「存在感に圧倒」切腹 sironabeさんの映画レビュー(感想・評価)
存在感に圧倒
大阪夏の陣から16年。食い詰め浪人が大名屋敷にやってきて、「切腹のために庭先を拝借」と願い出、困った屋敷は金子を与えて帰す。そんな狂言切腹が横行していた。そんな時、井伊家上屋敷に津雲半四郎という浪人が現れ、切腹のために庭先を貸してほしいという。井伊家家老の斎藤勘解由は、春先にも千々岩求女という若い浪人が、同様の件で来た話を半四郎に聞かせる。同じ元芸州藩士だった千々岩求女を知らない、と言っていた半四郎だったが。
武士の体裁、恥、外聞、故の物語。現代人の自分なら、恥を忍んで命乞いをして逃げ出し、他の屋敷に行くだろう。だから竹光での刃傷はあまりにも壮絶でした。狂言にしなかった井伊家、狂言ではなかった津雲半四郎。
リメイクの「一命」を鑑賞済み。その時、義理の親子役の年齢差が、近すぎることが不自然でした。今回は、そうした違和感がなく良かった。しかし、調べると年の差は、なんとたった三歳で驚きました。独特の声でゆっくり滔々と語る半次郎演じる、仲代達矢の存在感に圧倒されました。御冥福を祈ります。
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