ソナチネのレビュー・感想・評価
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たけしの死生感
かなり好きな映画です。
言葉や描写でメッセージを伝えるというよりは 音楽と情景、ストーリーの展開で
この映画のメッセージらしきものが浮き出す感じ。
現実的でありながら幻想的
とても北野武監督らしいです。
数々の残虐シーンがあり、特に冒頭の水責めシーンのリアルさは鳥肌がたちます。
しかし、海辺で最後のバカンスを楽しむ姿はサンクチュアリのような永遠感もあります。
この映画で監督は現実の死というものを伝えたいor表現したかったのだと感じます。
話は少しずれますがかつてテレビでは
飛び降り、暗殺、爆弾等、人が死ぬ瞬間や人が死んだ生々しい映像が流れる事がありました
多くのクレームによりテレビでは一ミリたりとも血は写らず 人が死ぬ瞬間、人が死んだ姿は映さなくなりました。
確かに死に対して嫌悪感を抱くのが人間として普通です。
しかし、完全に死を拒絶したいと考える人は果たして正常な精神を持つことが出来るのでしょうか?
映画の中で【死にたくないって思いすぎると死にたくなっちゃうんだよ】という台詞が物語っていると思います。
当時新興宗教ブームだったのも要因のひとつかと思いますが
北野武監督は現代人が抱える 現実感の喪失という病へのワクチンとしてこの映画を作ったように感じます。
多くの方に見てもらいたい映画です。
ヒリヒリするかんじ。
沖縄の美しい風景、無邪気に遊ぶヤクザども。容赦ない暴力、死。
対比?ギャップがキツイからこそ、一瞬の映像の美しさが際立つようだ。
特に印象的なのが、三人で砂浜でジャンケンして銃を撃つ、ロシアンルーレットの場面。
美しい海を背景に、無邪気な遊びの延長のように有無を言わさず行わなわれる暴力剥き出しのゲーム。
死への恐怖心が先鋭化されるようで、ヒリヒリと皮膚が焼けるような気持ちになる。
死について 生について
「ソナチネ」を見た。
死について考えるということは、同時に生について考えることでもある。
主人公が愛する女性に吐いたセリフが頭に残る。
「死ぬのを怖がってると、死にたくなっちゃうんだよな。」
矛盾してるセリフなんだけど、納得させられる不思議なセリフだ。なぜ納得してしまうのか、それは言葉にできない。
私はこの主人公のように、生を完結させることができるだろうか。この映画を見ると、自分にそう問いかけずにはいられない。
非現実感
沖縄で繰り広げられるヤクザ同士の抗争の話。
沖縄の綺麗な景色と、暇つぶしで無邪気に遊ぶヤクザ、一瞬の銃撃戦でアッという間に死んでいく、全てにおいて現実感が無い。
ビートたけしの演技は無表情か笑ってるかどちらか。人を殺す時の無表情は怖い。脇を固める俳優陣も、底の知れない無表情と童心に戻った時の笑顔のギャップが凄い。
こういう生き方もあるというメッセージ?
雰囲気が良い
いわゆる「キタノブルー」を存分に感じられる映画。青みがかった映像と海の調和が何とも言えない雰囲気を醸し出す。その何とも言えない雰囲気の中で突如訪れるバイオレンスが何とも対照的。バイオレンスが美しく感じられる稀有な映画です。
ズシリと来る
久しぶりに観たけどやっぱり良かった。「死を怖がりすぎると死にたくなっちゃう」は当時の北野監督の精神状態のように思えてズシリと来る。
僕にとっては、芸術とエンタテインメントの丁度境目のような作品なのかなと思った。
感情表現もアクションも抑えてあるのに、大げさなものより想像力が湧いて登場人物に感情移入出来て伝わってくるものがある。
ヤクザが馬鹿な事して笑えるのだけど、全編に渡ってズッシリ重くて、哀愁が漂って、死がすぐ側にあってドキドキする。
この作品は北野武監督の死生観をそのまま投影してるように思えて、村川が笑ってるのを見るとホッとする。
北野映画で一番好き。
最も難解ではある
初期北野武の集大成的な作品かと思いますが、んーやっぱり『その男~』は超えて来なかったな。という印象。僕は北野映画に求めているものは『その男~』にあった痛快さなのかもしれません。ぶっちゃけ難しかった。『3-4x~』の発展形なのかなと思いましたが、『3-4x~』も正直ハマらなかったので当然っちゃ当然かもしれないです。なんとも表面的な見方で恥ずかしい限りですが。いつかこういう作品の良さがもっとわかるようになりたいなあ。
それまでの北野作品の総まとめ的作品
総合80点 ( ストーリー:75点|キャスト:75点|演出:85点|ビジュアル:75点|音楽:75点 )
突然の暴力がこれがこの世界での当然のことだといわんばかりにあまりに普通に出現する。彼らが進む道の前にちょっとした障壁があったりちょっと気に入らないやつがいれば、彼らにはその排除方法は一つしかない。殴り、刺し、撃ち、爆破し、全ての事柄は何のためらいもない暴力でのみ解決がなされる。そこには人の痛みを感じる心や生命を奪い奪われる恐怖がなくて、本能だけで生きる爬虫類か両生類のごとくに荒んだ道をただ歩み続ける。海に沈められる男が死にかけていても、彼らにはそれは重大ごとではない。何かが起こる前の張りつめた緊張感のある静寂と、その直後で傷つき死にゆく者たちとの対比を描く演出が際立つ。
そのような刹那的な生き方に疲れていたのか、彼らに偶然に訪れた南国の浜辺での生活の、子供の様なはしゃぎぶりがまた大きな対比をなしている。たわいもない無邪気さを見せる彼らに、人間性を取り戻した姿を垣間見ることが出来る。そして一時の安息の日々が終わりを告げ、生き方を変えられぬままにまたヤクザの世界に戻っていく姿に、哀愁や物悲しさと共に哲学的な美しさを感じ取り、全てが浄化されていって何も残らない儚さと虚しさの余韻を残してくれた。
北野監督の第一作「その男、凶暴につき」と似たような社会に溶け込めない人々の世界の延長線軸にあるし、虚しさや悲しみに満ちた雰囲気は他の北野作品と共通している。しかし静寂と暴力、また安息と暴力の対比が良く出来ているし、結末の悲劇的浄化が美しい。その意味で一段水準が高いし、ビートたけしというお笑い芸人に何の知識も偏見もなかった欧州でこの作品のもつ本質が素直に評価されたのも理解できる。
難解すぎる
北野映画の初期の傑作と言われている「ソナチネ」。
90分見終えて確かに心揺さぶられるものはあるのだが、難解すぎて理解はできない。
見て語って知的になった気分になるための映画かも。
しかし何で任侠映画しか撮らないんだろうか。
緊迫感を煽る久石譲の音楽は素晴らしい。
天才の作り方
先ほどゴダールの『気狂いピエロ』を見終わった。
もう類似点山ほど見つかる。北野監督は『ソナチネ』撮影前に『気狂いピエロ』見ていないとインタビューで語り、今までの既存の作品の要素を徹底的に自身、スタッフから排除させたと書いてあったが、もし『気狂いピエロ』を見てなくてこんなに沢山の類似点があるのだとしたらかなりの天才かもしくは予知能力(撮影後『気狂いピエロを見る自分を予知)の持ち主だろう。ありえない。30年来の北野フリーク、キタニスト、たけしイズムの信仰者である自分であるからこそ敢えて言う。ありえない。北野武氏はもちろん天賦の才能を持った人であることは疑いようのない事実であるのと同時に自身を天才に見せることの天才であることを観察者である自分は多くの氏のインタビューを聞き,読んで実感している。それは自身の映画をピカソの絵に置き換えて『青の時代』『赤の時代』などと呼ぶのがその主な一例である。しかし既存の素晴らしい作品を引用してアレンジし、オリジナルに仕立て上げるのも天才の条件(例えばタランティーノ)であり、北野監督が初めて国際的な評価を得たこの作品は明らかに非常に『気狂いピエロ』色の強い作品ではあるがオリジナリティに溢れた北野監督の作家性の強い作品にはなっていのが素晴らしい。それではちなみに北野作品に見る『気狂いピエロ』とのいくつかの共通点、意識しているであろう点を紹介する。
1.ソナチネの仮題が『沖縄ピエロ』であった
2.最初のオープニングシーンの字がタイトルの出し方
まぁここら辺はスタッフが敢えてそうしたのかもしれない。
3.崖で車が爆破されるシーン。
4.海辺のシーンの多用(砂浜)
5.草むらの中から顔を出すシーン(これは3-4×10月)
6.最後に主人公が自殺
(その男凶暴につき、3-4×10月、ソナチネ)
まぁ上げだしたらきりがないのだが他であまりにもこの事を描いた北野映画評がないのでここに書いておきます。以上。
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