千羽鶴(1969)

劇場公開日:

解説

ノーベル賞作家川端康成の原作を「強虫女と弱虫男」の新藤兼人が脚色し、「盲獣」の増村保造が監督した文芸もの。撮影はコンビの小林節雄。

1969年製作/96分/日本
配給:大映
劇場公開日:1969年4月19日

ストーリー

三谷菊治は、鎌倉円覚寺の参道で千羽鶴の風呂敷を抱えた令嬢に仏日庵への道を尋ねた。菊治は、生前父がよく通ったというお茶席を見たいと思っていた。栗本ちか子のお茶席には、太田夫人文子の母娘も来ていた。父親がこよなく愛した太田夫人は、久しぶりに会う菊治に感慨深げだったが逆に父の愛に満たされなかったちか子は、お見合い相手として自分の弟子の稲村ゆき子を紹介した。清楚な美しさを待ったゆき子は、菊治が最前境内で会った令嬢だった。お茶会の帰途、太田夫人は父親の面影を残す菊治に、心を乱した。菊治が帰宅すると、待っていたちか子が持前の強引さで稲村今嬢との結婚を勧めた。しかし、太田夫人は菊治を求め、菊治は文子から交際を絶つように懇願されながら太田夫人から離れることが出来なかった。父が毎年茶会を開いていた日、ちか子がゆき子を三谷家に招いた。菊治は、乙女らしいゆき子と談合するうち、それがちか子の紹介でなければと思った。ちか子が、太田夫人に「二人の結婚の邪魔をしないように」と電話をしたのはそれから間もなくのことだった。しかし、太田夫人は、文子の眼を逃れるように、衰弱した体を菊治のもとに運んだ。その夜、太田夫人は、自ら生命を絶った。十七日も済んで、文子は母の形見の志野の筒茶碗を菊治に贈った。それからひと月ほどたったある日、ゆき子が結婚した。その夜三谷家を訪れた文子は、母の形見の志野を割って欲しいと言いだした。菊治はそれを父の形見の唐津の茶碗と並べ、文子と向いあって坐った。しかし、文子の茶筅を持つ手がふるえ、やがて二人は結ばれた。よろめきながら立上った文子は、志野の茶碗を庭石に投げつけ、暗闇の中に姿を消した。翌朝文子はいずこかへ旅に出てしまった。その夜、菊治は「文子さんは、死ぬつもりかも知れませんよ」というちか子の言葉をうち消すように、父の形見を庭石に叩きつけた。

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映画レビュー

4.0川端康成原作の映画

2024年6月4日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

川端康成原作なのだが、すごい展開を見せるドラマ。
冒頭に「ノーベル文学賞受賞記念」のテロップ✒️

鐘がなる鎌倉の寺が、オープニングシーン。
平幹二郎は鎌倉から東京まで通勤している会社員。
彼の親父=船越英二には愛人がいて、はじめは京マチ子だったが、若尾文子に乗り換えて亡くなった。船越英二と平幹二郎が親子を演じているが、同一ショットには映らない。

そんな平幹二郎が若尾文子の虜になる。
平幹二郎は「初めて抱いた時は復讐のような気持ちでした。しかし、だんだん、奥さんのひたむきな気持ちが分かってきたんです。」という感情のようで、「『生まれたままの女』、『人間以前の女』いや『人間最後のような女』のような気がして好きになりました」という平が若尾に話すセリフは名言。
その発言に対して「嬉しいわ、ありがたいわ。もう死んでもいいわ。」という若尾文子のセリフも気持ちがこもっている場面。
その後も物凄い展開を見せるのだが、割愛。

カラー映画なので若尾文子はとても綺麗だが、はかなくも愛に生きた女を演じている。
京マチ子は、平幹二郎の近くにまとわりついて「お節介で嫌な女」を演じているが上手い。

原作は未読であるが、川端康成の原作だけあって、会話が文学的な感じがする映画である。
また、増村監督であるから、濃厚な情欲場面を織り交ぜながらの映像が繰り広げられる作品となっており、洗練された美しさ。

この映画の初見は2013年、11年ぶりに購入DVDで鑑賞。
一回目よりも、女性たちの気持ちの揺れが伝わって来た。

なお、DVD特典映像に「特報」と「予告編」があり、これらは本編の別カットなどで構成されていてお得感あり(^^)

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たいちぃ

3.0若尾文子と京マチ子の演技

2020年4月18日
PCから投稿
鑑賞方法:TV地上波

若尾文子と京マチ子の演技に見惚れながら、平幹二郎の力量に不満が残る。

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Gustav

3.0若尾文子の痴女かとみえるやりすぎ芝居と京マチ子の言う中性になった女...

2017年1月6日
iPhoneアプリから投稿

若尾文子の痴女かとみえるやりすぎ芝居と京マチ子の言う中性になった女がとてもおもしろい

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とらこ

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