「天才たけしの狂気が出る映画」その男、凶暴につき 野川新栄さんの映画レビュー(感想・評価)
天才たけしの狂気が出る映画
監督は『あの夏、いちばん静かな海。』『みんな〜やってるか!』『キッズ・リターン』『HANA-BI』『菊次郎の夏』『BROTHER』『座頭市』『龍三と七人の子分たち』『アウトレイジ』シリーズ『首』の北野武
脚本は『マリリンに逢いたい』『ラッフルズホテル』『さらば愛しのヤクザ』『課長島耕作』『集団左遷』『不夜城』『破線のマリス』『名探偵コナン ベイカー街の亡霊』の野沢尚
過去数回鑑賞
粗筋
麻薬密売のルートを捜査していた我妻は表向きはレストラン経営者の仁藤とその手下で殺し屋の清弘に辿り着いた
麻薬の横流しをしていたのは親友の岩城刑事だった
秘密がバレたため仁藤は清弘に命令し自殺に見せかけて岩城を殺害
度重なる強引な捜査で警察を辞めることになった我妻は岩城の敵討ちに仁藤と清弘を射殺
ついでにシャブ中の妹も射殺
しかし我妻は仁藤の秘書の新開に射殺される
北野武監督デビュー作
当初は深作欣二が監督をやる予定だったが多忙のため降板
奥山プロデューサーと揉めたのかもしれない
そんなわけで主演のビートたけしにお鉢が回ってきた形
脚本を大幅に変えることを条件に北野は監督を引き受けた
それが思いのほか立腹したのか野沢氏は亡くなる直前に『烈火の月』というタイトルで『その男、凶暴につき』の小説版を発表している
小説版では相棒の刑事は女性
我妻のテーマ曲はエリック・サティ作曲『グノシエンヌ』第1番
橋を渡るシーンが良い
冒頭のホームレスを虐める悪ガキどもは印象的
その少年の1人の家に上がり込んで少年の部屋に入るなりボコボコに懲らしめる姿は今もなお記憶にしっかり残っていた
塩田の逃走劇は二重丸
捜査のため橋爪を執拗にビンタする我妻も記憶に鮮明に残っていた
橋の下で首吊りの平泉成はリアル
本物と勘違いした警察が駆けつけてくるくらい
ビルの屋上から落ちそうになった橋爪の指をナイフで切りつけ転落死させる清弘グロい
ロッカー室で清弘に暴行を加えていたところを仲間の刑事数人に止められるあの一連のシーンも迫力があったなあ
映画館から出てきたところを我妻と清弘との抗争によって清弘の弾丸が命中してしまう若い女性が可哀想
宮城県はわりと平和で良かった
手下を殺害するときに使用したショットガンはなぜか対我妻には使用しなかった清弘
ヤクザ映画みたいな刑事ドラマ
新開曰くどいつもこいつも気狂い
乾燥したハードボイルド
こんな男にフライデーは襲撃されたのか
死者が出なかっただけでも有り難く思え
ちなみにフライデー襲撃は1986年でこの作品は1989年公開作品
配役
後輩刑事からよくカネを借りる暴力刑事の我妻諒介にビートたけし
殺し屋兼麻薬の売人の清弘に白竜
清弘の手下に陵辱されシャブ中にされる我妻の妹の灯に川上麻衣子
我妻が配属している港南署新署長の吉成に佐野史郎
港南署刑事課に配属されたばかりの若手刑事の菊地に芦川誠
麻薬の取引でねぎったせいで清弘に刺殺された柄本に遠藤憲一
灯を陵辱した清弘の手下の織田に寺島進
灯にシャブを打ち陵辱した清弘の手下の植田に小沢一義
清弘の手下でゲイの片平に佐久間哲
本庁の刑事の三宅に谷村好一
本庁の刑事で三宅の相棒の佐藤に中村銀次
港南署署長の樋口に勝部演之
港南署刑事課長の荒木に浜田晃
我妻の同僚刑事の石橋に上田耕一
我妻の同僚刑事の友里に石田太郎
我妻の同僚刑事に芹沢名人
我妻に一万円を貸す後輩刑事の本間に河合佑樹
港南署防犯課の岩城に平泉成
岩城の妻に音無美紀子
裏で覚醒剤取引と殺人の依頼をしているレストラン経営者の仁藤に岸部一徳
仁藤の秘書の新開に吉澤健
男子トイレで何度も我妻にビンタされる麻薬の売人の橋爪に川上泳
柄本から麻薬を買っていた常連客の塩田に井田國彦
橋爪の仕事仲間の酒井に松本公成
灯が入院していた精神科病院の精神科医に趙方豪
仁藤の秘書でのちに新開の秘書になるエンドロールの女に速水渓
ホームレスに田村元治
ホームレスを襲った少年グループの1人の母親にただのあっ子