東京裁判のレビュー・感想・評価
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4時間37分、悲劇の歴史を俯瞰する旅
4Kデジタルリマスター版を鑑賞。
観ながら、膨大なフィルムから取捨選択し歴史の大きなうねりを1本の映画にまとめる編集作業はめちゃくちゃ大変だっただろうな、と感じさせられた大作ドキュメンタリー。
4時間37分、あっと言う間でした。リマスターされた映像が鮮明で、法廷の緊迫感がひしひしと伝わって来ました。
客観的な視点に立って、極東国際軍事裁判と云う日本の転換点となった出来事を中心に戦前戦中戦後を考察し、総括。
裁判の模様だけでなくそこに至るまでの経緯や世界情勢を織り交ぜた構成により、悲劇の歴史への理解が深まりました。
つまりは大日本帝国の成り立ちからその終焉までを描く壮大な物語であり、戦争の本質を鋭く問い掛けているな、と…
裁判の孕む矛盾や思惑がかなり衝撃的で、「この法廷は正当性を欠いているのでは?」と疑問を挟まずにはいられない。
判決に取り入れられなかった、と云うよりも「無視された」に近い少数意見の重要性はあまりにも大きいと思いました。
何を裁き、何が裁かれなかったのか。その問いを鋭く突きつけた後の、ラストの写真が脳裏に焼きついて離れません。
[余談]
城山三郎の「落日燃ゆ」を読んだので、広田弘毅のエピソードは特に心が前のめりになりました。死刑を言い渡され、恐らく家族に向かって頭を下げた時の表情が印象的でした。
知らないことが多すぎた
東京裁判と言いながら、日清、日露戦争やその後の満洲事変、欧州の戦況、アメリカの嫌がらせ、ガンジーの死去など、背景や日本が戦争をしなければならなかった状況などの事実を知ることが出来、貴重な体験だった。
これまで戦争して負けた国の指導者が「戦争犯罪」なんて罪で裁かれたこと無いのに、この裁判が戦勝国による偏ったものであったことなど改めて明らかになり本当に貴重な作品だと思う。
東京裁判って、アメリカの意向で今後天皇を利用する為天皇を戦争犯罪者にしないように他の人が天皇の意向に背いて戦争を始めたというストーリーが決まってた、だから戦争を始めた当時の首相などが絞首刑になった、くらいは知ってたが、本人の証言を当時のフィルムでみると特に東條元首相の、天皇の意向に背いてはいない、しかし天皇に責任を負わせてはいけない、と苦悩してる姿などが印象的だった。
ブレイクニー弁護士などが、この人達を戦争犯罪者と言うなら、広島に原爆を落とす指示をした人達も犯罪者として裁かれないといけない、などアメリカ人でもまともな事を言う人がいた事に驚いた。
インドのパル判事は全員無罪と言っていたのも印象的だった。
4時間37分が全く長く感じないものです。是非多くの人に観て知って欲しい内容の作品です。
ドキュメンタリー映画を左右するナレーターの力
特筆すべきは佐藤慶の圧巻のナレーション。終始冷静に、しかし緊迫感を持って胸に迫るナレーションは、上映4時間半を短く感じさせるほどのパフォーマンス。
デジタルリマスターを経た滑らかな映像、膨大な量のリアルな内容、知っているようで知らなかった歴史。
憲法9条の文言が示されるタイミングは鮮やかでした。
あれほど立派な裁判を行なった戦勝国と世界は、何故今も戦争や侵略を繰り返しているのですか。
巨匠小林正樹監督の執念に脱帽
極東国際軍事裁判
日本の将来を左右したこの裁判はその総てを余すところなくフイルムによって記憶されていた。
巨匠小林正樹がこの膨大なフイルムを執念で編集し、さらに当時の様々な出来事も挿入しながら‘果たして戦勝国が敗戦国を裁くのが正しいのか?’‘戦争とは?’を世界に問う。
上映時間は実に4時間37分だがあまりにも面白いと言っては不謹慎か?
とにかく素晴らしいと声を大にして言いたい。
この映画の編集作業はあまりにも過酷を極めた為に監督小林正樹は身体を壊してしまった逸話が残っている
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