226のレビュー・感想・評価
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詳しくは自分で調べろと?
昭和11年2月26日に起きたクーデター事件を描いた作品。 発生から収束までを描いただけで前後の歴史についてはほぼ説明無しなのでモヤモヤした。 序盤の要人襲撃以降は会話シーンのみで外連味が無く、登場人物が多いため人間ドラマも薄く盛り上がりに欠ける。 冒頭のナレーションで当時の日本の状況説明があるが、クーデターの首謀者たちが決起に至る理由や心情がほとんど描かれていないのでイマイチ感情移入ができなかった。 昭和の著名な俳優が大勢出演していて眼福ではあるが出演時間が短く無駄使い感が強い。
人物描写がちょっと冗長かな?街宣車こわいガク((( ;゚Д゚)))ブル
歴史に全く疎いのですが、昭和の大事件に興味を持っての鑑賞です。 決して古い映画じゃないのに「えっ、白黒の作品?」と思わせておいて、「えっ?パートカラーの作品」と思わせておいて、しっかりとカラー作品でした。紛らわしいJARO案件。 オープニングのここ、何か意図があってのことだったんでしょうか? どこを切り取っても絵になる、昭和の名優がずらりと揃い踏みです。 序盤からヒリヒリと焼けるような緊張感に満ちていました。と、思ったら… 決起に至った2月26日までではなくて、事件後の4日間を描いたお話だったのですね。 中盤以降、それぞれの人物の背景を描くことに重きが置かれて、肝心の物語が冗長に感じてしまいました。人物描写がちょっとくどかったかな。 結局のところ「君側の奸」って誰のことを指して言ってたの?アホの私にはそこがさっぱりでした。 “君主の側で君主を思うままに動かして操り、悪政を行わせるような奸臣(悪い家臣・部下)、の意味の表現。「君側」は主君の側、という意味” 天皇の側近の権力者は全部アウトだったの?出る杭は打たれる宿命なの?言いがかりも甚だしいですやん。 そんなん理不尽ですやん。そもそも天皇って…ごめんなさいこれ以上書いたらマジ卍ヤヴァいです。 (街宣車こわいガク((( ;゚Д゚)))ブル) “理想”が“思想”にすり変わると、だいたいロクなことが起きへんなぁ…と、古今東西の歴史が証明しているように思いました。 挙句、志が仇となって、逆賊として裁かれて散ってるんですから、何をか言わんやです。 結局「大山鳴動して鼠一匹」的なお話だったの?リアル史実とはいえ、何とも尻すぼみな結末だったなぁ。 歴史もまともに知らんくせに、そんな偉そうなことを思いました。 実際に命落とされた方々も多くいらっしゃるので、あまり調子に乗って言いすぎるのはダメなんですが。 (街宣車こわいガク((( ;゚Д゚)))ブル) 収穫は綺麗な女優陣を愛でることができたことです。 特に若かりし日の名取裕子、 南果歩、安田成美、藤谷美和子が美しかったなぁ(///ω///) エンドロールの初っ端のお名前を見て「あぁぁっ!」と思ったんですね。大好き作品『西成ゴローの四億円』で製作総指揮を務められた奥山和由制作作品だったのですね。『その男、凶暴につき』でも制作を務められているじゃないですか。 「和由」と書いて「かずよし」とお読みするのですね。結構な頻度でお名前を見かけますのに、読み方を知らなかったんですよ。このアホは。 映画について、また一個学びました。 監督の五社英雄について学べるほど、私の映画スキルはそんなにキャパ大きくないです。宿題にします。 そして、そのエンドロール。いかにもバブル時代風のロゴ(ピンクの丸ゴシック体)でした。重いお話と重厚なエンディングテーマに相反して、なんだかとてもチャラく見えてしまいました。何とかならんかったし。 語りたいことも、そう多くなかった作品だったので、久しぶりのコンパクトなレビューになってしまいました。 毎回このくらいがちょうどいい。
五社版 二・二六事件
事件当日の若き将校達の生き様を重点に ・・・ 評価は芳しくないが?? 終盤は俳句・和歌等で身上を表現しおり難しい。 字幕バージョンで鑑賞し良かった。 劇場でも必要かも
国を憂い命懸けで行動した若者たち
ノンフィクション。 青年将校たちもその妻も、当時の大臣や首相も実名で登場する。 天皇に期待した軍部の皇道派が、結果的に天皇に裏切られたような形になることから、日本軍を分断させて内部崩壊させようとする作戦が、最初(明治維新)からあったのではないだろうか。 原爆は日本製であったとか、天皇と米国との合意のもと地上起爆したとか、皇居は戦時中全く被害が無かったとか、日本が米国の植民地になるように綿密に脚本を作って(計画して)実行したという説も否めない。 昭和初期の日本の深刻な不況や、権力者の腐敗ぶりも、天皇陛下にとっては計画のうちだったのかもしれない。 今作には天皇陛下の姿は登場していない。 そのため想像を掻き立てられる。 首相官邸、宮中、軍人会館、山王ホテルは、撮影不許可のため琵琶湖畔に3億円をかけてオープンセットを建造している。 映画製作のため取材したり、膨大な資料を調査したらしい。 偶然か意図的か平成元年(昭和の終わり)のタイミングで公開された。 今作は、男女の営みの場面があっても良さそうだが、全く無い。 言い換えると敢えて見せていない。 同じように、天皇の実態も秘密のままなのである。 余談だが、立野信之原作で佐分利信監督、高倉健主演の『叛乱』(1954年劇場公開)は、事件から20年ほどしか経っていない時に作られたためか説得力がある映画らしい。
歴史の勉強に良い
教科書で習った程度の事件であったが、じっさいにはそこに至るまでの青年たちの思いや情熱があったと知る作品。 五社監督ならもっと毒があるかと思ってたけれどそれは抑え気味。 映画として面白いかは微妙だけれど、青年たちの純粋すぎた悲しみに思いをはせて、二度と同じ事態が起きないようにしなくてはならないと感じた。
「日本のいちばん長い日」の226事件版を撮ろうとしたのだと思います
何故、本作を五社英雄監督が撮ったのでしょうか? もし本作を他の監督が撮っていたならどうだったでしょうか? もし岡本喜八監督が撮っていたなら? もし深作欣二監督が撮っていたなら? そんな思いに捕らわれてしまいます 226事件の映画は幾つもあるようですが、やはり高倉健と吉永小百合が主演した「動乱」がまず思いだされます 東宝の森谷司郎監督が1980年に東映で撮った作品です しかしその内容は皇道派の青年将校達の狂気と利用されただけの哀れさを描いて反戦映画とするのか? その中で運命に翻弄される男女のメロドラマなのか? 226事変のドキュメントをリアルに描くのか? 全部やろうとしてみんな中途半端に終わってしまっていました ハイライトたる肝心の226事件そのものもほんの少しで全くもの足らないものでした 興行成績も二大スーパースターを配していながらあまり冴えないものでした 挙げ句の果てには、軍国主義を美化しているとまでむちゃくちゃな難癖をつけられてしまうのです 本作はその「動乱」を反面教師にして出発したように感じます 前半はいきなり226事件が始まり、事件の推移をまるでドキュメンタリーのように克明に映像化していきます あまりにもリアルです 首相官邸、山王ホテルなどのセット、衣装、小道具、エキストラの兵士達の動きも何もかもリアルです 実物大で実際にキャタピラで走行する3台の戦車はなんちゃっての形状ですが、それらしさは十分に備えており白けてしまうようなものではありません 名カメラマン森田富士郎の撮影も雪の冷たさを感じる色温度での映像が見事です つまりドキュメンタリー的な実録映画を志向したのです なのに反乱が失敗してからの後半はぐだぐだになります 集中力は失われて焦点はぼやけてしまうのです 五社監督は結局一体何を撮りたかったのでしょうか? テーマは何だったのでしょうか? 226事件の実像をリアルに描こうとしたはずではなかったのか? ならば後半で、なぜ妻や子供との回想シーンをそれぞれにとってつけたようなっているのでしょうか? 決起した青年将校達とその妻、病気で決起に参加出来ない男とその兄を取り巻く感動的なドラマが本当は予定されていたように思えてなりません しかし、五社監督はそんなセンチメンタルなもの撮りたくなかったのだと思います いや撮ろうとして止めたのだと思います そんなものなんの意味があるのか?と 実録的映画に傾斜して、ドラマは一瞬の回想のみとしたのだと思えてなりません そもそも主人公は一体誰だったのでょうか? まるで岡本喜八監督の「日本のいちばん長い日」のようです 本作はその226事件版を撮ろうとしたのだと思います 冒頭の白黒映像の人物のアップ映像は、いきなりそれを宣言していたシーンだと思います 前半は「日本のいちばん長い日」に習って、事件の推移を事実にこだわって撮られています そしてぐだぐだのようにみえる後半こそ、五社監督が撮りたかった本作の主題であったのだと思います 反乱軍側の主張とか、皇道派とか統制派だとかそんなことは監督にとっては大して関心はないのです どうでもいいと映像に言わせているように感じます 反乱が失敗に終わったことが明らかになったのに、兵を引こうとしない青年将校達が苛立ち、あがき、放心し、諦観する姿を描くこと それこそが、本作における監督の目的であったと思うのです そしてその姿は「日本のいちばん長い日」での終戦を認めようとしない青年将校達と、226事件が潰えた時の青年将校達の姿は相似形をしている そう主張している映画に見えるのです この反乱事件は1936年のことです その9年半後、東京は焼け野原になり日本は敗戦したのです 226事件は、敗戦を予告していたのだということを描こうとしたのだと思うのです そして226事件の鎮圧と、太平洋戦争の敗戦は、どちらも天皇陛下の決断によってしか誰も収拾とできなかったのも同じ 226事件の首謀者の軍法会議と、太平洋戦争の東京裁判も相似形です そのことも指摘しようとしているように感じます 本作は1989年6月公開です 昭和天皇が崩御されたのはこの年の1月7日 つまり本作は昭和がもうすぐ終わるであろう事を見越して製作されたのです 監督は本作をもって昭和を総括しようとしたのだと思います その意欲たるや素晴らしいことです しかし、それで結局何を伝えようとしたのでしょうか? 監督のメッセージとは何だったのでょうか? 不明瞭のまま映画は終わってしまうのです 結局のところ「動乱」と同じく、あれもこれもやろうとして失敗したのだと思います そもそもメッセージがあったとしても、観客はそれを五社監督に期待などしていないのです それはあなたが撮るべき映画であるのか? そう思うのです 国民の為だと自分勝手な大義を掲げて、国民が望んでもいない騒乱を起こし、結局国民から見放されたかっての学生運動にも似ているように、自分には見えました さらに1972年2月18日から28日に起こった連合赤軍のあさま山荘事件は、戦後に起こされた226事件のように自分には思えてくるのです 今は2022年 226事件から86年 あさま山荘事件から50年ちょうど その日はもうすぐです 新たな226事件など起こしてはなるものか そのメッセージだけは確実に伝わりました 令和の時代に、左右どちらからも226事件を起こさせない それは私達の責任なのです 天皇陛下に収拾してもらうなんて情けなく恥ずかしいことです 国民主権なのですから
アーカイブの白黒写真と密談する将校たちの白黒映像から徐々にカラー...
アーカイブの白黒写真と密談する将校たちの白黒映像から徐々にカラーと変わってゆくオープニングはとても映画らしい。安藤、野中たちの部隊がそれぞれ要人のもとへ向かい暗殺を企て、岡田総理大臣たちを銃殺。緊迫するシーンだが、後の回想で「夫を殺すなら私を先に殺しなさい」とすがる妻たちの姿が印象的・・・そして、天皇に認められなかったことで悩む青年将校たちの苦悩が真に迫る。 最初の緊迫したクーデターこそ緊張感あるものだったけど、史実に基づき淡々と描いているため途中からは精神論の世界になってくる。貧しい農民のためなどという言葉を聞くとゲバラの映画も思い出してしまうが、昭和維新の思想は皇道派の影響を受け、天皇が絶対の存在としているため、脆さが顕れてくるんだろうな。 意外とオールスターキャストなのがビックリ。だけど個性を消して軍人らしい演技をすることでつまらなくなってる。最後に「天皇陛下万歳」でしめくくるというのも・・・
血と雪が撮りたかった映画
事件当夜の重臣たちの殺害も雪と血、本木雅弘が演じる河野大尉が自決を図るが、このシーンも雪と血。同じテーマの「動乱」よりも、映像としてはこちらのほうがこだわりがあるように思う。冒頭、モノクロから入るのも美しい。 ああ、磯部浅一っておそらくこういう人だったんだろう(演:竹中直人)と思わせてしまうような竹中の演技に着目。 川谷拓三の「死んだらいかんけんね…」のセリフがなんとも言えない暖かさを感じる。
事件の本質に迫ってほしかった
二二六、名前は知ってるけど
二二六、どうしてやったのかは知らない…
CMの替え歌ソングになりましたが、
日本史の試験などで二二六事件の年代を覚え、高橋是清がこの事件で殺害されたことも併せて暗記していたような記憶があります。
しかし、実際のところ、「二二六事件は何のために実行されのか?」と聞かれると、具体的な背景はよくわからず、将校たちが集まってクーデータのようなものを実行に移した、ぐらいの知識しかありませんでした。
映画を見ると、多少、その事件の真相が見えるかもしれないと思ったのですが、映画ではいきなりと言っていいほど、二二六事件実行の雪降る場面の当日で始まり、その事件に至るまでの「課程」や青年将校たちのそこに至るまでの思いなどは描かれておらず、お茶を濁された感じでした。(一番最初に打ち合わせのようなものはあったのですが本当に短い描写で印象に残っていません)
もともと、この事件について深く興味を持っている人や詳しく知っている人などが見れば、想像力を働かせながらドキュメンタリーとして見るという楽しみ方もあるかもしれませんが、二二六事件についてよく知らない人が見たら、歴史の教科書にちょっと毛が生えたぐらいの事件の顛末を知るぐらいで、その本質は見えてこないでしょう。
映画では、「昭和維新」「尊皇討奸」などというスローガンが何度も出てきますが、いまいち、青年将校たちの決起に向かう燃えたぎる思いが伝わってきませんでした。最後の方で昭和維新の歌?だったかが流れますが「義憤に燃えて、血潮湧く」、一直線な愛国への憂いのようなものを、もっと前に打ち出してもよかったのではないか。時系列で淡々と進んで、最後はそれぞれの将校たちとその家族の回想のようなシーンでまとめられ、決起の大義も見えてこず、最後に三浦友和が「天皇陛下万歳!」と叫んでも、全然、訴えるものがありませんでした。
政府を覆して、官僚を襲撃して殺害するという行動にまで行き着かなければならなかったという、狂気に近い、その「志し」の気迫みたいなものがあったはず。
出演されている俳優陣は立派な人ばかり。今はもう亡き大物俳優も多く出演されています。
芦田紳助、川谷拓三、高松英郎、萩原健一、丹波哲郎・・・
結局、本当のところは…?
レンタルDVDで鑑賞。
空前の豪華キャストに魅せられている内に、決起の理由が冒頭で駆け足に語られるだけで、あれよあれよと言う間に2月26日当日を迎えてしまったため肩透かしを食らいました。
雲行きが怪しいと思っていたら、彼らの行動には憂国の志だけで無く、「愛する者を守りたい」と云う一心があると描写され、尻すぼみ的に事態が終息し、さらに肩透かし…
「仁義なき戦い」シリーズで広島やくざの興亡史を鮮烈に描いた笠原和夫が脚本なので期待しましたが、その手腕を持ってしても日本史のタブーの前にはペンを曲げざるを得なかった?
経済の大恐慌と時を同じくして起こった凶作により国民の生活が困窮していたことは事実ですが、それだけが決起の理由として挙げられていることに納得がいきませんでした。
皇道派と穏健派の対立、西欧諸国のアジア進出への危機感と云う周辺事情もあったでしょうが、結局のところ財閥などの巨大な利権が絡んでいたのではないかなと思いました。
二・二六事件を契機に軍部の勢いは拡大し戦争への道を進みましたが、戦争になることで莫大な利益を得られる存在が、彼らの憂国の気持ちを利用して裏から糸を引いていたのでは?
しかし、真実は霧の奥に押し込まれたまま。これだけ有名な事件でも曖昧模糊として実態が掴めません。歴史の教科書も、こう云う出来事があった程度の紹介に留まっています。
深掘りすると何が飛び出すか知れたものではなく、日本と云う国を覆しかねないことが根底にありそうで不気味です。取り敢えず松本清張「昭和史発掘」を読みたくなりました。
※修正(2024/04/22)
後にヤクザ会長になるとは三浦友和(笑)
「アウトレイジ」について考えてたら急にこの映画のことを思い出した。
歴史的ないきさつについてはかなりタブーな部分もある事件で、この映画では東北地方の貧しい農民のことはほったらかしで、甘い汁を吸ってる松方正義とか大臣が許せなくて決起したみたいに描いているが
実際は陸軍内部の皇道派と統制派の派閥争いに過ぎなかったとか、いろいろ言われていてよくわからない。いずれにしろ、大臣たちを何人も射殺したのはまずかった。
それによって昭和天皇の怒りに触れ「朕自ら出陣す」とまで激怒したらしいから逆賊扱いも仕方ないのかな。
陸軍上層部もそれで手のひら返して安藤たちを見捨て、決起組は孤立する。
だが、この事件のあと石原莞爾や辻政信ら統制派が仕切ることになり、こいつらがまたろくでもないから地獄の戦争に突入していった…とも一概に言えないのかな。
まあ、そうゆう難しいことは置いといても、出てる役者がとにかく豪華豪華。
佐野史郎とかもいいけど、竹中直人も味がある。
それに三浦友和、のちに山王会会長のイスを殺してぶんどるチョー極悪親分役をやると誰がこのとき思ったでしょう。
ほとんどおなくなりになった俳優もたくさん出てますが、皆重鎮ばかり丹波哲郎とか
そうゆう面でも楽しめますが、人間ドラマとしてもいいです。扱ってる内容が内容だけにあまり話題にされないよな。
いい映画だと思うけどね〜
訂正
松方正義は時代が違うわ(笑)
誰だったかな、たしか長門裕之がやってた役。似たような名前だったような…また調べてみよう
アップと回想
こういう現代史もの、特に日本の現代史ものって、映画としてどう観るかってことに迷いが生じるんですよね。ある程度、この事件についての予備知識があり、それに対する自分の思いもあるので、その思いが作品としての評価に影響してしまう感じがするっていうかですね。 なので、そういう事前の思いを度外視して、純粋に映画として観たとしたら、えー、印象に残ったのは、そう、アップと回想でした・・・ 青年将校たちのアップ、そしてそれに続く彼らの回想シーン。なんかこの手法が乱発されていて、どうにも興をそがれる感じがありましたかね。もっと、たとえば、ただ窓際にぽつねんと立たせておくとか、そういうので、彼らの寂寥感とかは表現できたと思うんですよね。丁寧にそれぞれの回想シーンをインサートされるんで、なんか逆に悲しくないっていう感じがしましたよ。 彼らの人間的なところを強調したいっていうことなんだと思うんですけど、私はもっと彼らの狂気を垣間見たかった気がしますね。興奮と熱情と虚脱と寂寥と、それらがない交ぜになった狂気が十分に映っているって感じが・・なかったですよ。
ワレ狂カ愚カ知ラズ、一路ツイニ奔騰スルノミ。
映画「226」(五社英雄監督)から。
私たちの知っている「二・二六事件」と言えば、
「日本の陸軍皇道派の影響を受けた青年将校らが起こした
クーデター未遂事件」程度の知識である。
作品の中で印象的なのは、萩原健一さんが演じた
「歩兵第三連隊・野中四郎大尉」が、
ハンカチを窓ガラスに押し付けて、書き綴るシーン。
「ワレ狂カ愚カ知ラズ、一路ツイニ奔騰スルノミ。」
三浦友和さん演ずる「安藤輝三大尉」」も、
「俺はこの言葉で動いた。この言葉で立ったんだ」と、
興奮して言うのだが、この部分の説明は僅かでわからない。
ネットで調べてみても、あまりピンとくる説明もない。
しかし「狂愚」と言う単語で、その糸口を見つけた。
なんと吉田松蔭が、自らを「狂愚」と呼んでいた。
「狂」は積極的に行動する人。
「愚」は退くことを知らぬ馬鹿正直な人間。
「狂・愚」あわせて、積極的な意味をもっているようだ。
ただし「社会に対する絶望の表現」という人もいる。
国をどうするかという意識を強く持ちながらも、
一途な思いで突進していくひたむきな生き方こそ、
青年将校と吉田松陰の共通点ではなかろうか。
いつの時代も「狂愚」と呼ばれる人たちが、社会を刺激する。
その人たちの熱い想いを、どう受け止められるかが、
私たち大人たちの役目であると思う。
この事件が、太平洋戦争に繋がった気がしてならない。
彼らはなぜ決起したのか
総合50点 ( ストーリー:45点|キャスト:65点|演出:45点|ビジュアル:70点|音楽:65点 ) 何故このような行動をとったのかもろくに背景の描写がないまま、いきなり将兵の決起があって襲撃が始まる。彼らが何者なのか・どういう思想をもっているのか・どのような対立構造があるのかも説明がない。教科書にも載る有名事件だから視聴者もある程度の知識はあるのだろうが、歴史とは別にこの映画がどういう立場で彼らを見て描いているのかくらいのことははっきりさせてほしいものだ。 襲撃の場面が襲撃場所ごとに一つ一つ描かれるが、そのわりに演出も古くて迫力がない。歴史的事件として掘り出していくのでもなく、決起した隊員たちを場面場面でわざわざ家族も登場させてたっぷりと時間をかけて悲哀を強調して描いていくことが主軸のようだが、何の脈絡もなく突然長々と登場する家族の姿にわざとらしくてひいてしまう。戦前の日本を震撼させたこの事件をとりあげておいて、失敗した隊員たちの儚さと残された家族というお涙頂戴的なことにしかならないというのはなんとも矮小。それも決起の理由をろくに描かないから彼らがただの混乱をもたらす反乱軍にしか見えなくて、だからろくに同情する気にもならないんだな。
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