知れず消えていった命
総合80点 ( ストーリー:75点|キャスト:85点|演出:85点|ビジュアル:75点|音楽:70点 )
日本国民ほぼ全員が自分のことすらままならず人を助ける余裕など無い時代に、だれにも頼らず清太と節子の幼い兄妹がただ懸命に生きようとする。人知れずひっそりと消えていった二つの生命は、生前の兄のひたむきさと妹の健気な可愛らしさによってその大切さと儚さが強調される。その二人の人物像の作り方の演出が上手いし、声優も良かった。特に妹の幼さを表現した声はいい。
久しぶりに観たけれど、やはり主題が重い。質の高い作品だけど何度も観たい作品ではない。日々痩せ衰えていく二人の姿は痛々しすぎる。駅に座り込み死を待つ少年たちの多さを見れば、二人は例外ではなく当時のありふれた存在で、彼ら一人一人に似たような背景があるのだろう。物語は厳しい現実を見せたが、安易な救済を入れないから作品の質が保たれたと思う。
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