スローなブギにしてくれのレビュー・感想・評価
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拝啓 昭和の名優たち
昭和のというか、この時代の映画とはなんて理不尽で反逆的で社会を写し出しているのだろう…。
51才の自分が幼少期に映画のCMやら、映画音楽で気になっていたものを観漁ってみると非常に重たい内容が多い。
この映画はテーマソングの「スローなブギにしておくれ」が幼心に響いていた。
そして今日初めて本題の映画を観る。
何なんだろうか…。
今のコンプライアンスてはあり得ない内容。
大御所と呼ばれるような俳優の若かりし頃の下積み映画。
特にダブル浅野…。
浅野ゆう子は観る影もなく、浅野温子は主役で全裸も披露している…。
浅野温子の魅力たっぷりで、当時から今に至るまでのスタイルが変わってない。
自分等の年代には観る価値のある逸品な映画だ。
浅野温子
古尾谷雅人がギンギラで若い。丑三つの村よりちょい前かな? 野性味、ちゃんと感じました。
何より浅野温子がべらぼうに美人でビックリ。とくに意味のない全裸のシャワーシーンもあり、笑った。これ初主演作だそうですが、とにかく可愛いくて、そりゃ売れますよね。
藤田敏八監督はこの頃若いセンスの部類だったそうですが、時々風船を散らしたりコマ落としみたいなことやったり、ちょっと不思議な絵も見られました。
いろんな別れと
出会って別れてまた戻り…がいろいろな場面で繰り返し。ずっとさよならもあるけれど、一つ一つの人と人とのかけひきがしっかり描かれているな、と思った。ただし、ストーリーは何もない。浅野温子が魅力的で、この作品の中で一人成長している存在。あとはろくでなし。重ねて言うが、浅野温子は猫のように奔放で愛らしい。
ん、ムスタング
高校のとき、オトナの世界を覗いた感じだった。
浅野温子のフェミニンな魅力、努のモテ男ぶり、原田芳雄の死にゆくスローモーション。南佳孝のスローなブギにしてくれ!最高のコラボレーション。
浅野温子の板みたいな身体と、似合わない厚化粧が記憶に刻まれている。
ムスタングがイカス
若い頃は何だかよくわかないものが年をとってくるとわかってくるというのはある。この1981年製作の角川映画、片岡義男原作ということで封切られオシャレ扱いされたのだが、何だかわからないモノの代表格であった。
しかしなんて事はない、藤田監督が自分の撮りたいように撮った藤田敏八映画であるだけなのだ。
浅野温子がまだトレンディへ進化する前の初々しくもしなやかな姿を見せ、山崎努と古尾谷雅人の二人の男の間で行ったりきたりするのだが、どちらも正直ヒドイ奴 (特に猫の扱いが・・・!)。その男女間の気だるさと奇妙な皮膚感覚が藤田敏八節なのである。
ファッショナブルを装ったまったり恋愛模様がこの映画の正体。そういう意味で南佳孝のねっとりとした歌声は正解だ。
若き浅野温子の美しさと山崎努のくたびれた色気を見るだけでも価値はあります。
角川型ハードボイルド映画
若い時によく原作を読んでいたので原作を大きく改変してある脚本に驚かされた。
原作は若いバイカーと少女の奇妙な恋愛ストーリーだったと思うが映画は原作の二人と中年男を交えた男女の三角関係で話を進めてある。
男女の三角関係とはいえ、そこは角川映画らしくドロドロしたものにならずサッパリした感じで作品がまとめてあるのは好感が持てる。
ラストも訳が分からずらしいと言えばらしい角川映画。
まさに角川型ハードボイルド映画その物であった。
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