青春の門 自立篇(1977)

劇場公開日:

解説

前作「筑豊編」に続く第二作目。新しい世界に自由を求めて上京し、貧しい学生生活と友情の中で育つ信介を描く。脚本は「青春の門(1975)」の早坂暁と浦山桐郎の共同、監督も同作の浦山桐郎、撮影は「喜劇 百点満点」の村井博がそれぞれを担当。

1977年製作/161分/日本
原題または英題:The Gate of Youth: Part2
配給:東宝
劇場公開日:1977年2月11日

ストーリー

「目をそらすな! 人間は目をつぶった瞬間にやられるんだ!」石井講師の怒声はピンポン球と共に唸りを生じて、次から次へと信介の顔をめがけて飛んで来る。昭和二十九年、信介は新しい世界に自由を求めて、早稲田大学に入学した。やがて、信介は奨学金を受けながら、石井講師の家に住みこみ、ボクシングの特殊な訓練を受けるようになっていた。ピンポン球はテニスボールになり、ついには石灰をまぶしたソフトボールになっていた。信介は、次々と飛んで来るそのボールをいつしか頬に石灰のあとを残すほど僅かによけて、決っして当らない技術を習得。同時に、目をつぶらない人生をも教えられた。入学当初の信介は、それこそ赤貧洗う如しという状態であった。授業料、生活費とアルバイトに頼っていたため、教室は主に居眠りの場所となった。石井講師は厳しい練習に耐えぬく、腹のへった学生を探しており、信介に目を付けたのであった。信介はひょんな事から演劇部の緒方と親友になる。信介は緒方から、貧乏生活の仕方から、新宿二丁目の遊び方まで教えられる。新宿二丁目の娼婦カオルは、二丁目のローザと呼ばれる細面で色の白い女である。学生達は、彼女に束の間のやすらぎを求めるのであった。カオルの部屋には学生達が金のかわりにおいていった本で埋まっていた。カオルは重い過去を背おって生きていた。やがて、同じように重い過去を背おう石井講師と、衝動的に心中を計る。ある日突然、幼な馴染みの織江が上京して来た。三カ月前、信介が母の死にめにかけつけた時の帰りがけ、若松で織江と再会。その時、子を宿したというのである。しかし、今の信介には、子供など育てられる状態ではない。何気なく、言った言葉。織江にはその言葉が鋭い刃となり、事故で流産し、信介の前から姿を消してしまった。アルバイト先の娘・結城慶子は信介と同じ早稲田の学生。自分とは全く別の世界の彼女は何故か信介に興味をしめした。彼女のとりまき連中の一人、浜崎とボクシングをやり、のされたことも信介がボクシングに熱中した原因であった。しばらくして、織江が池袋の青線で働いていると知った信介。一反のサラシに濡れ新聞をはさんで腹に巻き、池袋へと出かける。池袋で、ヤクザにしたたか打ちのめされるが織江と二人で逃げ帰ることができた。カオルには、一年に一度位、自分の心を押えることが出きない日があった。ちょうどそんな日、信介は初めてカオルを抱いた。しかし、その現場を織江に見つかってしまった。再び、織江は彼の前から、姿を消してしまった。そんなある日、北海道へのドサ廻りに誘われた。その前に、もう一度浜崎とボクシングの試合をやり、またもや、こてんぱに打ちのめされてしまった。しかし、こんどの場合は、精いっぱいやったので爽やかな気分が後にのこった。石井講師は、カオルとの心中未遂事件後、学校をやめ、カオルも新宿二丁目から姿を消してしまった。信介は緒方と共に、もしかしたら北海道に織江がいるかもしれないと列車の最後尾のデッキに立っていた。

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スタッフ・キャスト

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受賞歴

第1回 日本アカデミー賞(1978年)

ノミネート

作品賞  
助演女優賞 いしだあゆみ
助演女優賞 大竹しのぶ
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