「邦画の形式美の美しさが満載のミステリー」ツィゴイネルワイゼン カール@山口三さんの映画レビュー(感想・評価)
邦画の形式美の美しさが満載のミステリー
計算された画面構図の美しさはじーっとしていても見飽きることはない。
いや、その先の動体がどうなるのかをイメージする余白を与えてくれる。
これはムービーと言うより自動移動式絵画展覧会であった。
さて、
内容についての解釈はちんぷんかんぷんでも仕方がない、と思う。
つまり、主題は不条理なんだからどんな理屈も当てはまらない。そして当てはまる。
故に、
これはホラーに思えるが僕にはミステリと思いたい。
ほら、あの音楽レコード内のサラサーティの会話が聴き取れないことが常態して何度も同じことが形を変えて繰り返されている。
更に、これは怨恨ミステリーだと思うのだ。
それは親友の二人が命を賭けて約束したこと。
先に死んだ者の頭部を生存者が髑髏💀にして所有する約束が反古されたことだ!
欧州でよくある事なのだが何故か約束を破った。
その上、暗黙で二人の妻を交換することだが、
暗にそれは事実として実践されていた。
そんなよからぬことがこのストーリーの底流に幾重にも重層的に展開されて現実と夢と幻想が入り乱れ見事だった。
そう言えば、
妹の言っていた、数の子はどうしたのだろう?
)^o^(
ツィゴイネルワイゼン
「殺しの烙印」(1967)、「悲愁物語」(77)の鈴木清順監督が、
内田百間の「サラサーテの盤」などいくつかの短編小説をもとに、
夢と幻が交錯するなかで狂気にとりつかれた男女の愛を描いた幻想譚。
大学教授の青地と友人の中砂は、旅先の宿で小稲という芸者と出会う。
1年後、中砂から結婚の知らせをうけた青地は中砂家を訪れると、
新妻の園は小稲に瓜二つだった。
1980年、東京タワーの下に建造されたドーム型の移動式映画館シネマ・プラセットで上映されたことも話題に。
第4回日本アカデミー賞の最優秀作品賞ほか、
第31回ベルリン国際映画祭の審査員特別賞を受賞するなど国内外で高い評価を受けた一作。
2012年、「浪漫3部作」と呼ばれる「陽炎座」(81)、「夢二」(91)とあわせてニュープリントでリバイバル上映。
2023年、鈴木清順監督生誕100年を記念して4Kデジタル完全修復版で再びリバイバル公開。