青春デンデケデケデケのレビュー・感想・評価
全16件を表示
ベンチャーズサウンドの超カッコよさ!
原作は芦原すなおの同名小説。
監督は『転校生』や『時をかける少女』で一世を風靡した大林宣彦。
【ストーリー】
時は1965年、四国は香川県の観音寺市。
主人公の藤原竹良こと「ちっくん」はある夜、ラジオから流れた『ベンチャーズ』の曲に、電撃のような衝撃をうける。
矢も盾もたまらず寺の息子で親友の富士男、魚屋の清一、練り物屋の巧の四人でロックバンド『ロッキング・ホースメン』を結成する。
田舎の漁師町で彼らの音楽は雑音扱いだったが、同級生たちからは、だんだんと支持されるようになってゆく。
タイトルのデンデケデケデケは、ベンチャーズファンにとって言わずと知れたエレキギターのギ音。
『パイプライン』や『ダイヤモンドヘッド』って曲名は知らずとも、リバーブを効かせたラウドなイントロは、日本人なら多くが知っていると思います。
パイプラインは元々『シャンデイズ』って先行バンドの曲だったらしいのですが、ベンチャーズがカバーして爆売れ。
しびれるギターリフの、今なお人気曲です。
60年代、海をのぞむ町の青春群像というと、村上龍の『69 sixty nine』なんかを思い出す方もいると思います。
実際に端々が似てますけど、比較的都会でパリピなあちらと比べて、田舎のすみっこで地味に息してた自分なんかには、まったりしたこちらが合ってる感じ。
友だちと部室でダイヤモンドヘッドとか弾いてたし。
柔道部だけど。
地味にうまくいかない青春の、地味な楽しさがいっぱい詰まった一作ですよ。
【今作は、”電気的啓示”に打たれた1960年代の高校生達がロックバンドを結成し、厚き友情、仄かな恋を経験しながら成長する様を描いた、邦画青春映画の逸品なのである。】
ー 数十年振りに鑑賞。勿論、芦原すなお氏の同名原作は既読。大林宣彦監督がその世界観を巧みなる演出を織り交ぜ、実写化した青春音楽映画の逸品。-
◆感想<Caution!内容に触れています。>
・名匠、大林宜彦監督が手掛けたこの青春映画では、高校生間の苛めや、派手な恋愛は一切描かれない。(もちろん、原作がそうだからだが。)
その代わりに、厚き友情がさり気無く、けれども風情タップリに、仄かな恋も、大人達が彼らを優しく見守る姿も随所で描かれているのである。
・”電気的啓示”に打たれた“ちっくん”(林泰文)の呼びかけに集うイケメン眼鏡の白井君(浅野忠信)、ニキビでシャイな岡下君(永堀剛敏)、人生を悟ったかのような坊主の合田富士男君(大森嘉之:この人の演技がこの作品の趣を高めていると思う。)がバンド”ロッキング・ホースメン”を結成し、ハイカラな谷口君(佐藤真一郎)が彼らをサポートする様が、厚く正しき友情を基にして描かれているのである。
・大林宜彦監督の演出として秀逸なのは、
1.“ちっくん”が随所で、第4の壁を乗り越えて見る側に話しかけて来る所が秀逸である。例えば、“ちっくん”が初めて女の子と海岸に海水浴に行くシーンで、その女の子のお尻を見て、股間をもっこりさせてしまう時に、観る側に”男なら、分かるじゃろ!”と恥ずかしそうに言うシーン等々。
又、時に“ちっくん”は、台詞に合った衣装を身に着けているのである。
この壁を越えて来るタイミングが、絶妙に良いのである。
2.白井君の事が好きになった少しエキセントリックな女の子が、ベルリン天使の詩のような天使の恰好で白井君の魚屋の前で佇んでいるシーン。何だか、可笑しいが数十年経って観ても鮮やかに覚えていたなあ。
・“ちっくん”達がバンドを結成する際にも、寺内先生(岸部一徳)は、反対する事無く”一生懸命やる生徒は後押しするじゃろ”と言って支援するし、両親たちも一切反対はしないのである。
そして、“ちっくん”達メンバーは香川県の高校生らしく(と言うか、”マクドナルドなどない。”と“ちっくん”が語りかけてくるのだが。)夏休み、うどん屋でバイトし楽器を買うのである。
彼らの小歩危の川でテントを張って合宿するシーンも良い。勿論ご飯はカレーライスである。彼らが川辺の岩場に楽器を揃え演奏するシーンも覚えていたなあ。
・”ロッキング・ホースメン”が3年の文化祭で演奏を披露するシーンも勿論良い。満席の観客席には、それまで出演して来た人々が勢ぞろいし彼らの演奏を聴いているのである。演奏のラスト、バンドリーダーの“ちっくん”は少し涙ぐみながら皆に感謝し、”ジョニー・B・グッド”を演奏するのである。
<ラスト、東京での大学受験を控える“ちっくん”は白いコートを着て、”ロッキング・ホースメン”の聖地巡礼をして、家に戻って来る。すると、そこには白井君、岡下君、合田富士男君、谷口君が待っていて、驚く“ちっくん”に海岸の堤防で”永久バンドリーダー”に任命するシーンもとても良いのである。
今作は”電気的啓示”に打たれた1960年代の高校生達がロックバンドを結成し、厚き友情、仄かな恋を経験しながら成長する様を描いた邦画青春映画の逸品なのである。>
フリッツ・フォン・エリックの手見たくなってるの♥
友人がベンチャーズが好きで、その友人と高校一年の時に茨城県の取手に『ベンチャーズ』を見に行く予定でいた。
でも、高校生にとっては、金額が高くて行けなかった。(友人は行った。)
代わりに、福田村の◯◯大学の先輩のJAZZを聴きに行ったり、公民館の市民コンサートを聴きに行ったりしていた。残念ながら、聞くだけで、自分で演奏できる才能がないので、こう言った青春にはならなかった。と言うよりも、高校2年の文化祭の時に、普段はあまり目立たない同級の◯◯君が、アコースティックギターの独奏やって、それを聴いた僕は自分の才能の限界を知った。代わりに音楽を演奏する事が『女性にモテる事』だと言う事を知った。まぁ、男版『けいおん』なんてそんなもん。
最後の『ジョニー・B・グッド』は『スイングガールズ』の『シング・シング・シング』だね♥
僕の高校時代は、ワンダーフォーゲル部に小さく関わった。担任の教師に同部の入部を勧められたが、その教師が体育会系のスポ根教師だったので、それが嫌で、結局入部せずに一人でゆるキャン△をやっていた。ロッククライミングも経験しようとしたが、学閥があって、それからも排除される事になった。
だから、この頃から、一人で何でも行動するようになった。加藤文太◯、植村◯己、長谷◯恒男が男のダンディズムであった。
あと、そうそう、ラインホルト・メスナーとガストン・レビュファ♥
関係ない話をしてすみません。
僕にとっての青春は結局『SUNT◯RYオ◯ルド』を片手に『テクテクテク』でした。勿論、もう片方には『峰』をプカプカ。ウマシカジジイの青春はウマシカだったのである。
まさにエレクトリック・リベレーション(電気的啓示)‼️
この作品は観てる者すべてにとっての青春、いや思春期そのものですよね‼️あの時、あの場所でじゃないですが、誰もが一生のうち一度は経験するであろう思春期というか、感情の揺れみたいなものが画面に充満してます‼️大林宣彦監督作の中でも一番好き‼️ホントに愛おしくて愛おしくてたまらない映画です‼️1960年代の香川県観音寺市を舞台に、ラジオから流れるベンチャーズ「パイプライン」のデンデケデケデケに魅せられた高校生4人組が、バンド「ロッキング・ホースメン」を結成、ベンチャーズのコピーバンドを目指す‼️スナックの開店祝い、文化祭と青春のデンデケは鳴り響く‼️主人公のちっくんこと藤原竹良役の林泰文、妙に世間慣れしている寺の息子・富士男役の大森嘉之、気弱なニキビ少年・岡下役の永堀剛敏、白井役の浅野忠信、エンジニア静夫役の佐藤信一郎の5人が主要メンバー‼️久石 譲さんの音楽から「デンデケデケデケ」が流れ出す冒頭からしてホントにゾクゾクさせてくれる‼️同じ志を持つ同士が自然に集まってきたり、デートじゃないがクラスの女の子と海に泳ぎに行ったり、同級生の初キスや恋路が気になったり、遊びに行った同級生宅で妹が可愛かったり、同級生がエロ本差し入れしてくれたり、夏休みにみんなでバイトしたり、遠足気分の合宿に行ったり、そして文化祭での晴れ舞台‼️ホントにもうあるある、あったあったみたいなこの感覚‼️細かいエピソードとしては、白井に好意を寄せるストーカー女子の話だったり、岡下の初恋を成就させるための三田明の「美しい十代」‼️担任の先生に扮する岸部一徳がフェイドアウトする人の世の儚さ、突然の別れ、彼が元タイガースのメンバーというのも粋なキャスティング‼️ちっくんの数々の夢や妄想を細かく映像化して見せてくれたり、楽器、アンプなどの小道具の扱いにもホント味があって、大林宣彦監督の演出は、軽妙でユーモラスでみずみずしくてノスタルジック‼️ホントに天才ですよね‼️主人公たちがデンデケの啓示を受けたベンチャーズの「パイプライン」をはじめ、ビーチボーイズ、チャック・ベリー、ビートルズら60年代エレキサウンドの数々が全編に流れているのもチョー楽しい‼️観音寺弁の不思議な響きも、独特の雰囲気を醸し出すことに成功している「古里映画」の決定版ですよね‼️そして、ラストのメンバーの別れの会話‼️ちっくんと彼をバンドの終身リーダーとして表彰する他の4人の姿‼️美しき友情‼️ジーンと胸に染みます‼️「これから先の人生でどんなことがあるか知らないけれど、愛しい歌の数々よ、どうぞ僕を守りたまえ」ちっくんの最後のこの言葉、私も歌を映画に置き換えて、いつもこの言葉を自分に言い聞かせてます‼️
エレクトリック・ホースマン(出逢い)
芦原すなおの直木賞受賞作の映画化だが、香川県観音寺が舞台で、著者も同地出身なので、自伝的な作品なのだろう(原作未読)。大林宣彦と言えば故郷尾道にこだわって映画を撮ってきた人だが、今作では瀬戸内海を渡った対岸を舞台にしたことになる。
田舎の垢抜けない男子高校生たちのバンド活動の話で、一応文化祭でのライヴがクライマックスになるのだろうけど、さして劇的なエピソードがあるわけでもなく、淡々と微温的に日常をスケッチしていく。何年か後の現在から回想している風のナレーションが入るが、どっちつかずでその設定があまり生きていない。役者は鈴木福君似の主人公以下なじみのない人が多く(浅野忠信を除く)、台詞は朴訥と言うか学芸会風。
フラダンスなり吹奏楽なり、素人が努力を重ねてそれなりの果実をつかみとる系の物語は数多に存在しているので(そういうコンセプトでもないのかもしれないが)、その中でもごく薄い印象しか残らなかった。
私はどうも大林作品とは相性が悪いみたい。
突然の啓示で動き出す青春!
Paraviで鑑賞(レンタル)。
原作は未読。
舞台の香川県観音寺市は、父方の田舎の隣町と云うことで本作に親しみを覚えたので、観てみることにしました。
大林宣彦監督ならではの小気味良いカット割りとノスタルジックな演出、比喩のヴィジュアル化が緩急巧みに取り入れられていて目を引きました。大林組常連のちょい出しもナイス。
特に合田富士夫役の俳優の演技が抜群に素晴らしい。
主人公が電気的啓示を受けたことで動き出した青春模様が懐かしさを喚起させる。別にバンド活動をしていたわけではないけれど、覚えのある感情たちが溢れ出し、絶妙に醸し出されるグルーヴ感がめちゃくちゃ心地良かったです。
堤防での別れの切なさが胸に沁みました。
※修正(2024/02/21)
やっぱり最初はベンチャーズ♪
デンデケデケデケ
すごくよかった
公開当時、映画館では見ずにレンタルビデオで見たような気がする。それ以来でレンタルDVDで見た。登場人物の高校生が田舎の絶妙に芋って感じですごくいい。そんな中、浅野忠信がかっこいい。黒縁眼鏡が似合っていて取らないで欲しかった。
喫茶店の開店祝いでのライブで途中からヤジが飛んでいたたまれない感じは、オレもバンドしていてアウェーの時に味わったことがあり、身につまされる。クライマックスの学際での『ジョニーBグッド』をエンドロールで見せてくれる心憎い構成。
音楽が贅沢。『パイプライン』はお腹いっぱい。ロックがテーマなのにいい子ちゃんばかりで、ハイクラスの高校の青春で、ヤンキー高校出のオレにはまぶしい。彼女でもなんでもない同級生と海に遊びに行く場面がすごくいい。
ただ、ちょっと長くて飽きる。
さらば青春の光の日本版というべきかも知れません
1965年秋から1968年2月15日の朝までの、男子高校生達の三年間の青春物語
ベンチャーズのダイヤモンドヘッド、アニマルズの悲しき願いの発売が1965年
ビートルズ来日は1966年6月
グループサウンズのタイガースは1967年、オックスは1968年のデビュー
これらの音楽を背景にして、55年前のロック少年達の青春はどうであったかの映画だといえば本作の内容を説明するには十分であろうと思います
けれども田舎町観音寺の高校達の青春は、10年後どかろか、20年後30年後も大して変わっていない普遍性があります
もしかしたら21世紀の現代の高校生だって変わらない共感できるものかも知れません
だから本作の生命も永遠なのだと思います
相米監督のワンシーンワンカットの長回しと、対極にあるカット割りの多さが映像の特徴です
リズムすらあるスピードでカットが切り替わっていきます
しかし、終盤になりそのテンポは一気にスローダウンして、映像のロックンロールはバラードにななるのです
さらば青春の光
それは同じ時代のイギリスの若者の映画です
しかしその題名こそ本作に相応しいと思います
終盤、夕陽のオレンジ色から夕暮れの蒼い色に変わっていく光の中で、高校生達は青春に別れを告げたのです
名作です
隠れた、大林宣彦の最高傑作。
この作品の前には、あの「尾道三部作」もかすんでしまう。
とにかく、カメラのカット割が凄い。全部で何カットあるんだろう。編集にかなりの時間を要したのも納得できる凄まじいテンポ。
まさに「ロッケンロール」で「デンデケデケデケ」を体現した
素晴らしい作品。
香川県観音寺に差し込む光は尾道の反対向きで、まぶしさすら感じさせる。同時代を描いた作品は多いが、「懐かしいでしょう。当時を知らない人には新鮮でしょう。いいんですよ、泣いて。涙をさめざめと流してくださいねー」というヌルイ作品が多くて辟易する中、「元気印」のこの映画は白眉だと言える。
若い役者はみんないい。林くん、大森くん、浅野忠信。
そして脇役も非常に豪華で素敵。
生涯の宝です。
全16件を表示