劇場公開日 1955年9月21日

「雷蔵は源氏物語より平家物語」新・平家物語 La Stradaさんの映画レビュー(感想・評価)

雷蔵は源氏物語より平家物語

2025年8月16日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

 吉川英治の全16巻に及ぶ大長編小説を溝口健二監督・宮川一夫撮影の黄金コンビで撮った作品ですが、全編1時間47分ですから物語のほんの入り口だけを描いたものです。でも、今や実現不可能な大セットと莫大な数のエキストラは圧倒的迫力で、そこを駆け抜ける清盛役の雷蔵には20代の若さが溢れています。「新源氏物語」の魅力の無いなよなよ男より雷蔵はやっぱりこっちだな。また、溝口健二と言えば、たおやかな作風が持ち味と勝手に思っていただけに、こんな硬骨な作品も撮っているのが意外でした。

 そして、もはや行き詰まりが明らかな藤原家の摂関政治から、それまで単なる用心棒としか見なされていなかった武家への移行がリアルに描かれ、歴史を肌で感じられる作品として子供たちに進めるのもいいんじゃないかな。

La Strada