「ご都合主義のパッチワーク」砂の器 koseiさんの映画レビュー(感想・評価)
ご都合主義のパッチワーク
原作・松本清張,監督・野村芳太郎ということで,満を持して観に出かけた往年の名作「砂の器」(1974)。手元の解説書にも,
> 犯罪という悲劇の中で人間が背負う業を感動的に描き,内外の高い支持を集めた。
とあり,期待はさらに高まった。
が,しかし。ストーリィ全体はトリックやロジックを軽んじ,ストーリィ全体を構成する各地でのロケ・小ストーリィをご都合主義にパッチワークしたとしか言いようがない。
むろん作品が制作された時代性はあるのだろう。つまり,それまでの探偵小説から一皮むけ,社会派推理小説家として松本清張がもてはやされた往時にあっては新鮮で耳目を引き「高い支持を集めた」のだろう。しかし現在から振り返ると過去の遺物としか評しようがない。
私の右斜め前に座っていた若い女性はハンカチで涙を拭っていたのが不思議でならなかった。また,キネマ旬報社の映画評といえども,鵜呑みには出来ないこともよく分かり,今後の映画選択に向けての貴重な体験にはなった。ありがとう,「砂の器」!.....?
>それまでの探偵小説から一皮むけ,社会派推理小説家として松本清張がもてはやされた往時にあっては新鮮で耳目を引き「高い支持を集めた」のだろう。しかし現在から振り返ると過去の遺物としか評しようがない。
おそらくそうなんだと思います。50年前の公開時は斬新だったのだと。私も同じような印象を抱いただけに大いに共感しました。このように古い映画を観るときは「目の肥えた現代においては陳腐な映画にみえる危険性がある」ということをあらためて再認識しました。
koseiさんの、自らの感じたことに忠実なレビューを書く心意気を賞賛します。
おっしゃっていることのすべては理解できませんでしたが(申し訳ありません)
ものの評価って面白いですよね。
時代によって評価は変わるし、同じ時代に(つまり今)観ている同じ作品に対しても
極端に良いという人がいて、同時に駄作という人もいる。
これって、何なんでしょうね。