セックス・チェック 第二の性
劇場公開日:1968年6月1日
解説
寺内大吉の原作「すぷりんたあ」(「オール読物」所載)を、「毒薬の匂う女」の池田一朗が脚色、「大悪党」の増村保造が監督した。撮影は「ガメラ対宇宙怪獣バイラス」の喜多崎晃。
1968年製作/89分/日本
原題または英題:The Sex Check
配給:大映
劇場公開日:1968年6月1日
ストーリー
陸上百メートルのスプリンター南雲ひろ子は、コーチ宮路のもとで毎日猛訓練をつづけていた。宮路は、ひろ子が好記録を出すためには、女の中に潜んでいる男の能力をゆり起すこと、徹底的にエゴイストになることをアドバイスしていた。その指導通り、ひろ子は毎朝、ひげ剃りを欠かさなかったし、男性になり切ろうと努めた。第一回の記録会の日、日本記録に〇秒一せまる十一秒七の好記録を出したのだ。ひろ子をメキシコ・オリンピックで優勝させようとする宮路は、この結果に喜んだ。かつては、宮路自身も百メートルの名スプリンターで、十秒〇の壁を破るためには獣になって走れ、というコーチの言葉に従って猛訓練をつづけていたのだが、戦争でオリンピック出場を断念したのだった。自分の夢をひろ子にかける宮路だったが、そのひろ子が予選会のセックス・チェックで、半陰陽と診断され、女でないと宣告されたことは大きな衝撃だった。ひろ子はそのショックで伯母の家にひきこもってしまった。しかし、宮路は諦め切れず、ひろ子を迎えに行った。砂浜で二人は口論したが、宮路はそんなひろ子を、突然抱いた。女になりたいと願うひろ子に宮路は、彼女が半陰陽ではなく、偽似半陰だと知らせた。医師の診断は誤診だったのだ。救われたおもいのひろ子は、その日から、再び、猛訓練を始めた。それは奇妙な生活だった。昼の訓練では、宮路はひろ子を少しでも男に近づけようとし、夜、ひろ子は宮路の胸の中でより女になろうとするのだった。しかし、やがて行なわれたオリンピック予選会で、ひろ子の記録は十二秒八。彼女はあまりにも女になり過ぎたのだ。もはや宮路の夢は終りだった。二人は黙って競技場を去っていった。