道頓堀川のレビュー・感想・評価
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松坂慶子が美しく、丁寧に撮られていて、これが深作欣二監督かと驚くほどです
大阪にはキタとミナミの二大繁華街があります
キタは大阪駅の周辺で東京なら銀座や日比谷のイメージ、ミナミは難波駅の周辺で新宿のイメージです
キタはよそ行きの建て前の顔なら、ミナミは普段着の本音の顔をしています
そのミナミのど真ん中を川が東西に流れています
それが道頓堀川です
掘と地名につくように、人間の掘ったもので江戸時代や明治の頃までは運河として水運に使わていました
今はただの川としか受け止められていません
道頓堀とだけいえば、その川に沿っていろいろな店が無数に立て込んでいる界隈を指します
その川だけを指す時だけ、道頓堀川といいます
今から丁度40年前の道頓堀や、桜ノ宮のホテル街などの大阪の光景が沢山写ります
道頓堀川も鏡のような川面、両脇の高い雑多なビル、無数のネオンは基本今もかわりません
全国的に有名なグリコのネオン看板もここにあります
つまり大阪のど真ん中
へそのようなところです
そこに集まる人間模様も強烈で濃密なものになるのは当然です
道頓堀川の水面は鏡のようでも泥水です
川底にはヘドロもゴミもあって見えないだけなのです
道頓堀川はそんな人達の喜怒哀楽を眺めて今日も流れています
深作欣二監督がなぜに松竹で女性を映画撮っているのでしょうか?
そんな疑問符が浮かびます
松竹が深作欣二監督を招聘して何か撮りたいという話が本作の振り出しだったそうです
何を撮るかなかなか決まらないうちに、青春の門で深作欣二監督は松坂慶子に惚れ込み、彼女をまた撮りたいとまずそれが決まったそうです
そこに本作の脚本がタイミングよくわまってきて、これで行こうということになったのが、アクション映画でない女性との恋愛がメインとなる映画を深作欣二監督がとることになった経緯です
つまり松坂慶子ありきの映画と言うわけです
お話は松坂慶子を道頓堀川にみたたて、その両脇に様々な登場人物のストーリーが配置されています
終盤のハスラー親子対決はなかなかの名シーンですが、あくまでも松坂慶子が主演です
出番が真田広之、佐藤浩市、山崎努よりも少なくてもです
松坂慶子が美しく、丁寧に撮られていて、これが深作欣二監督かと驚くほどです
ただラストシーンはやはり深作欣二監督らしい終わり方でした
監督はハッピーエンドが許せなかったのでしょう
一人だけ幸せになって道頓堀を抜け出して、確かな人生を歩みだそうという青年の背中でエンドマークなんて有り得ないと思えたのでしょう
いちぬけたなんて許せなかったのだと思います
クライマックスは相合橋辺りの道頓堀で、夜間に本当にロケをして撮影されています
道頓堀の中でも特にごった返している辺りです
東京なら歌舞伎町の風林会館の前辺りで、夜間にロケしたようなものですからどれほど凄いことかおわかりいただけると思います
ブラックレインとならぶ道頓堀での夜間撮影の偉業です
コロナ禍で道頓堀にも遊びにいけません
道頓堀のグリコのネオンサインの足元辺りにある馴染みのバーにとても行きたくなりました
本作撮影当時よりも以前から営業しているそうです
今は二代目のマスターが跡を継いでいます
通い始めてまだ10年ほどですが、いろんな人と出逢いました
道頓堀は大阪でも、選りすぐりの濃い人間が集まるところなのです
そのバーは、本作の喫茶店リバーのように窓から道頓堀川が見えます
道頓堀川に反射するネオンは綺麗ですよ
水の下に何が沈んでいるのか
水がどれほど汚れているのかそんなものは見えないのです
美しく見とれてしまうと思います
山崎さんの艶!!!
お年を召した山崎さんのファン。この頃も青年の父親役なので決して若くはないのだけれど、私が普段見慣れている山崎さんよりもっと若くて(当たり前だ)、ほれなおしてしまいました。いい男は若い時も、年の重ね方もすてき!!!
大阪。行ったことがない頃に初鑑賞。大阪の街を、この映画や大阪を舞台にした歌で想像して、憧れたなあ。
基本は、真田さん演じる青年と、その恋人を巡る物語。
アクション俳優としての売り方が多かった真田さんの初めてのアクションなしの映画で、新人賞かなんかとったんじゃなかったっけ?
賞をとったというのもうなづけるほど、この映画以前の役と違って、繊細で孤独な青年を演じている。
でも、もう一つの筋の山崎・佐藤浩市親子を巡る物語が半端なく、派手で緊迫感があるから、印象がそっちにもってかれてしまう。
正直、佐藤さんはまだ演技もへたで喚き散らすだけなんだけどね。やっぱり山崎さんがビシッと締めて下さるからなあ。
不評のラストはうろ覚え。なんだかなあと思ったような記憶が。(公開時に鑑賞)
原作未読。
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