「【今作は、”電気的啓示”に打たれた1960年代の高校生達がロックバンドを結成し、厚き友情、仄かな恋を経験しながら成長する様を描いた、邦画青春映画の逸品なのである。】」青春デンデケデケデケ NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)
【今作は、”電気的啓示”に打たれた1960年代の高校生達がロックバンドを結成し、厚き友情、仄かな恋を経験しながら成長する様を描いた、邦画青春映画の逸品なのである。】
ー 数十年振りに鑑賞。勿論、芦原すなお氏の同名原作は既読。大林宣彦監督がその世界観を巧みなる演出を織り交ぜ、実写化した青春音楽映画の逸品。-
◆感想<Caution!内容に触れています。>
・名匠、大林宜彦監督が手掛けたこの青春映画では、高校生間の苛めや、派手な恋愛は一切描かれない。(もちろん、原作がそうだからだが。)
その代わりに、厚き友情がさり気無く、けれども風情タップリに、仄かな恋も、大人達が彼らを優しく見守る姿も随所で描かれているのである。
・”電気的啓示”に打たれた“ちっくん”(林泰文)の呼びかけに集うイケメン眼鏡の白井君(浅野忠信)、ニキビでシャイな岡下君(永堀剛敏)、人生を悟ったかのような坊主の合田富士男君(大森嘉之:この人の演技がこの作品の趣を高めていると思う。)がバンド”ロッキング・ホースメン”を結成し、ハイカラな谷口君(佐藤真一郎)が彼らをサポートする様が、厚く正しき友情を基にして描かれているのである。
・大林宜彦監督の演出として秀逸なのは、
1.“ちっくん”が随所で、第4の壁を乗り越えて見る側に話しかけて来る所が秀逸である。例えば、“ちっくん”が初めて女の子と海岸に海水浴に行くシーンで、その女の子のお尻を見て、股間をもっこりさせてしまう時に、観る側に”男なら、分かるじゃろ!”と恥ずかしそうに言うシーン等々。
又、時に“ちっくん”は、台詞に合った衣装を身に着けているのである。
この壁を越えて来るタイミングが、絶妙に良いのである。
2.白井君の事が好きになった少しエキセントリックな女の子が、ベルリン天使の詩のような天使の恰好で白井君の魚屋の前で佇んでいるシーン。何だか、可笑しいが数十年経って観ても鮮やかに覚えていたなあ。
・“ちっくん”達がバンドを結成する際にも、寺内先生(岸部一徳)は、反対する事無く”一生懸命やる生徒は後押しするじゃろ”と言って支援するし、両親たちも一切反対はしないのである。
そして、“ちっくん”達メンバーは香川県の高校生らしく(と言うか、”マクドナルドなどない。”と“ちっくん”が語りかけてくるのだが。)夏休み、うどん屋でバイトし楽器を買うのである。
彼らの小歩危の川でテントを張って合宿するシーンも良い。勿論ご飯はカレーライスである。彼らが川辺の岩場に楽器を揃え演奏するシーンも覚えていたなあ。
・”ロッキング・ホースメン”が3年の文化祭で演奏を披露するシーンも勿論良い。満席の観客席には、それまで出演して来た人々が勢ぞろいし彼らの演奏を聴いているのである。演奏のラスト、バンドリーダーの“ちっくん”は少し涙ぐみながら皆に感謝し、”ジョニー・B・グッド”を演奏するのである。
<ラスト、東京での大学受験を控える“ちっくん”は白いコートを着て、”ロッキング・ホースメン”の聖地巡礼をして、家に戻って来る。すると、そこには白井君、岡下君、合田富士男君、谷口君が待っていて、驚く“ちっくん”に海岸の堤防で”永久バンドリーダー”に任命するシーンもとても良いのである。
今作は”電気的啓示”に打たれた1960年代の高校生達がロックバンドを結成し、厚き友情、仄かな恋を経験しながら成長する様を描いた邦画青春映画の逸品なのである。>
ベンチャーズのダイヤモンドヘッド、高校の時に友達に教わりながらチャレンジしたなあと思いながら、自分も見ました。
お寺さんの息子さんがいいキャラしてましたね。
原作小説、自分も楽しかったです。