Pinocchio√964

劇場公開日:

Pinocchio√964

解説・あらすじ

「ゲロリスト」「キャタピラ」などで一部に熱狂的なファンを持つ福居シュウジン監督と、映像制作集団「ホネ工房」が1991年に発表したカルトムービー。

ひとりの男が、ある組織によって記憶を消去され、精神を無にしてしまうロボトミー手術を施され、セックスプレイしかできなくなってしまうダッチハズバンド(女性用愛玩具)の「Pinocchio(ピノキオ)」に改造される。製造番号「√964」のピノキオは、ある金持ち女に買われるが、セックスプレイ中に暴走し、街に捨てられる。無の状態で街をさまよっていた√964は、ひみこという記憶喪失の女と出会う。2人は愛し求め合い、√964は次第に人間としての能力を回復していく。一方、ひもこも失われたはずの記憶を取り戻していくが……。

1991年の公開時は、上映館の中野武蔵野ホールに音楽ライブ用のPAシステムを持ち込み、爆音で上映して話題を集め、10週間のロングラン興行を記録した。ロックバンド「百鬼屋」のボーカルの鈴木はぢ、同バンドのバスクラリネット奏者・ONN-CHAN、元「フォーリーブス」の北公次、落語家の三遊亭楽麻呂、舞踏家の大光路、「コンチネンタル・キッズ」「スペルマ」などのバンドで活躍した伝説のパンク女王・RANKOら、異色のキャストが出演。石井聰亙(現・石井岳龍)監督作品をはじめ多数の映画音楽を手がける長嶌寛幸が音楽監督を務めた。

1991年製作/97分/日本
配給:ホネ工房
劇場公開日:2025年7月12日

その他の公開日:1991年9月14日(日本初公開)

原則として東京で一週間以上の上映が行われた場合に掲載しています。
※映画祭での上映や一部の特集、上映・特別上映、配給会社が主体ではない上映企画等で公開されたものなど掲載されない場合もあります。

スタッフ・キャスト

監督
原作
福居ショウジン
脚本
福居ショウジン
脚本協力
利重剛
浜口真
合田尚志
総合プロデューサー
工藤虎雄
プロデューサー補
磯野晴崇
撮影監督
平澤和則
編集
福居ショウジン
音楽監督
長嶌寛幸
音楽
Dowser
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(C)ホネ工房

映画レビュー

0.5「現実」の粗悪なイミテーション

2023年1月29日
iPhoneアプリから投稿

80年代末から90年代にかけて流行した露悪・鬼畜系ブームからその根幹である批評性を差し引いたような代物だった。ジャンプスケア的に明滅するノイズやしつこい汚物描写によっていたずらに生理的嫌悪を煽るばかりで、物語はどこにも辿り着かない。

というか多分、本作の主眼は「受け手を不快にさせること」それ自体にあるのだと思う。しかし不快にさせたから何だというのか?批評性や倫理意識を欠いた露悪芸はもはや露悪とはいえない。ただの悪だ。

いや、悪に徹しているならいい。池袋の地下道で汚物を吐き散らかしたり、奇声を上げながら新宿の歩行者天国を疾走したり、そういうアウトローなインディーズ根性を最初から最後まで貫徹するのならそれでいい。研ぎ澄まされた「悪の美学」的なものがそこに顕現するやもしれない。

しかし物語の大半は地下室や路地裏や海辺の廃工場といった安全圏を舞台にしている。生温いと思う。だったらはじめから通路や人混みといった公共圏での無許可撮影なんか敢行するなよと思う。結局それはどこまでも火遊びに過ぎない。みんな見てくれ、俺はこんな悪いことができるんだぜ、という稚拙なアピール。

映画は夢なのだ、と誰かが言っていた。映画館という外界から隔絶された空間においてのみ効力を発揮する脆く儚い夢。それは人を生かしも殺しもしないし社会を直接転覆しうる力もないけれど、真っ暗な箱の中でスクリーンを見上げている約90分の間だけは少なくとも真実なのだ。現実を土台にしている限り決して立ち現れてこないオルタナティブなリアリティー、とでもいうべきか。俺はそれを味わいたくて映画を観ているといってもいい。

この映画は映画=夢としての自負が著しく欠如しているように感じた。

現実はいつだって俺たちを無意味な悪意から邪魔したり傷つけたりする。それと同じことを映画がやってどうするんだよ。ひたすら不快な気持ちになりたいだけなら、わざわざこんなものを見なくても、映画館を出て外の世界=現実に戻ればいい。

映画の幕間に屋外の喫煙所に行ったら飲んだくれが騒ぎ散らす横でガールズバーのキャッチがサラリーマンに絡まれていた。遠くでパトカーのサイレンが聞こえる。深夜3時。気温2度。ここで90分立ち尽くしていたほうがよっぽどマシだったな、と俺は思った。

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因果

3.0サイバーパンク・カルトムービー。 中盤くらいまでは期待できる感があ...

2019年5月26日
iPhoneアプリから投稿

サイバーパンク・カルトムービー。
中盤くらいまでは期待できる感があったが後半がもう叫んでばっかり...ラストはもう爆発しろーみたいな。鉄男ぽさはないのだけれど、鉄男の影響受けてるような作品。

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