血と砂(1965)のレビュー・感想・評価
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若き少年軍楽隊の熱い戦いを主軸に据えた、岡本喜八監督らしいエネルギーに満ちた戦争映画
1965年製作/131分/日本、配給:東宝、劇場公開日:1965年9月18日。
最前線に送り込まれた少年軍楽隊の精一杯の戦いが描かれている。それを指揮する曹長が三船敏郎で、一緒に戦う一等兵が佐藤允、伊藤雄之助及び天本英世。この部隊を送り込んだ大尉が仲代達也となかなかに豪華な俳優陣。
三船曹長に惚れている慰安婦役が団令子で、最前線の砦まで押しかけてきて、少年たちの筆下ろしもしてあげる。陰湿性ゼロで戦場における一種のマドンナ的な描かれ方で、岡本監督らしく感じた。
ユニークなことに全編でミュージカルの様に戦場で軍楽隊による音楽が響き渡っていたが、最後(終戦日8/15)に音楽を奏でながら敵攻撃により少年たちも含めて、全滅するのが何とも痛ましい。
監督岡本喜八、脚本佐治乾 、岡本喜八、製作田中友幸、撮影西垣六郎、美術阿久根巖、音楽
佐藤勝、録音西川善男、照明西川鶴三、編集黒岩義民、スチル秦大三。
出演
小杉曹長三船敏郎、持田一等兵伊藤雄之助、犬山一等兵佐藤允、志賀一等兵天本英世、お春こと金春芳団令子、佐久間大尉仲代達矢、三保少尉伊吹徹、根津曹長名古屋章、中野伍長長谷川弘、原田大沢健三郎、大賀根津克巳、今井木下陽夫、吉野樋浦勉、植木仲村紘一、関阿知波信介、矢部宮尾博、渡伊東昭夫、坪井西川明、斎藤関富士夫、大川木村豊幸、猪又金井和博、佐伯日吉としやす、陳少年(ゲリラ)木浪茂、小原見習士官満田新二、杉山滝恵一、
稲本宇野晃司、出口加藤茂雄、銃殺隊下士官桐野洋雄、ゲリラA伊原徳、ゲリラB鈴木治夫、八路観測兵伊吹新、苦力A沢村いき雄、苦力B小杉昇司、慰安婦A森今日子、慰安婦B浦山珠実、慰安婦C河美智子。
もっともっと再評価されても良い戦争映画の大傑作!
「映画監督・岡本喜八 生誕100周年記念プロジェクト in 新文芸坐 vol. 3特集「戦中派」岡本喜八」(24年8月1日~21日)いよいよ本日最終日。
特大ゲリラ豪雨に直撃されましたが、何とか最終上映『血と砂』(1965)に滑り込みセーフ。
『血と砂』(1965)※ネタばれあり
終戦間近の日中戦争最前線。
戦闘経験のない少年軍楽隊13名が最前線に転属。
転属に反対したベテラン曹長(演:三船敏郎さん)が3名の古参一等兵(演:佐藤允さん、伊藤雄之助さん、天本英世さん)、曹長を慕う慰安婦(演:団令子さん)らと共に彼らを訓練し、敵陣奪取に挑む戦争アクション映画。
まずは大のジャズ好きな岡本喜八監督らしく軍楽隊の演奏曲は「ディキシーランド・ジャズ(ニューオーリンズ・ジャズ)」。
細かいカット割りによって生まれるリズム感とテンポの良さはため息がでるほど見事。
前半はユーモアを交えながら痛快娯楽アクションとして突き進むが、敵の猛攻にひとり、またひとりと少年たちが戦死することで演奏楽器も減り、最後はトランペットのソロ演奏だけになる…娯楽性を前面に押し出しながらきちんと反戦メッセージを訴える、本当に良くできたストーリーです。
また、三船敏郎さんの豪放磊落ながらも他人に繊細な指揮官、豪快な笑顔が印象的な佐藤允さん、大戦時は実際に通信兵だった天本英世さん、コメディリリーフの伊藤雄之助さん、実は部下思い職業軍人の仲代達矢さんと、まるで当て書きのような完璧なキャスティングでしたね。
喜八監督作品はどれも傑作で優劣はつけがたいですが、もっともっと再評価されても良い戦争映画の大傑作ですね。
タイトルなし(ネタバレ)
少年たちを生き延びさせようと思って女を抱かせてやるというのが根本にある。それを軍楽隊にしたのは映画オリジナルで、原作は普通の兵隊。ミュージカル志向でもあり、その時代の少年たちのジャズ生まれかジャズ育ちというバックグラウンドを考え、それに則った。
小杉が隊長を指して「職業軍人にしては出来が悪いっ」
葬儀屋「靖国神社へなんか行くなよっ、ほかの神様たちに虐められちゃうから」童貞を破ったクイーンを守る為の闘いはシロモンの軍楽隊をセミプロそして、プロの兵士に。
映像と音の使い方が素晴らしい。井戸に樽が落ちると同時に殴りを入れる。同じ似た動作を重ねてシーン展開など。リズムが良い。
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