「犯人の過去を映し出す演出が素晴らしい!」砂の器 ノブさんの映画レビュー(感想・評価)
犯人の過去を映し出す演出が素晴らしい!
午前十時の映画祭で鑑賞。
原作は未読。
評価が高く、松本清張氏による原作も有名なので見てみようという気になりました。
今西刑事演じる丹波哲郎がとても魅力的に描かれてました。
昭和という時代の空気感がいい。
「カメダ」というキーワードをめぐる捜査も方言がからんでいて面白い。
ピアニスト和賀英良を加藤剛、今西刑事の相棒吉村刑事を森田健作、映画館の主人に渥美清、被害者で元島根県警の巡査部長三木謙一を緒形拳などそうそうたる俳優陣が出演しているのもすごい。加藤嘉さんの演技も印象に残る。
特筆に値するのは、終盤今西刑事が逮捕状を請求するにあたり、犯人の幼少期の辛い過去を宿命という曲をバックに映像で見せていくシーン。
犯人の自供ではなく捜査によってこれが真実であろうという映像を長尺で見せる演出。
丹波哲郎の語り口が説得力をもって見る者に迫ってくる。
なぜ彼が犯行に及んだのかいろいろ考えさせられるものがありました。
そして犯人逮捕のシーンをあえて描かない演出。
ただひとつ、なぜ彼女が列車から布片をまいたのか。
本当にバレないように処分しようと思えば燃やすなりもっと他に方法があったと思うのだが、あれは彼へのあてつけだったのでしょうか。
難航する事件の手がかりをひとつひとつ現地に出向いて真実を確認する中で新たに発見される真実。足で稼ぐ今では考えられないような地道な捜査によって真相が明らかになる刑事ものとしての面白さはもとより、時代背景やハンセン病が根底に描かれ、確かに一見に値する映画でありました。
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本作、過酷な運命で綴られる壮大な人間ドラマです。冒頭の砂の造形物が波で徐々に崩されていくシーンが作品全体を集約していて素晴らしいです。マイベスト1作品です。
では、また共感作で。
共感ありがとうございます。
現在の観客ではかなり理解出来ない部分が多いと思いますね。今西刑事の私生活、父拒絶の理由、何より逮捕シーンが無い、ソコだけじゃないんだよ、全部説明しないと駄目なの?考察って一体?昔の人はつくづく心豊かだと思います。