映画ドラえもん のび太のねじ巻き都市冒険記のレビュー・感想・評価
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問題作
ショックを受けた。
ドラえもんといえば冒険に行ったその先であからさまな悪者や政治思想が違って争いが起き、自国を匂わせる程度で結局メルヘンに包まれてるところが美点だと思っている。
これは家に指名手配犯が忍び込む現代ホラーから始まる。表現方法が違えば立派なサスペンスだ。おもちゃたちが大気汚染に口を出すのもダイレクトすぎる。
上映当時はこんな世の中が来ないはずだったのかもしれない。
しかしのび太くんはかっこいい。
指名手配犯の集団に追われて地面の裂け目をハシゴで渡るだけでもすごいのに、しずかちゃんのスカートが挟まって空中で動けなくなったとき躊躇いなく助けに行く。
その後落ちてしまうのが彼らしく、しずかちゃんがずっとのび太くん気にしてるのが普通でよかった。他のメンバーはのび太くんの生命力過信しすぎだ。ガケに落ちて「無事だといいな」はさすがに無理がある。
種蒔く人の想いとは?
ドラえもん(映画)シリーズ第19作。
WOWOWシネマで久しぶりの鑑賞。
原作は未読です。
創造主や生命の進化、環境問題など、深いテーマが内包されていたことに驚かされました。藤子.F.不二夫さんが子供たちに伝えようとしたことのスケールの大きさに唸りました。
※鑑賞記録
2022/04/16:Amazon Prime Video
タイトルなし(ネタバレ)
宗教的な話でビックリした。
種を蒔く者(神)が火星と地球に生命の種を蒔いた結果、火星は失敗し地球は成功、人間が生まれたという設定。神はあくまで観察者という立場で惑星に住む者に問題解決を委ねるのだ。本作の舞台となるのび太が見つけた地球型の惑星も種を蒔く者が作った星のひとつ。
生命のねじを使ってぬいぐるみに生命と知恵を授けたのび太たちは、彼らにとっての神そのもの。ぬいぐるみ達は自ら進化を遂げ、のび太たちの管理(神の支配)から自立する。ねじまき都市の工事現場を監督するジャイアンを裁判にかけるくだりは、微笑ましいというか怖かった。生命を授けられたぬいぐるみが、豚、馬、羊、牛、恐竜と人間世界における家畜や絶滅動物であるのも意図的なのか、はたまた偶然か、とても気になった。
とくに考えさせられたのは凶悪犯の描き方。たまごコピーミラーによって凶悪犯のクローンが量産されるのだが、1人だけ顔にホクロのついた善人が生まれる奇妙なエラーが発生。彼の手ほどきによって最終的にピンチを脱し、クローンを一体の人間に戻すと、ホクロの方に悪の人格が統合される驚愕のオチが待っているのだ。悪人が持つ善の心を認めた神が生まれ変わるチャンスを与えたとも深読みできる。
タブーに近いテーマをさらっと子供が楽しめるビジュアルで見せてしまうのがドラえもんの凄さだ。そういえば、竜の騎士も創世日記も雲の王国も、のび太が神となってパラレルワールドを創り観察を始め、最終的に種の滅亡を救っている。藤子先生のメッセージは一貫しているなぁとあらためて感慨深い気持ちになった。
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