日本暗黒史 血の抗争

劇場公開日:

解説

「組織暴力」の佐治乾がシナリオを執筆し、「十一人の侍」の工藤栄一が監督したやくざもの。撮影は「一心太助 江戸っ子祭り」の鈴木重平。

1967年製作/90分/日本
配給:東映
劇場公開日:1967年6月17日

ストーリー

終戦直後、河上は女に乱暴しようとしたGIを傷つけ、四年の刑に服した。やがて出所後、彼は三十数人の仲間を集め河上組を組織し、当時市中をおさえていた関屋一家の壊滅を計った。それを勢力拡張の糸口にしようとしたのである。二組の確執は、名古屋の博徒の大親分甲七五郎の仲裁で収ったかに見えたが、河上は関屋を闇討ちにし、ついに市の支配権を握った。そして、この時から河上は須藤刑事につけ狙われることになった。河上組の名が全国の暴力団に知れ渡り、河上は関東の大組織友心会と手を握り、名古屋進出と中部地方一帯に勢力を伸ばすことを考えていた。一方、須藤刑事は関屋殺しの凶器の出所を追及し、河上をその共同謀議で逮捕した。しかしすぐに、河上は保釈で出所した。河上は名古屋の時原組に殺し屋を送り込む一方、甲の仲裁を断り、時原組に抗争を挑んだため、甲をはじめ名古屋の七人の親分が時原に加勢、河上も友心会系列の二百五十名をもって、これに対したのである。警察当局は事態を重視し、機動部隊を動員して治安の維持に努める一方、河上の保釈を取り消し、逮捕した。しかし、執念の鬼と化した河上は拘置停止を計って、再び陣頭指揮に立ったのだ。河上は組員たもと共に甲組や時原組に、白昼市街戦を挑んだ。悽絶な戦いが展開されたとき、事態収拾のため緊急態勢をとった警察は両派を完全に包囲した。それでもなおビルに立てこもって抵抗した河上だったが、催涙弾を射ち込まれてはどうしようもなく、須藤刑事に逮捕されたのだった。日本の暴力史上、最大の抗争といわれた事件はこうして幕を閉じたのである。

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映画レビュー

2.5安藤昇がチンピラすぎる

2023年7月3日
iPhoneアプリから投稿

元・ヤクザというヒリついた経歴を持つ安藤昇が主演した実録系ヤクザ映画。ただそこまで出来はよくない。小柄にもかかわらず落ち着いたドンの風格があるというギャップこそが安藤昇の持ち味だと思うんだけど、本作の安藤昇はかなりチンピラ臭い。欲望に身を任せて好き勝手暴れまくるヤクザ像なら菅原文太でじゅうぶん間に合っている。どっちかといえば突然現れて突然消えていった内田良平の狂犬ぶりのほうが印象に残った。

ただまあ『仁義なき戦い』シリーズが口火を切った実録路線が本作(1967)から既に開花していたという事実には瞠目すべきだろう。口では「カタギの皆さんとの縁を〜」などと言っておいてその裏で暴力、略奪、裏切りの限りを尽くす河上組。敵対組織である甲一派もそれに負けず劣らず卑怯で狡猾だ。まさに「全員悪人」のピカレスクロマン。これと歩調を合わせるように鶴田浩二や高倉健の任侠モノが大流行していたというのが信じられない。

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