ソナチネのレビュー・感想・評価
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情熱的な芝居では語れない気持ちを語る「無表情」の芝居。
◯作品全体
本作を制作するにあたり北野武監督は「よくあるヤクザ映画のストーリーをそのままどうやって崩せるか」と考えたという。その手法の一つとしてアートチックなモチーフ演出がよく挙げられるが、個人的にヤクザ映画からの文脈から逸脱しているのは「表情の乏しさ」だと思う。
主人公・村川をはじめ、部下のケンや片桐、そして相手役の高橋は感情を表に出すことがほとんどない。沖縄の隠れ家に行くまではそれが顕著で、銃を向けられているときや事務所を爆破されたときでさえも無表情だった。那覇空港で村川たちを出迎える中松組の構成員も無表情で、必要以上の会話もない。「ヤクザ映画の文脈」でいうならば会話劇によって共闘関係や裏切りの展開に向けて意味を作るだろうし、村川たちから見た中松組の第一印象を会話や芝居で演出するはずだ。本作ではそれをせず、様々なシーンで「無表情であること」によって微かな意味しか与えない。それによって村川側・相手側、双方の意図に見立てがつきづらく、展開が読めない緊張感が常時漂っていた。
この演出が、因縁を細かく語って結末をド派手に映す「ヤクザ映画の文脈」とは異なるものだった。
「ヤクザ映画の文脈」の中心にある表情の演出を例示すると、「仁義なき戦い」では物語を動かすときには必ず感情的な芝居がある。濃度の濃い芝居が「情」の表現としても、戦後広島の活気としても生かされていて、そうした芝居の濃度がヤクザ映画の象徴にもなったと思う。そして北野監督はこうした物語を動かす感情の部分を「よくあるヤクザ映画のストーリー」と表現したのではないか、と思う。
更に言うと北野監督作品である「アウトレイジ」も本作とは表情の芝居に差異がある。「アウトレイジ」ではアクションこそが物語の転換点となり、その場面では殺す側と殺される側で恫喝と恐怖のコントラストがある(稀に恫喝と恫喝が衝突するが)。椎名桔平演じる水野はクールな印象もあるが、上司がいない場面では感情を剥き出しにしたり警察官を挑発して人間味ある人物としても描かれている。登場人物の節々に情を感じる点が本作のアプローチとも明確に違う部分だ。
本作で無表情が印象的だったシーンとして村川の部下・ケンが殺し屋に撃たれるシーンがあったが、このシーンも既存のヤクザ映画であればドラマティックな芝居があるのかもしれない。ただ、ここでは村川の心情に沿った「無表情」が表現されていた。
隠れ家で時間を持て余しながらもゆったりと過ごし、柔らかい表情が増えていく村川たち。長い長い一本道の先にある隠れ家と砂浜は、さながらオアシスだ。しかしそのオアシスは当然一生のものではなく、殺し屋が現れることで一瞬にして沖縄へやってきた当初と同じ無表情に戻る。隠れ家に来た当初は悪夢にうなされ、無表情で息をひそめていた村川たちがようやく緩みはじめたところで、村川を再び地獄へと連れ戻すような無表情と無音を与える。ここのシーンは演技の足し算ではなく、引き算で見せる静寂の演出に息を呑んだ。
こうした無表情の演出は村川の本心にも紐づけされている。そのことがわかるのは幸に強い男はかっこいいと言われた村川のセリフだ。
「怖いから、撃っちゃうんだよ」
怖いからこそトリガーを引く。村川たちは冷たい銃口を向けるように、冷たい無表情によって必死に自分を護っていたのだと感じた。このセリフに続く「あんまり死ぬことばかり怖がっているとな、死にたくなっちゃうんだよ」という言葉はラストシーンの暗示のようだった。周りの人間が消されていき、報復としてアサルトライフルを撃ち鳴らす。トリガーを引くことが恐怖の証だとするならば、乱射される銃声とマズルフラッシュは慟哭のようなものだろう。
序盤、ケンに対して「疲れちゃったよ」と冗談めかしながらつぶやいた村瀬にとって、のどかな空気が流れる隠れ家は、さながら楽園だったのかもしれない。そこへ向かう一本道で自殺する村瀬の無表情は、本物の楽園にたどり着けなかった悲哀と死への恐怖を饒舌に語っていると感じた。
「泣く」「怒る」ではなく「無表情」だからこそ強く伝わる感情が、一貫した演出によって生み出されていた。
◯カメラワークとか
・最初に広く大きな海が映された時には面を食らった。それまで映されていた空間は、狭い事務所や雀荘、古いバンなど、とにかく窮屈だった。雀荘の主人が海に沈められるシーンも、夜の真っ暗な海だった。そこから急に青く、解放感ある海が映されるのは相当なインパクトがあった。その時にはわからなかったけど、話が進むにつれてこの海は別世界の演出だったのだと気づいた。
・無邪気に遊ぶケンたちの後ろで静かに準備を始める殺し屋を引きで撮るカットがかっこよかった。
◯その他
・劇伴がすごく良かった。隠れ家のシーンの劇伴は特に幻想的で、静寂さとのつながりが素晴らしかった。
・村川ひとりだけワイシャツで居続けるのは、単に孤独の演出だけではなくて、服装から表情を読み取らせないような意図もあるような気がした。部下の片桐は赤色のアロハシャツを村川から「似合っていない」とからかわれていたが、その服を、色を選ぶというだけで、その人物が透けて見えてしまう。村川の無表情はここにもあるのではないか、と思ったりした。
どうしても観たくて
北野武監督作品。4作目らしい。無性に観たくなる時あるんだけど、配信ないから#ブックオフ 見つけたら必ず売ってないかチェック。ネットで買うのもありなんだけど、偶然出会った時の方が気持ちいいから、とりあえず覗いてみる。ストーリーは、たけしさん演じるヤクザ幹部村川。あるひ、親分から、沖縄の兄弟分のところに行って助けになるよう命じられる。行っても、手打ちになって終わると聞いていたのだが、到着するなり奇襲を受ける。仲間を失い、身を隠す村川。穏やかに流れる逃亡生活。ある日、急展開を迎える。。
何が驚いたって、昔バイトしてた時の、お店の店長がちょい役で出演し、エンドロールにも名前があったこと。役者やってたとは聞いていたけど、めちゃすごいやん!
#北野武
#ビートたけし
#ソナチネ
#北野ブルー
#沖縄ロケ
#日本映画
#映画すきな人と繋がりたい
#ヤクザ映画
#アウトロー
#映画鑑賞
いちばん怖くていちばん綺麗だった。
アクションも何も無い。ただ行為と結果がある。
ヤクザの村川は揉め事を終わらせる為沖縄に子分を連れて向かう。
徐々に殺されてゆき、最後は2人になる。そしてマシンガンを撃ち、村川は最後自殺をする。
まず、人を殺すことを肯定していない。「怖いから」と作中で言っていて、殺す事は悪い事であるとしている。
それに、北野武演じる村川も、子分が死ぬ度に得も言えぬ表情、哀しさと無感情のミックスのような表情をする。それに、マシンガンを撃つシーンでは、シナリオ的には決着であり、普通の脚本ならば嬉々としてマシンガンを撃つが、ここが北野武。寂しそうにマシンガンを撃つ。
そして、人を殺さない子分のさらに子分は逃げた(のかな?)
しかし、現実では意外と死とは大袈裟なものでは無い様に思える。私達の生活は死と表裏一体で、近くの店が閉店した理由は死が理由になっていたりする。大切な人が死ぬ事はあまり無いかもしれないが、有名人や著名人、昨日まで元気だった人が死んでしまうこともある。そういったことを考えさせられた。
喫茶店での銃撃戦のシーン。私は怖かった。かつて映画でここまで怖かったシーンはあるだろうか。何が怖いかと聞かれると分からないのだが。
エレベーターのシーンも良かった。誰も話さずに、村川が、一言名前を呼ぶ。そして、銃撃戦が始まる。他に乗っているカタギは叫ばずに、そして脅えもしない。それが衝撃だった。
とてもいい映画だった。綺麗だった。また観たい。
映画の出来ウンヌンより気になることが・・・
この作品の物語自体は東映実録路線でさんざん見た気がする内容です。
しかしそんなマンネリした物語を北野監督の映画哲学と美学を用いて、まったく異なるタッチで仕上げたのが今作であるといったところでしょうか。
演出の意図でそうなっているのでしょうが、全編を通して抑揚に乏しいせいか、話の流れを把握するのが非常に難しいです。ましてやヤクザ(マフィア)映画って人物相関が元々分かりづらいジャンルですので、余計に何で今映っているシーンがこんなことになっているのか?となりやすい映画です。いや、すごくちゃんと順を追ってストーリーは語られているのですが、なんかボーっと聞き流しちゃうんですよね。
暴力と死がありふれ、とるにたらない日常と化している業界に生きる主人公たち。暴力という感情表現の極致のような行動を淡々とこなし、他人を殺す場面どころか仲間が死んだ場面でさえも感情の起伏はとても小さくしか表現されず、冷めた距離感で暴力と死が描かれます。
こんな感じで、反社会的な社会で生きる主人公たちは普通の観客にとって元々共感しにくい存在なのですが、そのうえ更に彼等の感情表現も極端に抑えられていますので、観る側としては作品のどこに焦点を当てて良いのか分からず、非常にフラットな感覚で映画全体をなんとなく傍観している感じになります。この映画のとっつきにくさってそういう所にあるのかなと思います。
しかし主人公たちにとって暴力や殺しは仕事なのです。そう考えると自分も日々のルーチンワークを実に無感動にこなしていますので、やっている事は違えど割とハタから見たらこんな感じなのかもしれません。
そしてそんな彼等が仕事をこなしているシーン。屋内であったり建物の外観であったり、人と話していたり、銃撃戦をしているシーンはとても窮屈な感じの画ですが、抗争から身を隠すため根城にした浜辺の家のシーン。沖縄の海と空を背景に幼稚な遊びに興じるシーンは実に開放的な画となります。
こういった言葉に頼らずに登場人物たちの心情と観客の印象を共有させる演出は、言葉にすると陳腐かもしれませんが実に見事だと思います。
また彼らの遊びが小学校低学年の様な幼稚さであるのも、殺しを平然とやってのける壊れた倫理観の持ち主の精神年齢ってそれぐらいなのだろうなと感じさせる説得力を持っています。大人になったら精神的に出来なくなりますが、子供の頃は平気で虫の羽や頭をもいだりしていたことってあると思います。たぶんその感覚のまま大人になるとこうなるって感じがして、妙に納得できるんですよね。ある意味 無邪気で純粋なのです。
ただその一方で、登場人物の心情や物語とあまり関係を見出せなかったり、過剰に感じる、ただなんとなく「可笑しい」や「儚げ」な印象だけのシーンも挟まるのですが、そういうシーンが個人的にはノイズと感じ、あまり好みに合いませんでした。
もともと自分は北野武監督作品が苦手です。(好きな作品もあるのですが)
なので自分がただ単にシーンの意味をちゃんと読み取れていないだけかもしれませんが、やっぱり自分で監督・脚本・主演しているというのがもの凄く引っ掛かるのです。だって自分のこと格好良く描きすぎですよこれ!
他人の作品で使われてる時の俳優・ビートたけしってすごく好きなんですよね。本当魅力あります。でもだからって自分で自分を演出して主演やりますか!?まだ脇役とかトホホな役をやっているなら分かるのですが、この映画の主人公・村川って、前に駆り出された抗争での成果を認められて今のシマを与えられ、更にそのシマでのシノギも順調という仕事の出来るヤツです。しかも前の抗争で自分の部下の若者を3人も死なせてしまった事を気にかけていたり、引退してカタギになるといっていた若者がまだ組の周辺でウロチョロしているのを怒鳴り、しっかりカタギになるよう諭します。村川自身の親分はとても利己的な存在として描かれますから、村川の身内に対する情の厚さが際立ちます。
また、親分の食事中に他の組員は許可が出るまで我慢していたタバコをなんの躊躇いもなくプカプカ吹かしており、それを咎められる事もないし、気に入らない親分の側近である高橋をトイレでボコボコにしてもお咎めなし。格や面子にうるさいヤクザの世界でこれが通るってだけで組織内で相当特別な地位にいる事が分かりますが、当の村川は『なんか疲れたからヤクザ辞めたい』と、そんな組織での特別な地位にも執着しないクールなキャラとして描かれます。って、こういうキャラを自分で設定して自分で演じてるんですよ!?
しまいには特に自分から口説いたわけでもないのに『格好いい』『強い人好き』とかいって抱かれに来る女が現れ、頼んでもいないのに自分の帰りを延々待ってくれているわけですよ、この女が!!
まるで降籏康男が80年代に撮った高倉健映画じゃねーかバカヤロー!あれも男にとってあまりにも都合の良すぎる世界観が、まさに昭和版なろう系作品って感じで正直みていられませんでしたが、高倉健は他人が書いてきた脚本を仕事として演じていただけですからね!それに比べて北野武は自らこういう脚本書いて自分で演じているって思うとやっぱ引きますよ…。
確かに芸人って自分でネタ書いて、自分で演じてお客さんに見てもらう仕事ですから、監督・脚本・主演を全て自分でこなすって、北野武にとってはごく自然な事なのかもしれませんし、こんな静かで暗い内容の映画でもしっかり笑いを作るところは感心します。また素直にいい演技してるなぁって思ったり、面白い映像撮るなぁって思ったりもしますから、好きな人がいるのも理解できるんです。
でもね、どうしてもね、映画を見ていて「この人自分でこの脚本書いて自分で演じてるんだよなぁ」って事実が頭をよぎると、うわぁ・・・って映画に集中できなくなるんですよね。
それはともかくとして、ストーリーは平凡だけど(むしろ詰まんないけど)この映画の持つ雰囲気は好きなんだよなぁ~という作品ってあると思います。
個人的には「2001年宇宙の旅」や「ブレードランナー」がそれです。そしてこの作品もそういう類の映画なんじゃないかなと思うのです。
ですから作品の芸術性だとか物語の主題がとかは気にせず直感的に鑑賞して好みに合うか合わないかで楽しめばいい映画だと思います。(そんなこと言ったら映画って全部そんなもんか・・・)
村川さん!やめてくださいよー
「あんまり死ぬの怖がるとな死にたくなっちゃうんだよ」
過去数回鑑賞
監督と脚本は『その男、凶暴につき』『3-4x10月』『あの夏、いちばん静かな海。』『キッズ・リターン』『HANA-BI』『BROTHER』『座頭市』『アウトレイジ』シリーズ『龍三と七人の子分たち』『首』の北野武
粗筋
東京のヤクザが沖縄の抗争の助太刀に行く話
現場に行ったら向こうの親分と東京の親分の言ってることが違う
さっさと東京に戻ればいいのに沖縄に残りのんびりと童心に帰って遊んでいる
村川組組長の村川は兄貴分の北島組組長にハメられたのだ
子分を殺された村川は復讐を果たす
1993年公開作品
今から30年前の作品
津田寛治や森下能幸にもこんな若い頃あったんだね
そんなわけないけど勝村政信はあまり変わりない気がする(60歳にしては異常に若い)
たけしが顔面麻痺になる前の作品
興行成績は全く振るわず早々と公開打ち切り
しかしカンヌをはじめ世界から高く評価され映画.comのall time bestに選出されている
27時間テレビのBIG3のコーナーでたけしが「REXくらい入ればなあ」とぼやいていた
この頃のたけしは男前だった
記者会見で「顔面マヒナスターズ」発言にマスコミは拍手喝采していた
世界の北野だからだろう
自分としては何が面白いんだかと共感できなかった
たけしも爆笑問題の太田も大きな舞台で豪快にすべるスメルハラスメントならぬ「すべる」ハラスメントを平気でやらかすがそれを面白がる人たちも含めていい迷惑だ
既にこの頃から東京のマスコミ関係者をとことん軽蔑していた
やはり北野武監督は台詞がないシーンの表現力が上手い
久石譲の音楽がなくてもわりといけるんじゃないかと
ヒロイン国舞亜矢のヌードあり
なかなかの美乳
俳優としてはあまり売れなかったようだ
なんとなくだがちょっとだけ細川ふみえに似ている
たけしの好みのタイプなんだろう
砂浜の相撲のシーンは北野武監督作品としては異例の編集作業
当時まだ若かった寺島や勝村の芝居に納得できなかったのだろう
まさかヤクザ映画で紙相撲を力士の真似事をやらされるとは思わなかっただろう
やはり今回もあっという間の93分でした
そういえば敵対組織阿南組の姿は最後まで登場しない
なにかしら意図があったのかもしれない
配役
北島組傘下村川組組長の村川にビートたけし
村川が偶然沖縄で出会い親しくなった幸に国舞亜矢
中松組幹部の上地に渡辺哲
中松組組員の良二に勝村政信
村川組組員のケンに寺島進
村川組幹部の片桐に大杉漣
北島組幹部の高橋に矢島健一
殺し屋に南方英二
北島組組長の北島に逗子とんぼ
中松組組長の中松に小池幸次
幸の恋人に松岡一開
マージャン店店主の金本に水森コウ太
喫茶店のウェイターの津田に津田寛治
レイプ魔に神田瀧夢
北島組組員に木下ほうか
中松組組員に関根大学
村川組の助っ人の広瀬に北村晃一
村川組の助っ人の奥村に十三豊
村川組の助っ人の酒井に深沢猛
村川組の助っ人の伊藤に安藤裕
北島組の助っ人の前田に森下能幸
北島組の助っ人の大野に永井洋一
トイレの男に岸博之
マージャン屋の男に木村栄
スナックのママに船場牡丹
スナックの支配人に掛田誠
村川組組員に鈴木隆仁
高橋と間違われるホテルの宿泊客に日野陽仁
とても面白い
5年くらい前に見返した気がしていたけど10年以上見ていなかった。
武のチンピラぶりがかっこいい。威張っていて実際やばいし、拳銃で撃たれそうだし命がいくつあっても足りない。近くにいたら嫌な感じもあるけど、キュートで魅力もあり、逃げたいと一緒にいたいの気持ちがせめぎ合いそうだ。勝村政信もそんな気持ちだったのではないだろうか。好き放題やっていたらあとは死んでもしかたがない、もしくは、死ぬしかないという刹那的な生きざまだ。運転も下手だ。
沖縄で遣る瀬無い日々を過ごす。急に人を刺す若者や、唐突な飲み屋での突っ立ったままの撃ち合いがすごい。
女の子がそんなに美人ではないのに魅力的だ。殺されたDV男のことを旦那と言っていたが本当に人妻なのだろうか。洒落でそう言っているだけに見える。
3-4×10月で
挑んだ従来の作り物の映画を捨て生の空気感作りに手応えを感じた北野監督は、本作において久石譲の音楽と色調を青で統一したことで、その世界を完成させた。作品を通して人間を描くことに成功している。たまに楽しいこともあるけど、基本的に暇で退屈、ぼんやりしてるうちに、どうせすぐみんな死ぬ。商業主義でなく映画の本質を見ている欧州で受けるのも納得。浜辺での紙相撲シーンは心に残る。
難しいけど怖い
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多くの組を取りまとめる大親分の指令でたけしが沖縄へ行く。
傘下の中松組が他の組とモメて加勢を求めて来たと聞いていた。
しかし行ってみると、大親分側から提案してたけしを来させたらしい。
そんな中、爆弾が仕掛けられて多くの手下が死に、たけしと中松らは潜伏生活へ。
しかしそこに刺客が現れ手下が殺され、さらに中松も殺される。
敵の手下を捕まえて拷問したところ、全てが罠だったことが分かる。
大親分がたけしを疎ましく思い、中松組とまとめて殺すべく画策してたのだった。
たけしはマシンガンで敵の会合を襲って皆殺し、そして自殺。
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やっぱりたけしの作品は怖い。
主人公には平気で人を殺す冷徹さと無邪気さが同居してる。
だから思い詰めたら何をするか分からない怖さがある。
でもこの当時の北野映画ではもっとひどいヤクザが多かったから、
この作品はまだ怖くない方じゃないかとは思うけどな。
タケちゃん、バウ
エレベーターでの撃ち合い、ホテルでの銃撃戦、寺島進が撃たれるシーンなど、人が死ぬシーンの見せ方が、お見事。
月明かりの北野ブルー、久石譲の音楽、赤土の土埃り舞うワインディグロード、大杉漣の怒号、勝村久信の能天気さ、などなど相まって芸術性とコメディーが絶妙なバランスで存在している、タケちゃんならではの傑作。
また新文芸坐でオールナイトやって欲しいな〜。
20231206 新文芸坐
ヤクザは沖縄では天国?
ただ、ヤクザが夏の沖縄に行けば、楽しく暮らせるという内容しか覚えてません。
ヤクザの権力闘争を説明する台詞が1回だけありましたが、その内容を理解
できないと、この映画全体が意味不明です。
名優・大杉漣氏を世に送り込んだ映画として有名ですが、大杉さんが何処に
どの役で出ていたかも、記憶にありません。
最後は、ネタバレになるので書きませんが、多くの場合の北野武監督が
俳優ビートたけしを映画に出せば、ああいう結末になるという…例のアレです。
この映画が興行的不発に終わったため、北野を映画界に引き入れてくれた
奥山和由氏とも犬猿の仲になって決別!
以降は、皆が知る通りに奥山氏は松竹を突然解雇され、その後は映画界を
干されて、大ヒットする様な作品を作れなかった。
一方、北野武は順調に映画を作り続け、大きな映画賞も得られた。
奥山氏が松竹を解雇後に「自分を映画界に引き入れた恩人であるから
いつかは恩返しをしたい」と述べていたが、現在に至るまで北野と奥山氏が
組んで作成した映画は無い…
恩を仇で返す人間か……?
北野武監督の作品の中でも芸術寄りの作品
以前から見て観たかった作品。
基本的にヤクザ同士の抗争を描いたバイオレンス映画であるが、間に抗争中であることを忘れるようなシーンが入っているのが良い。
全体的にセリフも良かったと思いますが、ちょっとストーリーが分かりにくかったのが残念かな。
久石譲が担当した劇中の音楽はすごく良かった。
絵画的で、アートっぽい。
まあまあ…
海外で絶賛された作品と期待してたんだけど…
ガッカリ…
他の方のレビューを読んで納得。
絵画的で、アートっぽいですね。
キタノブルーも、いっぱい出てくるし…
確かに!そうか!そう観たら!
でも…
『ソナチネ』より、普通に『アウトレイジ』が好き♪(永野さん風で)
静かな空気と暴力
極道の世界に辟易する組長の村川は、上部組織の命令で友好組織の救援のために沖縄に向かうことになるが…。
北野武監督作品。沖縄の風景と久石譲の音楽によって生まれた静かでのんびりとした空気感の裏で人が死にまくる同監督の映画の中で最も芸術性が高いと個人的に思う作品です。
67点
北野武監督兼演者ビートたけし代表作品。
当時の絵の汚さ、雑な格好、心は子供なまま拳銃を手に大人になってしまった彼ら、全てが美しくて、儚くて、悲しくて。
間違いなく後世に語り継がれる傑作です。
是非。
映画でしか表現できないからこそ映画が作られた感覚
数十年ぶりに、今度はDVDを購入して観た。
いまみても、色褪せてなくて、見入った。
感じるのは虚無感。死に向かっていく。
突然ガツンと現れる銃撃戦。
ストーリではなく映像で表現されている。
セリフも少なく、表情。それも静止画のような表情。
死という題材が美しい絵で織りなされている感覚。
闇に閉ざされたビルの中で、マシンガンをぶっぱなししているときに窓から漏れる銃撃光。
それに照らされる黒い車の屋根。
行われていることは殺人なのに、映像が美しいという。
なんとも言葉で表現しにくいからこそ、映像で表現されている。
映画でしか表せないものが表現されているからこそ、映画が作られたという。
まさに映画で表現するのは何かという、本質をついている映画だと思う。
初めて見た北野武監督作品。
新文芸坐にて鑑賞。
20歳の私が初めて見た北野作品。
めちゃくちゃかっこ良かった。
かっこ良さの中に垣間見えるユーモア。
作り込み過ぎてなく、程よく力が抜けたような映像が心地良かった。
また見たいし、もっと北野作品見たいと思った。
北野武
初めて映画館で見て思ったけど、DVDレンタルして家で何回も見たのに、北野映画は配信ないからわざわざTSUTAYA行って何回も借りて見たのに、今日が1番「ソナチネ」好きだなーって感じた。
今までは「ソナチネ」かなー、「HANA-BI」かなー、「3-4x10月」かなーなんて考えたりしてたけど、今日をもって圧倒的に「ソナチネ」が1番好きになった。でも、明後日また「その男、凶暴につき」と「3-4x10月」見たら、変わるんだろうなーって思うと明後日が本当に楽しみ。
冒頭、テーマ流れ始めた瞬間にめちゃくちゃテンション上がってやばかった。
銃の音とBGMの音量が家で見た時とは全然違って、やっぱり映画館で見る映画とそれ以外のところで見る映画は別物なんだなーって感じた。
これから、また映画館で上映されることがあるなら、何度でも見に行こうと思った。
映画のブラックホール
この映画は「ありがちなヤクザ映画のストーリー」を採用しています。ストーリー自体に特殊性はありません。それによって監督北野武の個性が浮き彫りになるように作られています。
またこの映画の特徴は、料理に例えるなら「食材はひと通り集めて包丁も入れたが、火だけ入れてないので食べれない状態」の映画だと言えます。監督がわざとそのようにしたのであり、この映画はヒットしませんでしたが、観た客は度肝を抜かれました。「火が通ってて食べられない。ほかにこんな映画観た事ない」という衝撃でした。ひとことで言えば、絵が陳腐なのです。火が通ってないので。焦げ目も香ばしさもありません。火が通ってない事をどうするのか?というと、何十年も放置しておけば作品は時間と共にゆっくりと燃焼する事になり「嘘臭さのない、本当の火が入った状態になるだろう」となります。つまり年月によって自然な香ばしさが出てきて、いぶし銀のビンテージ感が出てくるはずです。あれからもう28年経ったので、今見るとそのようにとても味のある映画に見えます。これは監督の予想通りです。しかしリアルタイムで観た当時はとにかくそんな、スクリーンから感じられる監督の意図が前代未聞でぶったまげました。北野武は絵ヅラが陳腐である事を屁とも思っていません。
そんな映画創作というもの、そのものに対する実験性がこの映画にはありました。
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