「嫌な気分…」その男、凶暴につき 777さんの映画レビュー(感想・評価)
嫌な気分…
1980年代後半、日本映画の収益がガタ落ちし、アニメか特撮しか観客が
入らない状況の中、一番の異色として出たのが、ビートたけしこと北野武
監督のデビュー作である、この映画。
思うに、当時の日本映画の主人公は「何となく気の良さそうな男」という
物が多かった。
「フーテンの寅さん」の主人公が良い人で、ずっとヒットしているから、
他の映画でも「良さげな人」を主人公にするみたいな…
この「その男、凶暴につき」は、タイトル通りに凶暴な男が主人公で、
改めて見ると、彼は何に対して怒り凶暴なのかの理由は無くて
日本映画に「凶暴な男の主人公」が、いないなら「俺が監督をやって、
俺が主演する!」という形で、この映画になったのではないか?
ラストはネタバレになるので、詳しくは書けないが、ほぼ全滅な終わりで
見終わった後に、嫌な気分で暗い感じになる…
黒澤明監督の映画は「人間の業」を描いて暗い感じになる事があるが
「業」と「嫌な気分にさせる」は違う。
しかし、あの久石譲さんを音楽に起用させたのは、この独特の映像美に
魅かれOKを出したのであろう…
映像と音楽の美しさだけで引っ張っていった作品。
この後も、しばらく北野武監督の映画を観続けたのは、やはり作品に
★1では終わらない「何か」が、あったのであろう…?
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