「父は、今も昔も変わらない」東京物語 hanataro2さんの映画レビュー(感想・評価)
父は、今も昔も変わらない
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随分前にテレビ(だと思う)で観た時は、あまりに抑揚が無い展開に寝てしまった記憶がある。
今回ネットフリックスにあがっていたので、字幕付きで観た(古い邦画はデジタルリマスターでも音声が聞きづらいので、字幕付きがおススメです)。
面白かったっていうか、感慨深かった。
70年前も今も、親の気持ちは同じなのだ。さらに、その親は子どもを戦争で失っているシチュエーションで、究極の反戦映画なのではないだろうか。そして、原節子の最後の独白も素晴らしい。
医者目線だと、トミの死因は脳卒中であろう。今はカテーテル治療や手術、薬物など、さまざまなセレクションがあるが、当時は氷嚢を頭にのせているだけだったのだ。医者同士で使っている言葉も全部ドイツ語というのも時代だなと思う(私は58歳だが、自分が医学博士をとる時には英語とドイツ語の試験があった、今はドイツ語の授業すらない)。
一番、感銘したのは、戦後間もないためか、死が誰にも訪れて、仕方ないという捉え方である。
現在は90歳寝たきりの患者が、急に亡くなっても「老衰」では納得しない家族が実際に詰め寄ってくる。そういう意味では医師としては、良い時代かもしれない(でも、往診などは、しっかりしているから、大変ではあったと思う。現在の在宅医療の原点)。
ジム・ジャーウィッシュを始め、皆がオマージュする理由がやっとわかった。
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