ピノキオ√964

劇場公開日:

解説

一部に熱狂的ファンを持つ「ゲロリスト」「キャタピラ」の監督、福居ショウジンと芸術家集団「ホネ工房」が製作したカルトムービー。ロックバンド百鬼屋のボーカルの鈴木はぢ、同バスクラリネット奏者のONN-CHAN、元フォーリーブスの北公次らが出演。16ミリ。

1991年製作/97分/日本
劇場公開日:1991年9月14日

ストーリー

過去の記憶を消し去り、精神を無にしてしまうロボトミー手術を行うセントラルサービス社の“ナリシマ”は、「ピノキオ」というSEXプレーのみをインプットしたダッチハズバンドを売買していた。ある日、金持ちの強欲女“ラブリーA子”に買われた“ピノキオ√964”はプレー中にバーストを起こし、街に捨てられる。無の状態で徘徊する“√964”は“ひみこ”という過去の記憶を持たない女と出会い、二人の生活が始まる。一方、水面下では“√964”を抹殺すべく、“ナリシマ”の魔の手が忍び始めていた。“ひみこ”の助けで“√964”は言語能力を復活し、二人は愛し求め合う。しかし“√964”は人間能力を回復するにつれ、激しい頭痛に犯され、肉体改革を起こし、同化した“ひみこ”は記憶を取り戻した。自分の過去に“√964”が多大な衝撃を与えていたことを思い出し、錯乱した“ひみこ”は、激痛に耐えられず助けを求める“√964”に、一方的な戦いを繰り広げる。唯一残された“ナリシマ”の残像を頼りに、助けを求めさまよう“√964”。だが“√964”の肉体改革は、卓越した精神と運動神経を展開。“ナリシマ”と再会するが、もはや誰も“√964”を助けることはできなかった。失意のどん底に落とされた“√964”が“ひみこ”との最終戦争の末に見たものは……。

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スタッフ・キャスト

監督
脚本
福居ショウジン
浜口真
合田尚志
脚本協力
利重剛
原作
福居ショウジン
製作総指揮
工藤虎雄
撮影
平澤和則
美術
鈴木はぢ
灰谷哲也
音楽
長嶌寛幸
照明
平澤和則
編集
福居ショウジン
助監督
渡辺富男
製作プロダクション
合田尚志
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映画レビュー

0.5「現実」の粗悪なイミテーション

2023年1月29日
iPhoneアプリから投稿

80年代末から90年代にかけて流行した露悪・鬼畜系ブームからその根幹である批評性を差し引いたような代物だった。ジャンプスケア的に明滅するノイズやしつこい汚物描写によっていたずらに生理的嫌悪を煽るばかりで、物語はどこにも辿り着かない。

というか多分、本作の主眼は「受け手を不快にさせること」それ自体にあるのだと思う。しかし不快にさせたから何だというのか?批評性や倫理意識を欠いた露悪芸はもはや露悪とはいえない。ただの悪だ。

いや、悪に徹しているならいい。池袋の地下道で汚物を吐き散らかしたり、奇声を上げながら新宿の歩行者天国を疾走したり、そういうアウトローなインディーズ根性を最初から最後まで貫徹するのならそれでいい。研ぎ澄まされた「悪の美学」的なものがそこに顕現するやもしれない。

しかし物語の大半は地下室や路地裏や海辺の廃工場といった安全圏を舞台にしている。生温いと思う。だったらはじめから通路や人混みといった公共圏での無許可撮影なんか敢行するなよと思う。結局それはどこまでも火遊びに過ぎない。みんな見てくれ、俺はこんな悪いことができるんだぜ、という稚拙なアピール。

映画は夢なのだ、と誰かが言っていた。映画館という外界から隔絶された空間においてのみ効力を発揮する脆く儚い夢。それは人を生かしも殺しもしないし社会を直接転覆しうる力もないけれど、真っ暗な箱の中でスクリーンを見上げている約90分の間だけは少なくとも真実なのだ。現実を土台にしている限り決して立ち現れてこないオルタナティブなリアリティー、とでもいうべきか。俺はそれを味わいたくて映画を観ているといってもいい。

この映画は映画=夢としての自負が著しく欠如しているように感じた。

現実はいつだって俺たちを無意味な悪意から邪魔したり傷つけたりする。それと同じことを映画がやってどうするんだよ。ひたすら不快な気持ちになりたいだけなら、わざわざこんなものを見なくても、映画館を出て外の世界=現実に戻ればいい。

映画の幕間に屋外の喫煙所に行ったら飲んだくれが騒ぎ散らす横でガールズバーのキャッチがサラリーマンに絡まれていた。遠くでパトカーのサイレンが聞こえる。深夜3時。気温2度。ここで90分立ち尽くしていたほうがよっぽどマシだったな、と俺は思った。

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因果

3.0サイバーパンク・カルトムービー。 中盤くらいまでは期待できる感があ...

2019年5月26日
iPhoneアプリから投稿

サイバーパンク・カルトムービー。
中盤くらいまでは期待できる感があったが後半がもう叫んでばっかり...ラストはもう爆発しろーみたいな。鉄男ぽさはないのだけれど、鉄男の影響受けてるような作品。

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