八甲田山のレビュー・感想・評価
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感想が次から次に湧き出る
午前十時の映画祭で鑑賞しました。ずっと観たかった映画で、テレビ放送しないかなと待っていましたが映画館で観ることができるなんて!!と期待大でした。
役者さん、音楽、映像、どれをとっても素晴らしく、観る前はちょっと長いかな…と思いましたが、あっという間でした。高倉健、北大路欣也、三國連太郎、…今の俳優でこの映画を作ったとして、あの重厚さは出せるでしょうか?でも小説原作で史実とは少し違うそうなので、史実に近いリメイク版も観てみたいような…
また、女優さんは少ないですがどなたも光るような美しさ、可憐さでした。
色々なことを考えさせられる映画で、観てよかった、と久しぶりに大満足な作品でした。
大竹まことはどこにいた?
銀世界は死の世界
私は見て良かったかな
旦那いわく、雪中をずっと歩いてるだけの映画との意見、まぁ確かにそうなのですけどね。
エンタメでは無いので、ストーリーに謎解きやドンデン返しなどを求める人には向きません。
人間の愚かさやエゴ、自然の恐ろしさなどを改めてかんじました。
現代社会はITで何でもこなせるようになり、人間が昔よりすごくなったように感じるけど。それも錯覚なんだと改めて思ったり…
強大な自然現象の前では人間はこんなにも無力なんだなと思いました。成すすべもないです。
戦争の練習のための雪山での命がけの練習、なんとも悲しい時代だな、とも思いました。
小学生のときにテレビで途中まで見ていたので、改めて映画館で見れて良かったです。きれいに修復された映像も良かったですよ。
あ!秋吉久美子さん、めちゃ可愛いです!
実話をもとにした名作
登山が趣味なので、八甲田山雪中行軍遭難事件は知っていたのもあり、生まれる前の作品ですが映画もずっと観たいと思っていました。いつかネットで観ようかなと。
そして、4Kリバイバル上映されていることを知り、家から少し遠かったですが足を運び鑑賞。
その結果、はやり大スクリーンで観て本当によかったです。
最近邦画をよく観るのですが、ここまでの映画って最近はなかなかない気が…。
自然の恐ろしさを感じつつ、山や自然は移り変わる景色や時代、生き物たちを見守り続けている…そんなことも感じました。
八甲田山雪中行軍遭難事件はリーダー論でもよく使われたりしますが、極限状態での判断がどのような結果になるのかも改めて学びました。
シナノ企画
長い…と観る前は思ったけど
日本映画史に残る傑作
日本映画史に残る傑作だと思いました。
3時間弱ですがあっという間に感じました。
第5連隊は悪い要素が全て重なったようなもの。
雪山を軽く見こたこと。
見栄を張るためだけに部隊編成を変えたこと。
無用に人数を増やし大所帯になったこと。
大隊の幹部が同行することになり、指揮命令系統が複数になったこと。
(現場にいれば誰でも口出ししたくなるもの。同行した時点で混乱することは決まっていた)
進むか戻るか方針が二転三転し、無用に動いたことで気力と体力を消耗し、全滅状態になってしまった。
「天は我々を見放した・・・」
北大路欣也のこのセリフはよく覚えています。当時の流行語でしたね。
CGがない時代、この作品の撮影は本当に大変だったでしょうね。
これが実話を基にした作品なのが悲しいです。
映画館出た直後の現世界がより平和に感じた
冒頭からまず出演者が濃くて驚いた。笑
無謀で無計画、無知と無策など世の中にある「無」を全て並べ立てても足りないくらいの「無」の連続。途中から演技とはいえ言うことやることが腹立たしくて、三國連太郎自体が嫌いになりそうなくらいだった。笑
昔の軍人は階級上がっていくと無知で無謀な人だらけで持っているものは役に立たないプライドだけだもんなー。
日本が戦争に負けた縮図を見た気がした。
そういや「勇気ある撤退」っていつから使われるようになったんだろう、なんてことも脳裏をよぎりました。
大隊長(三國連太郎)が案内人を断った辺りから(結構早い)、イライラして自分の心の声がバッカジャナイノ?バッカジャナイノ?と連呼し脳内に響き渡るので集中が途切れがちになるくらい(笑)、その同じタイミングから「これ撮影してる方も相当命懸けでは?」と思ったらもう気になり出して止まらない。
雪中行軍の話は本でも散々読んでいるので、あの雪山に入ってからどうなるか?はもうわかってたし、映画に描かれてない酷い話も見聞きしてたから、映画でどうなるかと期待したけど思った以上に演者が迫真の演技だった。
いや、雪山ではあーにもなるか(苦笑)
それに昔の俳優さんはなんというか全身全霊で演じてるのをヒシヒシと感じます。
いやあの撮影は本当に大変だったろうな…とカメラマンとか撮影隊全体の心配もしてきちゃうくらいでした。
噂に聞いていた映画「八甲田山」は噂以上の凄さと迫力でした。
リーダーシップと
「日露戦争を前にして軍首脳部が考え出した、寒冷地における人間実験がこの悲惨事を生み出した最大の原因」(新田次郎)
こういう映画だったのか!まるで知らなかった!徳島大尉(高倉健)は豪放磊落であり慎重な人物として描かれている。冒頭の会議シーンで山田少佐(三國連太郎)は煙草ばかり吸っている唯一の者でいけ好かない奴だとすぐわかる。山田には雪の中へいち早く消えて欲しいと本気で思った。だから途中で「自分の思い通りに行く!」と隊から離れた村山伍長(緒形拳)は雪山を知る人間として正しい判断をした、どんな思いが脳裏にあったか分からないが。こういう映画を初めて見て途中でかなり泣いた。猛烈な吹雪と極寒で白しかない中、低体温症による幻覚や幻聴で、春の到来、菜の花やツツジの暖かい色、田植え、稲の緑、夏の川遊び、秋の収穫、弘前のねぷた祭りと色鮮やかな白昼夢を彼らは見る。
真面目で優秀で信頼厚い神田大尉(北大路欣也)は山田少佐ゆえに想定外の立場に追いやられる。山田少佐、早く死んでくれと思ったが、上司だから若い人達の援助と犠牲を得て生きて戻る。最期がどうであれ、フィクションであれ、あまりに現在の日本と同じじゃないか。
徳島大尉の雪山対策の諸々は緻密に練られており隊員への指示は的確で具体的だった。雪山の恐ろしさを知る生まれ育ちがものを言うのだろう。どんな行程でも常に案内人をつけていた。歩数を数える役目の斎藤伍長(前田吟)は歩きながら「1、2、3・・・」と数え百までいったら豆をポケットに入れ次は2から始める。医務担当の者、喇叭担当の者もいる。徳島大尉が惜しげもなく事細かく教えてくれたことを神田大尉は心から嬉しく受け取り、指揮官として同じように計画し実行したかったに違いない。無念だったろう。
反省でありびっくりしたのは日露戦争で日本が勝った!それが西欧を驚かせた!程度しか知らなかったことだ。日本史授業でも八甲田山の惨状は多分教わらなかったし自分も知ろうと思わなかった。支配権を握る側が発言権の弱い側の判断や価値観を押しのけるのは今も同じだ。この雪中行軍隊員で日露戦争に行った者は「全員戦死」の文字が最後に流れショックを受けた。それで第五連隊の悲劇を知る者は闇に葬られうやむやにされたのか?戦争に勝とうが負けようが兵士は死ぬ、若者が死ぬ。
芥川也寸志の曲は素晴らしかった。同じモチーフでも、苦しい第五連隊は短調で重く、第三十一連隊では明るく前へ進めと励ます音楽だった。映画を見てから原作本を読み数日してまた映画館で見た。
おまけ
新田次郎『八甲田山 死の彷徨』から:徳島大尉はさわ(秋吉久美子)に案内料五十銭玉一個を与えて、「案内人は最後尾につけ」と大きな声で怒鳴った。「もう用はねえってわけかね」さわ女が言った一言は、それを聞いていた隊員たちの心を打った。隊員たちは心の中で彼女にすまないと思った。
新田次郎氏から、権力構造への感受性無しに上澄みで感動なんかしてないよね?と言われた気がした。
雪だるまが
軍事訓練でここまでするのか?命を何だと思っているのだ…。
50代の私ですら、上官のパワハラや夫婦の在り方、暮らしぶりに隔世の観でした。
同時に、日本人の美も感じましたが。
20代の人たちには、この映画は時代劇かもしれませんね。
スキー場で、何回かホワイトアウトを経験したことがあります。
本当に、白い闇に包まれ、方向感覚は麻痺します。
それでも、パニックにならなかったのは、ここはゲレンデで、周りにたくさんの人がいるとわかっていたから。
けれど、自然の山の2キロは、季節、天気、高低差、山での経験値によって、死につながると実感しました。
私は、本格的な登山はしたことがありませんが、山はナメたらあきません。
昨年4月中旬、弘前・奥入瀬・青森のルートを、2泊3日で車で旅しました。
弘前は葉桜、奥入瀬は新芽がまぶしく、青森に抜ける時に通った八甲田山は銀世界でした。
道路の除雪は完璧で、昼間通る時はノーマルタイヤでOKでしたが、道路の両脇に積み上げられた雪は、2メートルくらいありました。
途中の酸ヶ湯温泉の宿は、雪に埋もれていました。
あの山を1月にこえるなんて、改めて暴挙だと感じました。
命令系統がシンプルな小隊が無事で、現場の声を無視して編成された大部隊が遭難するのも、象徴的でした。
知覧特攻平和会館を訪れた時にも感じましたが、ひとりの若者の後ろには、親もきょうだいも祖父母もいて、ひとりひとりがかけがえのない命です。
このミッションも、ひとりひとりの命が粗末に扱われているようで、憤りを感じました。
国民がいてこその国なのだと、気づいて欲しいです。
午前十時の映画祭は、主要顧客がシニアの方々です。
上映時間3時間は長く、トイレに立たれる方が数人おられました。
ちょうど後ろに座っていたご高齢のご夫妻が、ここは映画館ではなく自宅のリビングか!?と思うくらい映画へのリアクションを話していて困りました。
私は、2度「上映中は静かにして下さい」と伝えたのですが、それでも、旦那さんの方は完全に静かにならなかったです。
映画館という環境に応じた行動がしにくいのなら、自宅で観てくれーと思いました。
午前十時の映画祭を観る時、次からは、ギリギリに来場して、周囲に人がいない席を取ろうと決めました。
豪華俳優陣で雪山こわっ
雪山トラウマ
素晴らしい作品
総論
素晴らしい作品
諸事情あり、いままで観に行くことができなかった。公開後、約50年の時を経て初めて見ることができた。出演メンバーを見れば、大御所がぞくぞく登場している。これだけのメンバーが出演されるのは昭和だったからかな? いまじゃこれだけの人たちを1つの映画に集めることは不可能でしょう。
【余計なコメント(多数)】
①さすがの高倉健さん。エンドロールでの名前の登場は、なみいるメンバーを押さえてダントツトップ。他の人を何馬身も引き離しての登場です。そして、W主役(?)を演じた北大路欣也さんは7番目ぐらいの登場。うぅーー。
②女性陣の皆さん、おきれいでしたが、中でも女性の案内人・滝口さわ(秋吉久美子さん)は東北美人を見事に演じていました。素晴らしい。
自分は長らくIT系の会社(俗に言う、請負型システム開発を行う会社)にいたので、思わず比較してみてしまいました。
③目的達成を第一に考え、他の感情はすべて排除し(明治の男尊女卑の時代であれば、女性の案内人を設け、先導させるなど、まぁー感情的にはありえない事項。なので、途中、案内人を下がらせるかどうかの判断を設ける1シーンがありましたね! ダメ押しには、敬礼で最後の挨拶 素晴らしい)、そして黙々と実現する実行能力及び強い意思。時としては上司にも反論(論理的にですよ、感情的にはダメですよ)する。上司も論理的な反論にはちゃんと受け入れる。まぁーこんな組織・人間(徳島大尉・高倉健さん)は、何やってもだいたい上手くいくんですよ。
④それに引きかえ、組織間で対抗心を燃やし(あっちが小隊なら、こっちは大隊で)。大隊にして何の意味があるのかまったくわからなかった。何もしない要員が増え、結果としてソリ(荷物が増えるだけ)という荷物が増えるだけだろうに。たかが3日間の工程なので食料なども手荷物で済むだろうに、負荷を増やしてどうするの?
⑤また、事前検討・準備していた者(神田大尉(北大路欣也さん))を無視して、勝手に思いつきで判断、命令する上司(大隊長・山田少佐(三國連太郎さん)。それを反論しない、神田大尉。まぁーこんな組織は、よっぽどの簡単な案件じゃないと、だいたい失敗するんですよ。
⑥せめて大隊随行の判断書に署名する際には、津村中佐(小林桂樹さん)は、山田少佐、神田大尉の両名及び1ランク下の部下達を呼んで指揮命令系統を徹底させるように訓示をしないと。。。
⑦で、最後には部下を多数死なせた責任をとって自害。バカじゃ無いかと思いました。自害するぐらいなら、誤った判断を行う上司には反論・反発しないと。
【終わりに】
この映画(というか厳密は原作)には変な思い出があります。自分の会社で、愛社洗脳教育セミナーみたいのがあり、そこの教材にこの映画の原作(八甲田山死の彷徨)が使われ、まぁー当時のとんでも教育がなされました。
この映画を見ると、普通の人(?)は、徳島大尉(高倉健さん)のリーダシップ、目的遂行能力に惹かれ、山田少佐(三國連太郎さん)の判断能力のなさ、傲慢さを拒否し、神田大尉(北大路欣也さん)の悲哀さを悲しむと思うのです。
ところが、当時のセミナーでは、徳島大尉(高倉健さん)は上司にたてつくダメ男、神田大尉(北大路欣也さん)は上司に厳命をよくきく理想の部下という洗脳を押しつけてきました。そんな会社ですから、失敗案件多数、売り上げもどんどん下がり。。。
<主な基準(今後のためのメモ)>
4.5 観て良かったと感じた映画
4.0 おすすめできる映画、何かしら感慨を感じる映画
3.5 映画好きなら旬なうちに見てほしい映画
3.0 おすすめはできるが、人により好みが分かれると思われる映画
天は我々を見放した!
と指揮官が叫ぶと、部下が絶望してバタバタ倒れてしまう。
指揮権や信望の大切さについて改めて気づきました。
雪崩のシーンがありますが、撮影ではダイナマイト爆破で実際に雪崩を起こし、事故になりかけたそう。
冬の八甲田山で撮影し、吹雪に襲われる雪の恐怖を見せてくれます。
道案内の村人役で秋吉久美子さんが出ますが、軍人さんより元気に雪山を越え、映画の中で数少ない、和むシーンでした。笑顔も美しい。
調べてみたら、web現代に「出演者が驚愕した、映画『八甲田山』…その「ヤバすぎる」ロケ現場の一部始終」(2022.2.11)という対談記事がありました。出席者が出演者の前田吟さん、チーフ助監督の神山征二郎さん、登山家の野口健さん。
前田吟さんのお話で、「観客は北大路欣也さんに現実の自分を、高倉健さんに憧れを重ねた」とあり。なるほど。
神山さんは「森谷司郎監督と木村大作カメラマンがめちゃくちゃをするので、もしこの人たちが死んだら私が引き継いで撮影するしかない」と自然に思うようになったとか。
野口健さんは「登山をする人間はまず八甲田に学べと教わる、映画の中に遭難の典型例が勢揃いしている、極地の「あるある」が満載」と感想をおっしゃていました。
雪の進軍
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