東京上空いらっしゃいませのレビュー・感想・評価
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愛おしい、切ない、この世の数日間が輝いている
元気一杯、牧瀬里穂演じる主人公ユウの最後の数日間。
やっと自分らしい毎日を過ごせて良かったと言う。
切ない愛おしい数日間が、本当に輝いている。
最後のダンスシーンも素晴らしい。
(が、いかにも歌が吹替なのが残念、下手でも本人が歌ってたら良かったのに。)
今回の公開のために作られたポスターの写真が秀逸。
それにしても、交通事故のきっかけ、芸能界の闇の部分が、今観ると妙に生々しい。
なぜか昔なら普通にありそうな話で、何とも感じなかったのは、半分都市伝説のように甘く考えていたからでしょうか。
今観ると、映画なのに、本当に嫌になってしまう。
ユウは何も悪くないのに、スポンサーの男はのうのうとしているままなのが、非常にスカッとしない。
毛先が球
懐かしい!けさきがきゅう!(ユウが買った歯ブラシ)
牧瀬里穂の長回しのダンスシーンがいつ見ても美しい。バレエをやってたから回転がきれい。
なんてことない数日間で、それがとてもいとしく感じられる。儚いものへのやさしさ。
加藤登子とか憂歌団とかが歌ってるいろんなバージョンの帰れない二人が流れるのがとてもよかった。
それにしても日本映画って雨降らすの好きだな。そして今見るとリアリティを感じてしまう芸能界の闇…。
相米慎二は厳しかったというけどこれだけのものになるなら本望ではと思った。フイルムに焼き付けられた永遠。
梯子で上り下りする部屋もおしゃれで90年代の東京を感じた。車は多摩ナンバーだったけどあれはどこの設定なのかなー。
あのJRのCMの女の子
牧瀬里穂
相米慎二監督作、牧瀬里穂のデビュー作品である
牧瀬里穂は自分と同い年、同学年の数少ないスター俳優(他は藤原紀香、萩原聖人くらい…)
当時の牧瀬里穂は前年のJR東海のシンデレラエキスプレスのCM(山下達郎の例の歌、日本がバブルで一番ウカレポンチだった時代)で注目され、このデビュー作品
当時は洋画全盛で、自分はこの映画に全く興味がなかったのだが(アイドル映画だし…)現在齢50も過ぎドレドレと師走の渋谷まで…
とにかく、デビュー直後の牧瀬里穂が常に声を張り上げて演技も一本調子、共演の若き鶴瓶も二役をこなしているが、両方ともはっきり言ってウザイ…
牧瀬里穂は男の子みたいなキャラで、髪型も前髪ぱっつん、子連れ狼の大五郎みたいだ(色気ゼロ、まだ当時18だしね)
中井貴一が出てきて何とか場を中和するという感じ
鑑賞中、昭和の大映ドラマ堀ちえみ主演の「スチュワーデス物語」を観ているような(あそこまで酷くはないか…)
中盤、牧瀬里穂がハンバーガー店でアルバイトをするのだが、バイト初日から突然ワンオペにされ、注文されたハンバーガーを適当に残飯のように作るシーンが唯一、個人的に大爆笑!&制服姿が可愛かった(それを相米演出、伝家の宝刀長回しでみせる!)
牧瀬里穂はその後、宮沢りえ、観月ありさで3M(スリーエム)と一括りにされ、歌も出し(やっぱり歌い方も一本調子)それなりに時代の寵児だったが、はなわに佐賀県の歌で松雪泰子と共にネタにされ、気づいたらNIGOと結婚し、現在に至る
公開当時の自分は、渋谷駅徒歩3分(桜丘)の風呂なしトイレ共同、日当たりゼロ、家賃2万円台のアパートに住んでおり、人生初のゴ◯ブ◯体験や、クーラー無し物件だったのでその夏体重10キロ減⤵️大学生なのに(アパートの前の)コンビニで夜勤三昧…
バブルとは全く無縁の生活だった、と…オワリ
本作はバブル崩壊そのものを予言していたのです
1990年6月公開
バブルの絶頂期でした
正確に言うとその半年後です
東京証券取引所の日経平均株価の最高値は1989年12月の大納会の日に記録されました
つまり本作はその半年後の公開だったのです
画面からはバブル景気に沸き立つ様子があふれています
死んだのに死んでいると分かっていないヒロインが、死神を騙して現世に留まろうとするコメディです
そんな風にいくら足掻いてみても、死んでいることには変わらない
いつか必ず天国に登るほかないのです、というお話です
単なるファンタジー?
違います!
本作はバブル崩壊そのものを予言していたのです
バブル景気は半年前に死んだのです
なのにまだ生きているかのように、その死を誰も認めようとしないのです
挙げ句の果てには、不適切会計という言葉で言い換えて糊塗した粉飾決算で死神を騙して現世にしがみついた一流企業がいくつもでました
相米慎二監督は、わずか半年でバブルが死んだことを見抜いていたのです
そしてこれから何が起きるのかを見通してすらいたのです
タイトルの「東京上空いらっしゃいませ」とはどういう意味かもうお分かりでしょう
東京は、上空の天国に早くいらっしゃいということです
バブル崩壊を認めて早く手仕舞いしなさい
そうすれば東京は天国に行けるということです
そして死神を騙して死んだ事をごまかしているなら地獄に落ちることになるということです
果たして東京は数年後地獄の一歩手前までいったのです
地獄の釜の蓋が開いたのを目撃したのです
幸いに釜の中に放り込まれるまえになんとか踏みとどまる事ができたのです
その過程でどれだけ多くの人々が苦しんだことでしょうか
牧瀬里穂は公開当時18歳
本作の半年前、そうバブルが本当の絶頂を記録した1989年12月に流れた伝説のCM JR東海「クリスマス・エクスプレス」で注目を浴びたばかりでした
このCMは未だに人々の記憶に大きく刻まれています
彼女が可愛いかったから?
そのCMに使われた山下達郎の楽曲が恐くマッチしていたから?
もちろん、それもあります
でも本当の理由はバブルの絶頂の瞬間をものの見事に切り取っていたのだと思うのです
そのその彼女をヒロインに据えてバブル崩壊の映画を撮る
相米慎二監督のなんという恐るべき慧眼なのでしょうか!
本作は近年何故か視聴困難になっています
残念でなりません
再評価されるべき傑作です
薬師丸の発声法演技法の踏襲。
直前鑑賞の「夏の庭」が良かったので、同監督のこの作品を。 正直がっ...
やなやっちゃなーその顔どうにかしてよ
●ザ・相米慎二。ザ・牧瀬里穂。
相米作品は若手女優が眩しすぎる。薬師丸ひろ子もそうだったけど。
もう勢いしかない。ハンバーガー作るシーンなんて見てられない。セリフも怒鳴り声の一歩手前。でもそれが、ホントいい。
もう牧瀬里穂しか見えない。中井貴一が目に入らん。はち切れんばかりの笑顔。一挙手一動足が全力。演技でなく、全身で若さを表現してる。
「邪魔だろうけど、もうちょっと置いてくださいっ」
あんな真っ直ぐな眼差し、オレはいまだ知らない。
名曲「帰れない二人」が流れてひっくり返る。毬谷友子が若くてキレイ。モロ師岡が渋い。なんなんだ、この作品は。奥が深すぎる。
屋形船のシーン、唇ブルブル、あっさりクライマックスからのラスト、秀逸だ。献辞の「空いた名前ふたつ小島良雄と中野俊夫に捧げる」。ふたりは裏方さんのようだ。もっと相米作品を見たかったなあ。
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