敦煌のレビュー・感想・評価
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ペンは剣よりも強し…中国版?
バブル期に、巨額な費用を投じて邦画で「三国志」の
一つのエピソードを製作だが、完全に中身が空回りしている気が…
戦国群衆活劇の映像も、これより後の「飛んでもない製作費」を掛けた
『天と地と』には劣り、この作品の存在意義は失われる。
西洋の「ペンは剣よりも強し」を、北東アジアでの
「書物を書く筆は矛よりも強し」を、描きたかったのでしょうか?
陳腐なラブロマンスも、要らんエピソードである。
壮大な凡作かなあ
佐藤純彌監督は新幹線大爆破以来の好きな監督で、井上靖作品にチャレンジして期待したけど。広大な砂漠と過酷な自然との闘い、戦争シーンという表面的な映像に終始し、大切な人物像の切れ込みが薄い感じ。なんか残念だな、主人公の感情の起伏とかもっと掘り下げて欲しかった。
主演は西田さんで佐藤さんじゃないという違和感。だからへんてこな人物描写になっていると思われる。徳間さん、末期の大映に忖度したのか、日本アカデミーも西田さんが主演賞であれあれ。西田さんは優れた役者だと思うけれど、なんかちょいと違う感じ。どうして作品賞までとれたんだろう? 過酷な撮影現場で頑張ったスタッフにもキャストに感服はするけど。とにかく、どうもしっくりしない大作だった。
CGもない、37年前の映画だから、それなりですが・・・。どうも、こ...
人生の虚無感を解消するための目的探し
主役は、敦煌や莫高窟と共に、人間の活動をも浄化する砂漠だったろうか…
言わずと知れた井上靖原作の作品だが、
平山郁夫のシルクロード画を知ったのが
NHKの特集番組「シルクロード」
の頃だったのか、
この映画の頃だったのか、今となっては
忘却の彼方となってしまった中での、
1988年のロードショー以来の再鑑賞。
キネマ旬報ベストテンでは、
第1位選出の「となりのトトロ」や
「火垂るの墓」のジブリ勢と、
私の大好きな黒木和雄監督の
「TOMORROW 明日」が上位を占める中、
第13位との評価だった。
しかし、日本映画としてはかなりの大作だ。
沙漠でのスペクタクルとしては
デヴィット・リーン監督の
「アラビアのロレンス」を、
また、敦煌城での攻防は
「イントレランス」を思い浮かべたが、
それらに引けを取らない位の大作の趣だ。
旧ソ連の「戦争と平和」も同様だったが、
この作品での人民解放軍による
合戦シーンも大迫力で、
良し悪しは別にして、
共産主義政権下の軍隊による
スペクタクルシーンは、
昨今のCGによるものにはない
リアリティを感じる。
そんな中国側の協力と友情に
支えられたこの作品だが、
現在はそんな映画製作が想像出来ない
残念な政治状況になってしまっている。
さて、この作品、
井上靖さんの文字文化への想いと、
莫高窟から見つかった膨大な古文書への
推理をベースに、
共に愛した女性を心に秘めた二人の男性の
戦いが、核心と言えば核心なのだろう。
しかし、主役は敦煌や莫高窟と共に、
人間の活動をも浄化する砂漠なのだろうと
思わされる描写が印象的だった。
かつては原作本も読んだものだが、
果たして小説では
この点についてどう感じ取れていたのだろう
か、との記憶も、
これもまた、忘却の彼方となっていることを
思い知らされる鑑賞となってしまった。
厳しい砂漠の闘い
敦煌文書発見から思いを巡らせた歴史浪漫
中国ロケの超大作、敦煌や莫高窟
敦煌城セットを現地で作る等製作宣伝費で45億円かかっているとか。
広大な砂漠などスケール感がないとはいわないが、迫力はイマイチ。映像も音楽・録音も時代を感じる。
中川安奈は中盤でいなくなってしまうし。
佐藤浩市より西田敏行のほうが凛々しくて目立ってる。
アクションものというよりシルクロード好きな人向け
遺跡の影の一つ一つには、大勢の人の命運が隠れている
総合:85点
ストーリー: 90
キャスト: 85
演出: 85
ビジュアル: 85
音楽: 65
砂の中に埋もれていた遺跡が1つ。しかしその遺跡の影には数多くの人々の数奇な運命と命のやり取りがあった。
特に西田敏行演じる朱王礼が印象に残った。彼もまた漢人でありながら都から数千キロの辺境の地に流れ、そこで野望を背に周辺を巻き込み命をかけた大博打に打って出る。成功目前でちょっとしたことで歯車が狂い計画通りとはいかなくなり、それでも諦めることなく微かな可能性にかけて突撃を繰り返すが押し返される。「三度突撃したが、三度李元昊に届かなかった。四度目の突撃をする力は尽きた。俺はずっとこんな死に方が俺にふさわしいと思っていた。」と力尽き崩れ落ちる姿に、一生に一度の大勝負に挑んだ彼の運命の重さと儚さを感じた。
わざわざ中国まで撮影にいった実写映像はかなり美しい。砂漠にオアシスに古い城壁がそのまま登場する。流石に「レッドクリフ」のように数千人規模の部隊が縦横無尽に駆け回るとまではいかなかかったが、数百人程度と思われるエキストラが戦闘をするのは日本映画としては健闘している。
現在に残る遺跡からはそんな人々のことまではわからない。たとえ歴史に名を残していなくても、だが現代に生きる人々が、実際に多くの人々が時代を命懸けで生き抜いていたというそんなことを遺跡から想像できてしまうのが浪漫である。しかし浪漫では済まされない命のやり取りを当時の時代背景は含んでいた。そんな悠久の時の流れを感じさせる映画。
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