「昭和の闇、親子の光と影…」砂の器 群青ノワールさんの映画レビュー(感想・評価)
昭和の闇、親子の光と影…
間違い無く星5だろう。今の映画やドラマを考えたら星5では少ない星6か7くらいだ。
作中の隔離政策である「らい予防法」が撤廃されたのは実に1996年の事で、平成中頃までは行旅人と称される方が河川敷に居る噂が時折流れる。
決して近づいてはいけない。ヤクザなのかそれが何者なのか学生の私には判らなかった。
現在地上波ではこの日本人が歩んだ黒歴史を放送禁止としているようだ。この国は共産国ですか?w
さて物語は過酷な旅、肉親との離別で音楽の才能を開花する秀夫少年。改名し和賀英良となったが学歴も家族親族も無い彼にとって音楽家としての名声は唯一無二の武器だった。
なぜ彼は自分の武器を運命を信じられなかったのか?
秀夫少年なら父親に会っていたろう。
三流ゴシップ誌にすっぱ抜かれて世間の評価が落ちようとも闇を抱え込んだろう。だが秀夫少年の心は和賀英良の中に埋もれてしまったようだった。
闇を飲み込んだ人間は強いと聞く。
この作品を見てそれに気付く筈だ。
和賀は闇を宿して音楽を作り続けるべきだった。
その闇には愛があった。仮に再び漂泊の身と成り果てようとその才能に陰る事は無い筈だ。
だが金と名声に欲を曝け出し始めた彼にはそれが出来なかった。清廉で愚直…。
それが才能が要求する糧だった。
和賀にとって偶然手に入れた才能が道具に変わった。
残念な言い方だが…器では無かったんだ彼は。
タイトルの通り砂の器だった訳だ。
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