八甲田山のレビュー・感想・評価
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冬になると観たくなる
2回目の視聴。私は小説版やこの事件の解説動画を見たことがあります。
最初の遠足気分な予行演習から、本番の行軍では食料が凍ったり天候がどんどん悪くなったりと、音楽も相まって、ジワジワと不安が募ってゆく描写が恐ろしかったです。
出演者の鼻や顔が赤らんでいて本当に寒そう。
あと崖を掴む手に血がにじんでいるのが痛々しかった。
雪中行軍は、構想時点でふわっとしたもので、それが歴史的な死者数を出したという結果を考えるとやるせないです。
徳島大尉の部隊と神田大尉の部隊とではかなり対象的に描かれてると思いました。部隊編成や指揮系統、持ち物の管理や案内人の有無など…。
「何か」起こったら、大惨事になりかねない状況であった為、実際に「何か」(天候不順など)が起こったことで、この事故は起きてしまったんだと思いました。
人為的なミスが目立つので事故と言っていいかわからないですが…。現に同時期に行軍を始めた徳島大尉の部隊は生還しているから。
上手く纏めるのは難しいですが、自然の恐ろしさを、人間は十分理解していないといけないということでしょうか。
本編で度々流れる美しい自然の映像とのギャップが、余計恐ろしく感じさせます。
雪の重さや冷たさ、冬の寒さを感じる
YouTubeの遭難事故紹介動画で顛末は知っていたが、
やはり映画になるとわかるもの、伝わるものもある。
5連隊が吹雪の中、中心に向かって立っているシーン悲しくて…。
あんな吹雪の中、あんなに雪かぶさって…。
座ったり横になったら…ってことだけど、31連隊との比較を見ると尚更…。
三角の蓑かぶっていたり、藁葺き屋根のおうちがあまりにも日本昔ばなしの世界で…。
ゆきんこ…。
今の時代なら低体温症や雪山の知識が多く手に入るだろうが、
特に低体温症の知識なんて、あの時代にほとんどなかったんだろうなあ。
江戸が終わり明治後半、他国との戦争をするような時代、
おそらく軍国主義で上の者の言うことは絶対、
弱音吐いたら終わり、逆らったら終わり、という時代において、
上の者に意見を言うことなど難しいのもわかるが、
よく考えて、無謀なことに1人でも多く気づき、
別の方法で訓練できていればよかったね
軽い足取りだったのが、どんどん歩みも遅くなり、
暗い顔つきになるのが怖くてね。
悪い例、良い例、みたいに交互に出てくるの、
ちょっとわろた。
雪山に登らずとも低体温症になることはあるので、
外出するときは気をつけたいね。
24.3.18 スカパー
「白い地獄」に埋もれる名優たち
日露戦争への緊張が高まる中、八甲田の縦走訓練が必要と判断される。そこで青森第5連隊と弘前第31連隊は、雪中行軍を実施することになる。それぞれで計画を進め、第5連隊の神田大尉と第31連隊の徳島大尉は八甲田で会おうと誓い。
二度目の鑑賞。再び自然の脅威におののきました。この事件のときに、北海道旭川では日本最低気温を記録。まれにみる悪天候だったと想像しますが、八甲田の冬山を知ってる人によると「いつもあんなもん」とのこと、恐ろしい。村民に対し「守銭奴」、一方は「敬礼」という扱いが、命運を分けたのが象徴的。以前観たときに最後のところで、ひっかかっていたのを思い出しました。徳島大尉は幻を見ていた、危なかった、ということだったのか。
つらい役、嫌な役もある昭和の名優たちが大勢出演。それが吹雪と重厚な衣装で、誰が演技し、しゃべってるのかわからなくなります。腰まである雪をこいで登っていくのは、相当体力を消耗するはず。「白い地獄」に埋もれていく様に、ただただ感動しました。困難で、絶望に足を向けるだけのような音楽も印象に残ります。これほどの大作を作り上げた森谷司郎監督ですが、その後は目立っていない。53歳で亡くなっていたのか。
「ゴールデンカムイ」と衣装も繋がりがあり、漫画では登場人物が八甲田の捜索に参加していた描写もありました。時系列では「八甲田山」「二百三高地」「ゴールデンカムイ」。
日本の名作映画のひとつ
気象に対する想定の甘さ、
指揮系統の乱れ、
凍傷など極地での疾病への無理解、
希望的観測からの取り返しのつかない失敗…。
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特撮やCG、ましてや吹雪のシーンに大型の
扇風機を使う、そんなことが一切ない、
本物の八甲田山での撮影⛄️
デジタルリマスター4Kありがとうございます🙇♀️
大自然の猛威に人類は屈服するしかない。
「HDリマスター」Blu-rayで鑑賞。
原作は未読です。
監督・森谷司郎、脚本・橋本忍、音楽・芥川也寸志、撮影・木村大作という素晴らし過ぎる布陣で、実際に起こった遭難事件をベースにした新田次郎の「八甲田山死の彷徨」を元に、高倉健、北大路欣也、三國連太郎などの豪華オールスター・キャストを配し、過酷極まりない八甲田山現地でのロケ撮影を敢行した紛れも無い超大作。
日露戦争直前、帝国陸軍はロシアや中国の極寒地域での戦闘に備えるため、弘前、青森の両連隊に冬の八甲田山での雪中行軍訓練を命じました。両部隊が八甲田山で擦れ違う、ということを大前提にした計画でしたが、それが思わぬ悲劇を生むことになるとは知らずに…。
弘前と青森、ふたつの行軍部隊の動向を交互に描いていき、その対比が遭難する方の悲劇をこれでもかと浮き彫りにしていく構成が秀逸でした。
弘前第三十一連隊(高倉健の部隊)は自然に敬意を抱きながら行軍の準備を進め、実行の際には常に案内人を立てました。多分に脚色されているのだとは思いますが、案内人に対する礼儀も忘れず、敬礼で見送ったり汽車代をあげたり…。徳島大尉(高倉健)は自分たちが無知であることをよく理解していたからこそ、八甲田山を踏破できたのですねぇ…。
一方、青森第五連隊(北大路欣也の部隊)はというと、最終的には上官の浅慮と軽挙妄動のお陰もあり自然を軽視してしまった結果、悲惨な末路を迎えてしまいました。中隊の指揮は神田大尉(北大路欣也)に一任すると言っていたにも関わらず、大隊長・山田少佐(三國連太郎)の口出しに「お前は黙っとれ!」と言いに行きたくなりました…。上司が無能だと、苦労してえらい目に遭うのは部下だという典型例ですなぁ…。
ある者は狂い死に、ある者は静かに力尽きて雪に没し…。さながら白い地獄絵図でした。「天は我々を見放した!」という名ゼリフと共に、大自然の猛威の前には人間なんてちっぽけな存在で、抗うと手酷いしっぺ返しを食らってしまうということを痛切に訴え掛けて来るようでした。
木村大作キャメラマン撮影による冬の八甲田山のシーンは息を呑む大迫力。容赦無い猛吹雪、迫り来る大雪崩、行けども行けども雪、雪、雪…。自然のパワーに圧倒されるのみでありました…。“一面の銀世界”と言えば聞こえは良いですが、それが内包する恐ろしい面に文字通り背筋が凍る想いでした…。
※追記(2019/8/26):「〈4Kリマスターブルーレイ〉」の「4Kデジタルリマスター版(2Kダウンコンバート)」で再鑑賞。
画質が全然違いました。買い直して本当に良かったです。初鑑賞時の「HDリマスター」Blu-rayは「ほんまなんやったんや」という感じであります(笑)
場面場面での俳優たちの表情が明瞭になるなど、見えていなかったところが見えたことで作品が内包していたものがより一層浮かび上がり、理解が深められたような気がしました。
特典映像のドキュメンタリーも合わせて観たことで、古い映画を4K修復することの意義を改めて実感しました。
悲しく辛くなった
北大路欣也さん、高倉健さんなど
錚々たる俳優陣が出演した大作。
作中では発狂する者、雪の中を泳ぐもの、
極限状態の人間の精神に及ぼす影響の恐ろしさを見ることができる。
涙なしには見られない作品。
現代には本作のような重みのある映画が無くなってきているのが残念。
若い人にもぜひ見てほしい作品です。
天は我々を見放した
史実を基にした新田次郎の小説を映像化した作品。軍首脳部が軽く考えた訓練を、無謀と知りながら実行するしかなかった2人の下士官の苦悩と悲劇のストーリー。当時のオールスターが出演している。北大路欣也の発する「天は我々を見放した。」は心に響く。観終わった後に劇中歌「雪の進軍」が耳に残ったのが記憶に残る。
衝撃
見てしまう。
その理由が分からない…。
長編作品で3時間程ある。
でも、見てしまう。
飽きもせず…雪の中の行軍を。
よく分からない。
なぜ見てしまうのか…見終わって、凄い映画だと、ただただそうは思った。
雪山で遭難した臨場感を出す為の工夫。
雪崩。
CGとかないよな…人為的に起こしたのかな?
まさか…でも、やりかねん。
webにて鑑賞。
便利な時代になったもんだ…。
70年代の大作邦画
雪中行軍の厳しさとか冬の八甲田山の荘厳さが伝わってくる。
高倉健と北大路欣也のやりとりも泣かせる。迫力のある良い映画。
でも残念に感じたことが2つ。
1つ目は絵面がわかりにくい。
仕方ない面はあるが、視界が悪い中で皆同じ姿では、誰が誰だか。
2つ目は、少佐の存在。
無能な上官の指示が遭難の原因、というのはくだらない。
自然と人知の勝負といった面白い要素も、
結局この上官の愚行で塗りつぶされてしまう。
スケールの大きい映画なだけに、なおさら惜しい。
神田大尉は
神田大尉は魂になって徳島大尉を待っていたのですね。
上官がアホだととんでもないことになるという例がこんなにたくさんあるというのに、現実に今もアホな上官(偉い人)がとんでもないことを起こしているという事実。
ひとはなぜ歴史に学ばない?
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