敦煌のレビュー・感想・評価
全9件を表示
人生の虚無感を解消するための目的探し
宮城谷昌光の『三国志』が好きなのもあり、中国周辺の地理にも興味が湧いたため、原作を十数年前に読んだ。でも内容をほぼ覚えておらず、今作を新鮮な気持ちで観た。
今作のテーマは、人生の虚無感とそれを解消するための目的探しだったのかなと思う。科挙に失敗して西夏に行ったのも、ウイグルの王女を匿ったのも、経典を焼失から守ったのも、全てはそのためで、趙行徳は常にどうしようもない虚しさを抱えているように見えた。しかし、ストーリーに対してはそれ以上のものを感じられなかった。
ただ、今作は映像美が秀逸で、広大な砂漠や夕焼けの中で大軍が行進する様は『アラビアのロレンス』を連想させる圧巻のスケールだった。
正直面白くない。 スケールの大きさから力の入れ具合は伝わったが、ど...
正直面白くない。
スケールの大きさから力の入れ具合は伝わったが、どの人物も描写が薄く、全く魅力的に感じられない。渡瀬恒彦などは異人役でもはやいるだけ(笑)
長いのも、もはや退屈を感じさせるだけであった。
主役は、敦煌や莫高窟と共に、人間の活動をも浄化する砂漠だったろうか…
言わずと知れた井上靖原作の作品だが、
平山郁夫のシルクロード画を知ったのが
NHKの特集番組「シルクロード」
の頃だったのか、
この映画の頃だったのか、今となっては
忘却の彼方となってしまった中での、
1988年のロードショー以来の再鑑賞。
キネマ旬報ベストテンでは、
第1位選出の「となりのトトロ」や
「火垂るの墓」のジブリ勢と、
私の大好きな黒木和雄監督の
「TOMORROW 明日」が上位を占める中、
第13位との評価だった。
しかし、日本映画としてはかなりの大作だ。
沙漠でのスペクタクルとしては
デヴィット・リーン監督の
「アラビアのロレンス」を、
また、敦煌城での攻防は
「イントレランス」を思い浮かべたが、
それらに引けを取らない位の大作の趣だ。
旧ソ連の「戦争と平和」も同様だったが、
この作品での人民解放軍による
合戦シーンも大迫力で、
良し悪しは別にして、
共産主義政権下の軍隊による
スペクタクルシーンは、
昨今のCGによるものにはない
リアリティを感じる。
そんな中国側の協力と友情に
支えられたこの作品だが、
現在はそんな映画製作が想像出来ない
残念な政治状況になってしまっている。
さて、この作品、
井上靖さんの文字文化への想いと、
莫高窟から見つかった膨大な古文書への
推理をベースに、
共に愛した女性を心に秘めた二人の男性の
戦いが、核心と言えば核心なのだろう。
しかし、主役は敦煌や莫高窟と共に、
人間の活動をも浄化する砂漠なのだろうと
思わされる描写が印象的だった。
かつては原作本も読んだものだが、
果たして小説では
この点についてどう感じ取れていたのだろう
か、との記憶も、
これもまた、忘却の彼方となっていることを
思い知らされる鑑賞となってしまった。
厳しい砂漠の闘い
佐藤浩市扮する宗の趙行徳は、科挙の試験で西夏について問われ落ちたので敦煌へ行く事にした。しかし趙行徳は、西田敏行扮する 西夏軍朱王礼に捕らえられ従卒になった。
ウイグルだとか西夏だとか砂漠の闘いは厳しいな。凄まじいばかりの規模の撮影時もさぞや暑かっただろうね。それに砂漠の逃避行なんて死にに行く様なものだ。でも前半は恋愛物だったとは意外な展開だったね。
敦煌文書発見から思いを巡らせた歴史浪漫
沙漠が広がる過酷な西域、優しさは愚かさであるという現実を受け入れられない主人公。
征服欲や所有欲に飲まれた者、愛を貫く者、先人から引き継がれた物を後世へと伝える事に命を懸ける者。そうした様々な人の生き様を目の当たりする。
その後、彼はどの様な人生をおくったのか。それともあの場で息絶えたのか、想像がつきない。
様々な人の行いが折り重なって出来た歴史。その断面から垣間見れた物から、更に奥行きへと多くの対比を重ねながら想像を膨らませる。何とも浪漫にあふれた作品だ。
…
僧侶の言った「他人が苦しますではなく、己の心が己を苦しますのだ」という言葉は身につまされる。
32年前の映画ですね。 井上靖の原作です。 広大な砂漠の風景等映像...
32年前の映画ですね。
井上靖の原作です。
広大な砂漠の風景等映像はすばらしかった
が、少し難しいと思う。
中国の歴史が好きな人にはオススメです。
中国ロケの超大作、敦煌や莫高窟
敦煌城セットを現地で作る等製作宣伝費で45億円かかっているとか。
広大な砂漠などスケール感がないとはいわないが、迫力はイマイチ。映像も音楽・録音も時代を感じる。
中川安奈は中盤でいなくなってしまうし。
佐藤浩市より西田敏行のほうが凛々しくて目立ってる。
アクションものというよりシルクロード好きな人向け
遺跡の影の一つ一つには、大勢の人の命運が隠れている
総合:85点
ストーリー: 90
キャスト: 85
演出: 85
ビジュアル: 85
音楽: 65
砂の中に埋もれていた遺跡が1つ。しかしその遺跡の影には数多くの人々の数奇な運命と命のやり取りがあった。
特に西田敏行演じる朱王礼が印象に残った。彼もまた漢人でありながら都から数千キロの辺境の地に流れ、そこで野望を背に周辺を巻き込み命をかけた大博打に打って出る。成功目前でちょっとしたことで歯車が狂い計画通りとはいかなくなり、それでも諦めることなく微かな可能性にかけて突撃を繰り返すが押し返される。「三度突撃したが、三度李元昊に届かなかった。四度目の突撃をする力は尽きた。俺はずっとこんな死に方が俺にふさわしいと思っていた。」と力尽き崩れ落ちる姿に、一生に一度の大勝負に挑んだ彼の運命の重さと儚さを感じた。
わざわざ中国まで撮影にいった実写映像はかなり美しい。砂漠にオアシスに古い城壁がそのまま登場する。流石に「レッドクリフ」のように数千人規模の部隊が縦横無尽に駆け回るとまではいかなかかったが、数百人程度と思われるエキストラが戦闘をするのは日本映画としては健闘している。
現在に残る遺跡からはそんな人々のことまではわからない。たとえ歴史に名を残していなくても、だが現代に生きる人々が、実際に多くの人々が時代を命懸けで生き抜いていたというそんなことを遺跡から想像できてしまうのが浪漫である。しかし浪漫では済まされない命のやり取りを当時の時代背景は含んでいた。そんな悠久の時の流れを感じさせる映画。
全9件を表示