竹取物語(1987)のレビュー・感想・評価
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真ごころに触れた月の女(ひと)
DVDで鑑賞。
原作は教科書で読んだ程度。
日本最古の小説と言われる古典文学を巨匠・市川崑監督が映画化したファンタジー大作。市川監督ならではの映像表現が平安時代の雅さを巧みに表現し、美しい絵巻のようだった。
沢口靖子は棒演技だったが、周りを固める脇役の演技力が見事カバーし主役を盛り立てていた(小高恵美は除く)。
沢口の演技はイマイチだが、その美貌はかぐや姫の絶世の美女設定を成立させており、思わず見惚れてしまったほど。
若尾文子演じる母とのやり取りや、中井貴一演じる貴族との恋愛模様は市川演出のおかげでとても感情を揺さぶる。
人の真ごころを知ったかぐや姫。別れの場面は本作の真骨頂で、美しさと悲しさの同居する儚さ満点のシーンで感動した。
古典の世界観を壊さないように塩梅された、かぐや姫=異星人と云うSF要素を盛り込んだ設定と脚本が見事だった。
クライマックスのUFOも、「未知との遭遇」を彷彿させるファンタジックな造形で、違和感が無かったのが良い。
0255 南夕子の月帰還よりは面白いが
1987年公開
市川崑特撮に挑戦する。
やっぱりタイトルバックの字体は市川崑明朝体。
竹の中から蒼い目をした女の子が誕生。
ここはビジュアル的にもしっかりしている。
しかし沢口靖子の大根は絶好調。
三船敏郎がコメディタッチの演技を爆発させる。
コメディリリーフの扱い方は当時のお笑いを
使っていたが今一つ。
届かない弓矢の攻撃は良い。
巨大宇宙船は未知との遭遇より綺麗で
結構よかったと思うけど
海の上の竜は最悪の出来。やめてくれ。
中野昭慶もこの題材を納得して撮ったのか疑問。
ビオランテはそういや監督してなかったよね。
「STAY WITH ME」はシカゴのボーカルそのまんまやん
と思ったらピーター・セテラその人でした。
「首都消失」で特撮に思いっきり疑問を抱かれた
奥さん(当時彼女)を市川崑やから特撮でも大丈夫やろうと
名誉挽回のため連れて行ったらあまりお気に召さなかったようで
大誤算。
東宝55周年記念作品で20億円を投入するも配給回収は15億円で
惨敗。
75点
初鑑賞 1987年10月11日 梅田劇場
パンフ購入
配給 東宝
格調高いSFという稀有な作品
市川×東宝特撮“かぐや姫の物語”
近作だと故・高畑勲の遺作。
古来から日本人お馴染みの“かぐや姫”。
円谷英二の念願だった企画を、市川崑が映画化。
製作に田中友幸、特技監督に中野昭慶。
市川組と東宝特撮組が豪華タッグ。
市川崑らしい映像美。豪華絢爛な美術・衣装。
製作費20億円をかけ、国内で作られた同作ではおそらく最大規模。
巨大竜やその他諸々の特撮、当時の最新SFXを駆使したクライマックスの『未知との遭遇』ばりの巨大宇宙船など、中野昭慶の腕の見せ所。
本作は市川作品であると同時に、れっきとした東宝特撮作品の一本でもある。
話自体は誰もが知っているので、今更説明する必要ナシ。
ユニークなのは、他の同作品との相違点。
何と言ってもその最たるは、かぐや姫は宇宙人だったという設定。
幼少時の青目のかぐや姫や、本来御所車と天女である月からの迎えが巨大宇宙船になるなど、純日本的物語に西洋風のSF要素が取り入れられ、また違った“かぐや姫”になっている。
映像や特撮は見事だが、ドラマ部分は…。
かぐや姫の心情を事細かに描いた高畑勲版を見た後だと、どうしてもドラマ的に弱い。
かぐや姫はあっという間に成長するし、昔ながらの運命に身を任せる典型的な女性像。
育ての父母との愛情、美や宝の虜になった人々の欲など描かれているものの、今一つ深みが足りない。
ドラマ部分も見事だったら、ひょっとしたら傑作になっていたかもしれない…。
市川作品の代名詞でもあるオールスターキャスト。
日本映画界を代表する圧巻の顔触れだが、三船敏郎らの演技がちと芝居ががってるのが気になる。
作品の出来としてはまずまず。
日本人に語り継がれる馴染み深い物語と贅沢な映像世界だけでも堪能出来れば。
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