タンポポのレビュー・感想・評価
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本作がグルメブームの起爆剤になったことは確か。 伊丹監督の卓越した先見性には改めて驚かされます。
2月21日(金)からTOHOシネマズ日比谷さんで開催されている「日本映画専門チャンネル presents 伊丹十三 4K映画祭」(監督作品を毎週1作品、計10作品上映)、本日2週目はラーメンウエスタン『タンポポ』(1985)。
『タンポポ』(1985年/115分)
30年ぶりの鑑賞、ありきたりの言葉ですが『とにかく痛快で面白い!』の一言。
公開から40年経ちますが、本作を超える人情喜劇映画にはなかなかお目にかかれないですね。
まず題材の選定。
恋愛同様、誰もが共感ができる『食』(グルメ)をテーマにした点も公開当時としては珍しく、さらに『ラーメン』という慣れ親しんだ国民食を選定した鑑識眼の良さに脱帽。
伊丹監督ご本人もラーメン屋さんに頻繁に通っているわけではないそうですが、徹底した取材の結果、ラーメン通も唸るラーメン業界の裏側が詳細に描かれています。
「環七ラーメン戦争」などのラーメンブームやバブル景気前夜でグルメブーム到来も本作公開後、本作がブームの起爆剤になったことは確か。
また以降数多のグルメ映画が製作されましたが先鞭をつけたのは本作、伊丹監督の卓越した先見性には改めて驚かされます。
もう一つはジャンル。
ラーメンウエスタンと標ぼうするように単なる困窮するラーメン屋の成功譚、苦労話ではなくマカロニウエスタン風の痛快無比な娯楽作品に仕上げている点が実に良いですね。
基本は喜劇ですが、黒澤明監督『七人の侍』や『荒野の七人』のように窮した人を助けるため、一芸に秀でた個性的な面々が参集、平和が訪れると何も言えず去る群像劇、流れ者作品としても秀逸。
徹底的に笑わせて、最後にしんみり泣かせる日本人みんな大好きな人情喜劇ですね。
最後にキャスト。
監督が「キャスティングは演出の半分の仕事」と語るように本作もすべてが適役。
ラーメン屋の未亡人店主タンポポ(演:宮本信子氏)をはじめ、彼女に恋して立て直しに奔走するゴロー(演:山﨑努氏)、ゴローの相棒でスタイリスト担当のガン(演:渡辺謙氏)、スープの達人、元産婦人科院長で今はホームレスのまとめ役のセンセイ(演;加藤嘉氏)、麺の担当、ショーヘイ(演:桜金造氏)、タンポポの幼なじみでゴローと拳で和解した内装担当のピスケン(演;安岡力也氏)の5人の個性的な男たちの描かれ方もお見事。
ラーメン屋再建のメインストーリー以外にも食にまつわる7つのサブストーリーも白服の男(演:役所広司氏)、マナー講座の先生(演:岡田茉莉子氏)、フランス料理店のボーイ(演:橋爪功氏)、歯の痛い男(演:藤田敏八氏)、嫁の臨終に走る男(演:井川比佐志氏)、大学教授を装ってタダ飯にありつく詐欺師(演:中村伸郎氏)とメインに匹敵する面白さと豪華キャスティング。
2025年3月現在サブスク解禁されておりませんが、間違いなく日本映画史に燦然と輝く名作、特に若い人たちに公開当時の日本の高揚する時代の空気感と合わせて体感して欲しいですね。
追伸
鑑賞後は急にラーメンが食べたくなります。
締めは「幸福ホルモン」だった
子供の頃に観た映画を見返すと???
〜見返すと?アレ!こんなだっけ?と思う。
ギャンプルもせず、風俗も行かない俺的に・・
食い道楽に飲み道楽!なカルマな人生なんだけど?
多分、それは子供の頃に観た本作が、大きく大きく影響してるんだと思う、てか再認識!
見返して思ったのが?
本編より、アナザーストーリー?
役所広司さんと黒田福美さん(洞口依子さん!)のお話しや?や・・
橋爪功さんのギャルソンのパートに、凄くシンパシー感じてしまった。
子供心には、宮本信子さんはお母さんだったけど?
今!見ると(今の俺より年下で)全然、可愛かった。
山崎努さんに◯◯を押し付けたり?風呂場のシーンでかわいい下着が掛かってたりするの、良いなぁて思ってしまった(子供の頃は分からなかった)。
志村けんさんから岡村さんに受け継がれた言葉が『真剣に!一生懸命に真面目に、馬鹿な事をやれ!』だほうな。。
伊丹監督から俺に?食べる事や飲む事への入魂?を、本作で学んだ気がする。
『真剣に!目の前の食べ物に集中せよ!』みたいな・・。
あげまんもマルサの女も、伊丹監督作品はヤッパリ素晴らしいです!
とりあえず!好きな物や好きな飲み物を用意して、是非に!本作、楽しんで欲しい。
安心して下さい、エロシーン満載ですよ(笑)
コンソメスープは頼まない度】☆⑤
舌平目は(美味しいけど)頼まない度】☆④
サラダは要らない度】☆④
クネールのブータン風/エスカルゴのパイ詰め/りんごと胡桃のサラダ/度】☆⑤
今日はどう言う訳か?朝からコルトンシャルルマーニュの81年が飲みたい度】☆⑤
エンドロールの意味、日本人は今こそ!真剣に考えるべき!
自己実現欲求から自己を超えてレベルの高い時点の審美的欲求になる。
明日の日本語クラスで、学習者の一人がリーダーになってこの映画について話し合う。私は過去に一度見ているがあまり覚えていない。明日までに見直す予定。
学習者からはすでに下記について話し合いたいとGoogle Docsに載せている。
1)「タンポポ」は間違いなくとても笑える映
画です。この映画がユーモラスなのはなぜですか?監督のユーモアのセンスとは?
2)人間と食の関係というテーマがこの映画を貫いています。監督のメッセージは何だと思われますか?
後でもっと学習者の話し合いたい事項を書き足す予定。
自分の考えもまとめておいてクラスに臨みたい。私は意見を求められたら言うつもりである。
下記はあくまでも私見である。
このテーマは一言で「欲の極限」 「欲、欲求を並べたて、これらを人間や社会生活にどう使うか」だと思う。主人公ゴロ-がラーメン屋を立て直す。それも彼にしてみれば自己実現欲を満たしたということになる。彼は妻子に逃げられ、トラック運転手としても自信がないようで人生のおいても何かを成し遂げたことがないように描写されている。この彼がタンポポのためにうまいと言われるラーメン屋を立ち上げたのだ。それもホームレスや喉を詰まらせた老人のお抱えクックや喧嘩をしたチンピラの協力を得て。またタンポポに対してもラーメン屋の主人となるために自信を持たせてあげた。それは二人で焼き肉を食べているシーンで明確でタンポポの承認欲求を満たしてあげている。
この映画を観賞している私たちやゴロー以外の人々にとってゴローの自己実現欲は、自己を超えてレベルの高い時点の審美的欲求になるのだ。人のために働くことが結局自分に自信をつけていけることになると監督は考えているのではないか?映画ではそこに食の美や子供老人ホームレスなどに始まって老若男女と職業などの多様性をバランスよく付け足してる。これは人間社会の普遍性を表していると思う。
では、この映画の食のシーンは? 韓国料理、フランス料理、日本料理ワイン、アイスクリームまで。それに性と生。生きることや食べることや官能表現は基本的な生理的欲求である。この空腹を満たしたり、愛の欲求だったりを滑稽的に表現していると思う。欲には幅があるからね。私欲物欲出世欲とかいうけど社会や人間を変えていける欲もあるんだよね。このように。
私からみるとゴローの自己実現欲求が
社会のバランスや絆や美なども与えたと思う。私たちはどう生きるかが大事だと思う。
この映画は日本がエコノミックアニマルと言われていた時代の作品だ。監督は好景気時期に考えとけよと。経済が不況に入ることを予測して自助ではなく共助で欲求を満たすことを視野に入れていたのかもしれない。
ストーリー構成が不思議だった
当時、中学生の頃に映画館で観た思い出の映画。
2024年に観ると渡辺謙や役所広司が若い。私も年をとったという事だ。
この作品で役所広司を知り、とても興味を持った。
そして宮本信子の顔芸と山崎努の声が渋い。
女店主タンポポが営む売れないラーメン屋を、カウボーイハットのタンクローリー運転手ゴローとその相棒ガン達が立て直すラーメン・ウエスタン。本筋から時々外れて様々な「食と欲望」をテーマにしたサブストーリーが挟まる。観てて不思議な気持ちになったもんだ。第四の壁をいきなり破るオープニングだし。
フランス料理、スパゲッティ、ワインなど、食への薀蓄(うんちく)の奇想天外かつ官能的な挿話が盛り込まれている。また、日本のラーメン・ブームに拍車をかけ、アメリカで大ヒットを記録した作品でもある。
そして人間が人生で最初に味わうグルメでエンディングを映す。
伊丹十三は「最後の映画」を体験したのだろうか。
映画のアミューズメントパークや‼️
ラーメンウェスタン?!
伊丹十三監督10作品。4Kデジタルリマスター版で蘇る
本当にクリアな映像です。
日本映画専門チャンネルで放映され、録画して鑑賞しました。
確かに、映像は見違えるようです。
10作品すべてに出演する夫人だった宮本信子さんは
「4Kリマスター版は衣装を、新しい衣装に着替えて
「もう一度同じ映画を作ったような…………………
「今の時間、現在にいるような感じ」と語り、
「綺麗になって本当に良かった」と喜ぶ。
さて「タンポポ」ですが、
夫が亡くなり、残されたラーメン店は寂れるばかり。
ぬるい汁に延びた麺、活気もない店内。
そんな夫の死を引き摺るタンポポ(宮本信子)を、
立ち寄ったダンプカーの運転手ゴロー(山崎努)が、
惚れた弱みと、この店を行列の出来る有名店に変えてやる・・・
そんな侠気がゴローの胸を駆け抜ける。
まぁなんと贅沢な配役でしょう。
「トイストーリーの主人公のカウボーイ人形・ウッディ」
そっくりの扮装の山崎努。
山崎努の助手がなんと若き日の渡辺謙。
謎の白服の男が役所広司。
役所はこの映画のストーリーとなんの関係もない。
お色気担当の「セクシー番長」
今の渋い姿とは想像つかない水も滴るイケ面セクシー。
愛人の黒田福美とミッキー・ロークとキム・ベイシンガーの
「ナインハーフ」のオマージュ・シーンなど、エロ満載である。
・・・食は生きること、つまり生殖・・・
「自由に映画を撮る」とはこのことか?
そう思うほど、好き勝手を貫いている。
伊丹十三の映画は日本人らしさがぎっしりと詰まっているが、
元々は海外生活が長くコスモポリタン。
決してそれをひけらかさず、茶目っ気たっぷり。
奇想天外。
奥さんの宮本信子の才能を見抜いた慧眼。
宮本信子は伊丹十三の期待の2倍の糊代があった。
作品を追うごとに大化けして行く。
この作品「タンポポ」では可憐さが際立つ。
描写が結構に下世話な所も、楽しみのひとつ。
エンタメに徹しているから、
文句の付けようがないほど面白い。
「食文化とは」を考えさせられる伊丹十三からのメッセージ
くたびれたラーメン屋を行列ができる店にするというストーリー。
しかし、この映画の本質は、伊丹十三が「食文化とは」を視聴者に考えさせるためのプロパガンダ映画である。
こどもや若者、頭の硬いやつが見る映画ではない。「意味がわからない、道徳的でない」となるだろう。視聴者レビューでもそういう意見がいくつか見つかる
映画の本ストーリーの随所に短いストーリーが挿入されるのだが、
食が持つとんでもなく官能でエログロなところ、食に関するマナーや常識非常識など、いろんなシチュエーションで、画面から匂いがするような庶民リアリズムが展開される。食とはこんなにエロティックで冒涜的でシリアスでユーモラスで、しかもそれが渾然一体したものだよ面白いよねとの伊丹十三からのメッセージである。年をとった今だからこの映画を愛しく思うのかもしれない。
ラストシーンがまたいい。そう、人間の食はおっぱいからはじまるのだ。
今見ても十分楽しめる
友人に勧められて、あまりの面白さに一気に最後まで見終わったら、やっぱりラーメンが食いたくなって夜中にうろついたことがあります。昔は、深夜気軽に食べられるラーメン屋さんもなかったし、今ほど外食もしなかったので、ラーメンと言えば、自宅で作るインスタントくらいの認識でした。
この映画、ベースにあるのは「シェーン」なんかの西部劇で、男手の足りない農場・牧場を女手一つで切り盛りする未亡人を、風来坊がやってきて手伝い、形を作ってカッコよく去っていく、という良くある話を、現代の日本を舞台に、ラーメン屋の経営立て直しに当てはめてしまった「逆転の発想」の面白さがすべてでしょう。伊丹十三の作品に通底する面白さの、いちばんシンプルな骨格を形成する映画と言えるでしょう。
自分の奥さんなのに、宮本信子さんを綺麗に撮るんですよね。山崎努も役になりきっていてハマっているし、今や世界の渡辺謙なんか、舎弟みたいな扱いですし、いろいろ発見があって面白いです。
2018.9.4
生きることは食べること。目眩く人生喜劇
のっけから観客に話しかけてくる役所広司
ラーメンをこよなく愛する老人
ハットが世界一似合うトラック運転手、山崎努
夫亡き後ラーメン屋を継いだ素朴な未亡人たんぽぽ…
主要人物たちが力を合わせて最高のラーメン屋を作ることに尽力するという物語の軸に加え、所々展開される「食」にちなんだ珍事の数々…
ツッコミ所満載なのに、登場人物全員が大真面目。
映画の括りでみると滑稽だが、人生というものを遠目で見ると、案外こんな感じなのかもしれない。
そういった「人生=食べること」という営みが、伊丹十三という稀有なフィルターを通し、とてつもなく面白くて愛しい傑作となった
初めて伊丹監督の作品を鑑賞したが、物凄かった。こんな監督、日本どころか世界を見渡しても中々いない。
氏の他の作品も観たくなった。てか絶対観る
食に纏わるエピソードの映画的光彩が放つ伊丹十三監督の演出手腕の素晴らしさ
近年の日本食ブームが「和食」のユネスコ無形文化遺産登録に象徴されるように、日本独自の進化を遂げる食べ物が世界的に認知されています。特に庶民的でリーズナブルなラーメンは人気が高いようです。そのラーメンを始めとする日本の様々な食文化をシニカルに描いた鬼才伊丹十三監督の傑作が、35年前の今作です。前年の「お葬式」で監督デビューした伊丹十三氏については、名監督伊丹万作氏を父に持ち、「北京の55日」「ロード・ジム」など海外でも活躍する日本の俳優というほどの認識でした。ただ、これより5年前のことですが、フェデリコ・フェリーニ監督の「オーケストラ・リハーサル」ロードショー上映の三百人劇場で偶然お見かけしたことがあり、僭越ながら地味なイタリア映画も観る勉強熱心な方なのだと印象に持ちました。後に氏の経歴から、ヨーロッパ文化に造詣が深いバックグラウンドを備えた知識人と知って、今では浅薄な思い上がりと恥じています。
才人伊丹十三の第二作目。ラーメン屋再建を中心に様々な食文化のエピソードをオムニバス形式に構築した喜劇。そのセンスの良さ、異色の着眼が映画の勘どころを飲み込んでのユーモアが素晴らしい。日本の映画人で、こんな作品創れる人は他に誰もいない。ルイス・ブニュエルの「自由の幻想」に構成を真似て自由奔放に、中味はイタリア映画的庶民リアリズムの人間暴露で、全体としては各個性派俳優の絶え間ない競演と、多面的な光彩を放つ。餅をつまらせる大滝秀治の死と隣り合わせの食の危うさ。シリアスとユーモアの渾然一体では、井川比佐志のエピソードが凄い。妻の臨終に駆け付けチャーハンを作らせ、泣きながら食べる父子の姿。ヴィスコンティの「ベニスに死す」をもじる白いスーツの男役所広司の性と食の粘着したコラボレーション。牡蠣と卵の黄身の厭らしさ。そして、本筋の宮本信子を手助けする山崎努と渡辺謙のラーメンの拘り追求の面白さ。全編映画表現の粋と正確性で、多種多様な場面を食のテーマで繋げた画期的な日本映画の傑作品。こんなうまい映画を作った伊丹監督を、絶賛する。
1986年1月21日 池袋東宝
公開当時は、処女作「お葬式」ほど評価されませんでした。日本食ブームで世界的に再評価されて当時の鬱憤が少しは解消されています。
Macaroni western set a traditiona...
ラーメン食べたくなる映画
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