砂の器のレビュー・感想・評価
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カメダ‼️
野村芳太郎監督の松本清張原作の映画化としては「ゼロの焦点」「鬼畜」「疑惑」みたいな秀作がありますが、「張込み」と並ぶ最高作ではないでしょうか⁉️ただこの作品に関しては、山田洋次と橋本忍による脚本の力がかなり大きい‼️私は原作は未読なんですが、原作ではわずか数行の描写である、ハンセン病の親子の遍路の放浪の道行きが津軽、信州、北陸、山陰の美しく厳しい日本全国の四季の風物と共に映し出されるのがこの作品のハイライト‼️しかも捜査会議と大演奏会を合わせた三部構成にし、そこに重なる交響曲「宿命」の旋律が美しすぎて、ホント鳥肌モノです‼️津軽の寂れた浜辺で、打ち寄せる波が、宿命として親子二人にもおおいかぶさってくる‼️スゴいですよね‼️血のついた服をバラバラに刻んで、電車の窓からバラまく美しいシーンも印象に残ってますね‼️あと出演者に関しては、加藤嘉さん‼️私はこの人は生理的に苦手なんですが、「わしゃあ、知らん」と言い切った時の演技は切なすぎる名演でした‼️とにかく、この作品は、市川崑監督の「悪魔の手毬唄」と並ぶ日本ミステリー映画の二大至宝‼️多くの方々に観ていただきたいですね‼️
エネルギッシュな昭和の風情とその影の魅力
先日羽後亀田を訪れ、中学の頃父とDVDを見たのを思い出してAmazonプライムでレンタル視聴した。デジタルリマスター版の配信は嬉しい。
日本のさまざまな地域の鉄道の風景、田舎の様子を一本で味わえる、映像作品としてもとっても魅力的な作品だと思う。喫茶店で溶けたアイスクリームを啜るところが特に好きだ。
中学の頃見た時は、千代吉が会いたがっていた秀夫の写真を見て涙しつつも知らないと語った姿に、なにか感じるものはありつつも理解できなかった。
今回、多少成長してから視聴して、感想が大きく変わったので記しておきたい。
二人で過酷な旅をする中差別を受けた二人だけの共有する思いがあること、立派に大成した風の息子を病人の父がいるということで足を引っ張りたくない父心のようなもの、会いたいけれど会いたくない、そんな思いなのかもしれないと感じた。
三木はまごうことなき善人だけれど、良い人であるが故に、会いたいけれど会っては行けない、会いたいけれど会うわけにはいかないと心の奥底で理解してしまっている両者を会わせようとしてしまった。
元は決して悪い人ではないはずの三者が、被差別という体験を経て喜びの再会にすら萎縮し、善意に殺意を返してしまう差別のひっそりとした恐ろしさ。やるせない涙してしまう人間ドラマの根底に這わせられている、差別がなぜいけないか、それが解消された後も、人は生きていくという事実に行き当たったような感じがした。
また、ジェンダーなど、多少なりとも男性・女性間の認識のギャップや、父・母といった役割に意識を向けるようになった現代からみると、辛い経験のあるはずの秀夫もまた理恵子をその経験故か加害してしまう姿に、鋭い批判を感じた。男性から女性、あるいは子から母へ向かう無理解さ、経験の無さが秀夫の加害の根源とも思うが完全に善良な人も、完全に被害者の人も、完全に加害者の人も、この世にいないのだと肝に銘じたい。
また歳をとってから見返したい作品。
宿命とは
映画とはこういうもん!
警察官の捜査としては現在(2015年)から観れば
少々ゆるい所もあるのですが、そういう自由のあった時代の作品。
全く関係無く見えている複数のものが
やがて1つに集約されて行くのは
サスペンスやミステリーの醍醐味なのですが
それが、海外では無く日本の原風景の中で展開してゆく
この映画の映像の美しさは記録映画としても価値あるものでしょう。
昭和の名優達のほんのワンカットの出演シーンも
あら!こんな所にこんな人が!と言う見つける楽しさあり
長い物語の中に引き込む力がやっぱ半端無いと言うか
まさに映画とはこういうもん!と言って遜色無い作品です。
実のところ、音楽の才能は、この映画の様な
簡単なもんじゃ無いな〜〜と
思うところもあるのですが、
そこは映画として勘弁して下さい。
一番大事なのは、
この作品の悲劇の元は形を変えて今でも残っているし
無知と貧困の残酷さは今の方が大きいかもしれません。
時代を超えて、人々に突きつけられる課題だと思いますわ。
こんな人知らねーよ…
父は立派に育った息子を知らないと言った。。唯一会うことだけを糧に生きてきたのに。。昔ドラマを見たことがあったのでストーリーはわかっていたが、映画初鑑賞。ストーリーは元より構成、カメラワーク、役者陣全てが素晴らしい。全編通して、まさに足で稼ぐ今西刑事。事件の全容、悲劇を知り、他の刑事に話す目に涙、良かった。和賀が弾く曲と共に振り返る親子の旅のシーンは言葉は無くとも伝わってくる。逮捕後、全てから解放された和賀が収監前にひと時でも父に会ってほしいと思ってしまう。
父と子がたどった壮絶な運命には心を動かされた。 ただ、それまでに手...
やっとみれた、もっと早くみたかった。
一言「昭和スター勢揃い!」。
出演者が誰か知らずにみて、もうびっくりの連続。みんな若い!。
国鉄蒲田駅で起こった殺人事件。亡くなる前に犯人と話した東北弁の「カメダ」。
手がかりがなく、捜査本部は解散し継続捜査にランク落ち。
そこをひとつひとつ、今西刑事(丹波さん)が捜査していき。
各地に散らばる点を、一つにつなげていくところ。
ちょっと鉄道物のテイストも、前半あったのもアクセント。
終盤犯人の子供の頃の話、そしてどうやって生き延びていったか。
壮大な音楽にのせて、ほぼ台詞なしの30分ちょっとで描かれる。
その曲が「宿命」というのも、切ない。ちょっと泣けた。
戦後の混乱期の話等歴史的にも、観てほしい。
ドラマ化4作あるそうですが、どうかな。
⭐️今日のマーカーワード⭐️
「幸せなんてない。だからみんな影を追っている」
ALLTIME BESTでない理由が分からない
殺人事件を捜査する刑事が辿り着く、犯人の苦難の人生を描く物語。
日本映画史に残る名作ですね。このサイトのレビューでも、「5」を付ける方が多くいらっしゃいましたが、そのレビューに相応しい作品だと私も思います。
「ハンセン病患者への偏見」。日本の歴史に暗い影を落とす現実をベースに、「親子愛」と「善から生まれる犯罪」を描きます。
極めてシリアスな社会派サスペンス。それに合わせて、演出も重厚そのもの。特に中盤までの捜査シーンは、BGMは一切なし。酷暑の中、淡々と地道に捜査する刑事達を活写。極めて私好みの展開となりました。
その物語を担う俳優陣も、丹波哲郎を筆頭に実力者揃い。
見応えのある作品に仕上がりました。
それでも、評価は4。
評価を下げた理由の一つは、終盤の回想シーン。他の方のレビューでは賛否分かれているようですが、私は少しやり過ぎに感じました。
もう一つはサスペンスとしては、粗が多いこと。特に刑事達の「気付き」の部分が雑で、サスペンスとしては微妙に感じてしまいました。
少し、蛇足。病気等への偏見を題材にした作品として、個人的に好きな作品があります。逝去された西村京太郎氏の作品で「天使の傷痕」という作品です。映像化はされていませんので読むしかない作品なのですが、暇と機会がありましたらぜひ。
言うまでもなく日本映画の金字塔
音楽と放浪の日々の描写が無ければ
戦前、戦後をまたぎその問題点をミステリーとして描いた松本清張の代表作。
やっぱりいろいろ謎は残る。
そもそもなんで犯人の愛人は殺人の証拠の衣服をいちいち中央線の車窓からばらまくなんていう人目につくことをしたのか?これが謎(まあそうしないと話にならんのだけども)。
後は他の方もレビューに書いていたけれど、主人公の殺人に対する葛藤は描いて欲しかった所。
突っ込み所はあるものの、芥川也寸志が手掛けた楽曲と病人の父と子が寄り添って辿る旅路の映像は素晴らしく、胸に迫るものがある。
逆にこれが無ければ見所が少ない映画であったかもしれない。
組曲
蝉の音、うちわ、夏、田舎
犯人の心情を描いてほしかった
以前にも何度か途中まで鑑賞したことはありました。その度に、途中で挫折していました。今回は最後まで鑑賞することができましたが、残念ながら高い評価をつけることはできませんでした。
理由の一つは、時代背景に対する私の理解不足です。舞台となっている時代にはまだハンセン病に対する偏見があったのでしょう。その事実を知らなくても字幕でそうした解説があるので理解はできます。でも、同時代を経験していないからなのか、いまいちピンとこなかったのです。
もう一つの理由は、犯人の心情に対する描写の少なさです。前半では犯人に至る過程に、後半では犯人の出自のルーツに焦点があてられています。一方で殺害前後に抱いたであろう感情については、ほとんど描かれていません。このあたりが、しっくりこなかった理由なのだと思います。犯人が捕まり、犯人の葛藤や苦悩が描かれている作品の方が好きなのかもしれません。
時代が生んだ悲劇
70年代の病気差別。コロナ禍の今、2020年代になっても人の根本はそんなに変わっていないのかなと。
自分の感性が弱いのか、他の人のレビューほどのものは感じれなかった。
脆い器
「宿命」
物語の真相が明らかになるシーンで「宿命」という題名の曲が独奏されるが、そこは小説では表現しきれないくらい胸が痛くなるシーンの連続だった。
小説は当然文字だけで表現される。想像を掻き立てられるがそれを文字で説明されてしまうので読み進めるほかないのだが、小説を映像化するにあたってそれをセリフではなく映像で説明する力量がとても胸を打つ。
ピアノがバックで流れる中、ある親子の壮絶な半生が再生されるのだがピアノの曲と相まって美しいけれど、その中ではとても言葉では説明できないような残酷な人生だったことがわかる。作品のとあるキャラクターがこの曲を作曲していく中で、この苦悩があったからこそ一つの作品として作り上げたのだと思うし彼の頭の中を観客にも同時に追体験させる意味で物語に落とし込んだのだと思うとこの映像化はよくできた作品だと思った。
丹波哲郎が評価の分かれ目
この映画で一番気に入っているのは捜査していく過程、警察内での捜査の進捗状況の報告等が非常にリアルっぽかったこと。マイナスポイントは、最後のクライマックスで、逮捕容疑の説明と犯人のコンサートの様子を同時進行で進んでいくが、長すぎないか。個人的な見解だがクライマックスは長すぎてはいけない。例外的に成功する例もあるが(例えばゴッドファーザーpartⅢのオペラのシーン)。しかも、肝心の動機を丹波哲郎が長々と説明する手法は映画製作者としてはやや安直すぎないか。小説ではなく映画なのだから映像で訴えなければいけないのではないか?
日本映画の名作の中の名作。!
この映画以上に感動した作品は私は見た事がありません。!
差別の問題は人間にとって永遠のテーマかもしれません。!
昨今、アメリカの人種問題、日本国内での原発被災者への心無い発言、最近ではコロナ患者への偏見等は人間の本質的な問題であり常に自身も注意しなくてはいけないと思いました。!
映画後半からのシーンは涙なしでは見れないがシーンが連続するが(親子の巡礼、駅での親子の別れのシーン等)特に私の好きなシーンは今西刑事約の丹波哲郎が事件の経過を話す所で千代吉(加藤嘉)と三木(緒形拳)の手紙のやりとりを紹介するシーンです。!
千代吉の言葉
「いったい秀夫はどこにいるんだ。」
「死ぬまでに会いたい。」
「一目でいいから会いたい。」
と、ただただそれだけを書き綴り。
それに対して三木は
三木の言葉。
「あなたの子供さんは見所がある頭のいい子だからきっと立派に成長しているでしょう。!」
「そして、必ず必ずいつの日かきっと会いに来てくれる事に相違ない。」と
繰り返し繰り返し、繰り返し繰り返し、この様に励ましております。!
ここのシーンも何回見ても涙が出てくる。!
名優丹波哲郎の演技が光る。!
(千代吉が自身の息子秀夫に強く会いたがっている事を三木が知っているため、和賀(秀夫)に強く主張する。→
これが犯行に繋がるきっかけとなる事も本当にやるせない。!)
その三木が和賀(秀夫→加藤剛)にいい放つ言葉が犯行の核心部となる。!
「秀夫なぜだ。!」
「どけんしてなんだ?」
「会えば今やりかけてる仕事に行けんようになるなんて、何故そげんこと言うだらか?」
「わしにはわからん。」
「たった一人の親、それもあげな思いをした親と子だよ。!」
「秀夫、わしは首に縄、縄つけてでも引っ張って行くから。!」
「来い、一緒に秀夫。!」
ここも切なすぎて涙が出てくる。!
誰の責任で誰か悪いと言えるのだろうか。!
しいて揚げるとしたら差別を行ってきた社会だと思う。!
この砂の器はドラマで何回もリメイクされているがこの映画以上の作品は作られていない。!
(言い切っていいでしょう。!)
それはテーマである差別(ハンセン病)の深さを本質的に目を反らしているからと思える。!
コロナ問題の今こそ見るべき映画と思います。!
最後に音楽「宿命」も本当に素晴らしい。!
もちろんCD持っています。!
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