「母の愛情と苦労が徒となる、戦後日本社会に埋もれた女性の悲劇」日本の悲劇(1953) Gustavさんの映画レビュー(感想・評価)
母の愛情と苦労が徒となる、戦後日本社会に埋もれた女性の悲劇
ある親子の断絶を、価値観の変化が顕著な戦後日本の社会背景で描いた木下惠介監督の力作。子供の為に生きてきた母親の、その精一杯の苦労の仕方が徒となる悲劇をラスト衝撃的に描いた主張の明確な映画文体がまず見事。次に現在と過去のモンタージュに独自の演出を試み、主人公の記憶と行動を説明する映画ならではの編集の表現が、独特な映画スタイルを創造していた点が評価に値する。ドラマ自体の重厚さと編集演出の技巧の組み合わせに、斬新にして不思議な魅力がある。それは例えばフランスのアラン・レネの記憶と現在の演出に近いもの感じさせて、常に挑戦的な映画作りをする木下監督の特長を表している。日本映画でありながら、ヨーロッパ映画のスマートさを印象に持つ。主演望月優子の熱演がまた素晴らしい。通俗的母もの映画とは一線を画す社会派映画の傑作である。
1979年 7月3日 フィルムセンター
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マサシさんのコメント
2024年1月4日
追記してもう一つよろしくお願いします。
僕も目一杯アメリカだけで、マリリン・モンローで育ちました。手塚治虫先生が好きなのも、女の子の目がクリクリしていたからです。
マサシさんのコメント
2024年1月4日
ありがとうございます。新年早々申し訳ございませんでした。実は
そこまで嫌いな訳ではありません。しかし、最後の場面だけがどうしても駄目でした。申し訳ございません。いつもありがとうございます。
今年もどうかよろしくお願いします。
マサシさんのコメント
2024年1月4日
傑作とは思いませんが、通俗性と一線を分ける内容であった事は確かですね。共感はします。女性が投身◯殺するのはこの頃の現象のようでしてから。ただ、亡父は『普通は錦ヶ浦まで行くだろ!』って怒ってました。