反逆のメロディーのレビュー・感想・評価
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1970年当時の空気感が満載で、映画2作目ながら原田芳雄が有する大物感とカッコ良さに驚き
澤田幸弘(後にTVで太陽にほえろや大都会を監督)監督の第二作、1970年製作の日本映画。製作: 日活、配給: ダイニチ映配。
主演の原田芳雄が、組解散で放り出された元ヤクザ役で、実兄が組長として束ねていた町に来て大暴れというアクション映画。
映画出演は2作目という原田芳雄(俳優座所属、71年に中村敦夫や市川悦子らと共に体制を批判し退座)が、長髪にサングラス、素肌にGジャン姿で、ジープに乗り颯爽と登場。当時
30歳か、今見ても大物感を漂わせカッコ良く決まっているのは、俳優座での修行なのか才能なのか?寅さん映画の常連、佐藤蛾次郎が原田の押しかけ子分役で、ギター弾き語りで2曲も歌うのには驚かされた。
脚本は後に人妻集団暴行致死事件や南極物語などポルノから大作映画まで幅広く手がける佐治乾ら。ヤクザが解散して企業となり大手建設会社と組んで無垢な庶民から土地を奪い取る。地元警察もそれを後押しするという強力な体制に原田らが抵抗するというストーリーで、自分のイメージとしての1970年という年の空気感が満載。結局、原田は好きだった元親分を長ドスで殺すが、最後は警察によりメチャクチャに撃たれて海岸で果てる。東映任侠映画と日活伝統の若者反抗映画を上手くUp to date的にミックスした様な映画であった。
どのヤクザよりもヤクザの様で、上層部に成果見せるため組組織に銃の差し出しを要求し、主人公達を公務執行妨害を連発し徹底的に力で弾圧する悪徳地元警察官を、青木義朗が大熱演しており強く印象に残った。後の主役級俳優、地井武男、藤竜也、冨士眞奈美、及び梶芽衣子が原田の味方的な役回りで、各々良い味を出しており、とても豪華な共演陣に思えた。
脚本佐治乾、蘇武道夫、企画水の江瀧子、 佐々木志郎、撮影山崎善弘、
美術千葉和彦、音楽玉木宏樹、録音神保小四郎、照明高島正博、編集
井上治、スチル土屋豊
出演、原田芳雄、佐藤蛾次郎、地井武男、藤竜也、冨士眞奈美、梶芽衣子、
須賀不二男、深江章喜、梅野泰靖、曽根晴美、永山一夫、青木義朗(木原刑事)。
昭和の匂いがプンプン
組が解散したため、故郷に帰ってきた主人公(原田芳雄)、腹違いの弟の組が新興勢力にやられっぱなしなので、助太刀に入る。
監督は澤田幸弘、佐藤蛾次郎がいい味を出している。
戦後日本の社会史的視点
高度経済成長期の日本社会が何を失ったのか。大資本が肥え太る陰で破壊されていったものが描かれている。
まずは「ここは砂浜だった」土地が埋立てられて港湾施設やコンビナートに変わっていく。そして、撤去されつつある古い橋。自然を含めた古い風景が破壊され、失われいくのだ。
そして、映画の冒頭で組長による解散宣言に象徴されているのだが、それまでの任侠を旨とするやくざ組織の破壊と消滅である。良くも悪くも貧しい人々の暮らしとともにあったやくざが消えて、大企業の下請けその他の合法非合法な活動を請け負う組織が残る。
そうした大きな変化の時代を、若き日の原田芳雄が演じる青年が駆け抜ける。
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