風林火山のレビュー・感想・評価
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策士、夢に溺れる
DVDで鑑賞。
原作は未読。
三船敏郎、中村錦之助、石原裕次郎の三大スター競演。脇を固めるキャストも錚々たる顔触れ。まさに絢爛豪華な歴史超大作である。勇壮な映画とは本作のことを言うのだろう。
三船敏郎が演じる山本勘助は、とにかく目力がすごいし、全身から放たれる威厳が巡らす策に説得力を齎していた。
武田晴信(信玄)も中村錦之助が演じていることにより凄まじい存在感。三船・錦之助の収まる画面は重厚である。
上杉謙信(長尾景虎)の石原裕次郎も、セリフは無いが、謙信お馴染みの頭巾姿で馬を駆る姿のカッコ良さは異常。
東宝、東映、日活のスターがひとつの画面に収まるシーンは無かったものの、大作の貫禄を示すには充分だった。
由布姫を軸にした勘助、信玄の微妙な三角関係は、情愛と云う一言では言い表せないようなドラマ性があり、胸を打つ。
勘助の夢は、由布姫への愛が根底にあるように思えた。「策士策に溺れる」ならぬ「策士夢に溺れる」な展開は胸が痛い。
[以降の鑑賞記録]
2024/11/24:DVD
※リライト(2024/11/24)
錦之助×三船&裕次郎
錦之助と三船の、夢の様な2ショットがとにかく嬉しい。(クライマックスは錦之助と裕次郎の2ショットが見られる)
三船=勘助と錦之助=晴信よる2人の関係は、プラスとマイナスが混ざり合い強固な力となって行く。
“遙か彼方の夢”を見る=勘助と、“目の前にある物”を欲する=晴信。そして、父親の敵でありながら錦之助の妻となる佐久間良子の悔しさ。
しかし勝頼を身ごもった事で、次第に気持ちに変化が生まれて行く。
その佐久間を密かに想いながらも、立場上どうにもならない歯がゆさを“梅の樹”に託す三船。それを薄々感じている佐久間。
その辺りの細かな心理描写の脚本は、流石橋本忍といったどころでした。
合戦場面ではエキストラの動きが鈍重な為に、肝心な合戦シーンの緊張感が今ひとつ感じられ無いのが悔やまれるところです。
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