激流に生きる男(1962)
劇場公開日:1962年5月1日
解説
「抜き射ち風来坊」の山崎巌と「大森林に向って立つ」の吉田憲二、「黒い傷あとのブルース(1961 野村孝)」の野村孝が共同で脚本を執筆。野村孝が監督したアクションもの。撮影は「さようならの季節」の横山実。
1962年製作/84分/日本
原題または英題:A Torrent of Life
配給:日活
劇場公開日:1962年5月1日
ストーリー
外国航路のブラジル丸が修理のため十日間出港延期になった。その船に乗る筈だった船員槙竜太郎は、自動車に轢かれそうになった利夫という少年を助けた。少年の若く美しい叔母さかえは港のナイトクラブ“サファイア”のマダムだったが、お礼に宿泊所を提供し、竜太郎は臨時のバーテンとして働くことになった。その日、黒岩興行の幹部達がやってきて、店を一千万円で譲れと脅迫したが竜太郎に迫払われてしまった。翌日、黒岩はショウの踊子を全部引き抜いた。港の悪からサファイアを守ろうと決心した竜太郎は、マネジャー佐野が黒岩とグルだということをあばいた。その夜、彼の前に黒いサングラスの男が現れ、低い声で言った。「お前は元ボクサーの黒須だな。弟をその右パンチで殺したんだ。」--ウェルター級だった竜太郎は一年前、暴力団から八百長試合を命じられたが従わなかったため、ヤクザに襲われた。前田というチンピラを殴り殺してしまった竜太郎は、正当防衛だったが苦悩し、過去を忘れるために、名も槙と変えて船員になったのだった。彼は前田の兄に心から詑びたが前田は許さなかった。翌日サファイアの客の靖子に、黒岩の黒幕を紹介されて竜太郎は驚いた。三日前銭湯で意気投合した風変りな親父、丸金という港一番の金融業者で靖子の父だったからだ。彼もサファイア買取を東京から頼まれ、黒岩に任せたのだが、黒岩は間に入って儲けようとしていた。店に戻ると翌日出港するという通知が来ていた。竜太郎は丸金に窮状を訴えた。彼の心意気に感じた丸金が手を引いたため、黒岩の陰謀は泡と消えた。その夜ジムで会いたいという前田の電話に、単身出かけた彼は大勢に囲まれた。黒岩の罠だった。その時銃声が起り黒岩は倒れた。前田が射ったのだ。過去を忘れ、恋人晴美との未来に生きるため縛についた前田。竜太郎も、さかえへの慕情を断ち切るかのように、夜明けの波止場を後にした。