緋牡丹博徒 二代目襲名

劇場公開日:

解説

火野葦平の原作「女侠一代」を「緋牡丹博徒 花札勝負」の鈴木則文が脚色し、「前科者 縄張荒し」の小沢茂弘が監督したシリーズ第四作。撮影はコンビの吉田貞次。

1969年製作/95分/日本
配給:東映
劇場公開日:1969年4月10日

ストーリー

明治の中頃。父の死後、渡世修行の旅を続けたお竜は、七年ぶりに故郷熊本へ帰った。その時、元矢野一家の飛車角、常、新入りの大風呂敷、それに道後からは、富士松、清吉が駈けつけ、お竜の念願だった矢野一家が再興された。折しも、筑豊地方に炭田が開発され、遠賀川流域は活況を呈していた。だが、石炭運搬のために、九州の親分衆が請負いの鉄道敷設工事をはじめると、川船業者の激しい妨害にあい、工事を降りる組が相ついだ。そんな中で、お竜の叔父川辺は、仕事の続行をお竜に託し世を去った。しかし、川人足の元締の赤不動の勘蔵は、矢野一家にも手荒く迫った。一方、鉄道院では、永久出入りの特典をつけ、完成を急いだ。お竜は、親分衆に励まされ工事完遂に努力したが、宝満一家の荒木田は勘蔵に近づき妨害に出た。だが、勘蔵は狂暴な荒木田のやり口に態度を硬化させ、お竜に工事の協力を申出た。宝満一家は報復手段に出た。お竜が面倒をみている雪江を人質にすると、半次にお竜を殺すよう命じた。半次から訳を聞いたお竜は、サイの目勝負に勝ち雪江を取戻した。それから数日、筑豊鉄道が完成した。そして、お竜の二代目襲名披露が行なわれた。だが、宝満一家は一番列車を転覆させ、手抜き工事を指摘し、現場に向うお竜らを襲った。卑劣な荒木田はやがて、お竜と矢代の活躍に葬られた。

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スタッフ・キャスト

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映画レビュー

2.0長門裕之の退場が早すぎる

2023年5月22日
iPhoneアプリから投稿

名作揃いの『緋牡丹博徒』シリーズの中ではあまりパッとしない一作。矢野竜子の二代目襲名という本編に大きく関わるイベントがあるにもかかわらず物語は凡庸でギミックに欠ける。とはいえ任侠映画とは往々にして凡庸でありギミックに乏しいものであり、そういう骨格部分の貧弱を逆手に取って役者が自由闊達にスクリーンを駆け回る圧倒的なダイナミズムこそが任侠映画の真髄だ。一方本作には役者にさしたる動きがない。歌舞伎でいうところの「見得」に当たるような瞬間がない。ゆえに物語のアラが前面化している。『花札勝負』でみられた悪どいヤクザたちの私利私欲に翻弄された家族のために涙を流す藤純子や、敵方の客人でありながら藤純子に協力する高倉健の侠気といったものは本作には感じられない。唯一、お調子者の渡世人として登場した長門裕之にはなかなか見所があったのだが、彼は中盤であっさり殺されてしまう。彼の運用次第でいかようにも耽美で刹那的な任侠世界が描けたはずなのにと思うと残念でならない。

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