人生とんぼ返り(1955)

劇場公開日:

解説

新国劇の殺陣師市川段平の半生を描く。長谷川幸延の原作を「赤城の血祭」のマキノ雅弘が脚色監督し、「おしゅん捕物帖 謎の尼御殿」の高村倉太郎が撮影を担当した。主なる出演者は「夫婦善哉」の森繁久彌、「花ひらく(1955)」の山田五十鈴、「女中ッ子」の左幸子、「志津野一平 愛欲と銃弾」の河津清三郎、「自分の穴の中で」の広岡三栄子、「三つの顔」の水島道太郎など。

1955年製作/117分/日本
原題または英題:Such is Life
配給:日活
劇場公開日:1955年11月1日

あらすじ

大正末期、沢田正二郎が新国劇で売出した頃、大阪の殺陣師市川段平は、梳髪屋を開く女房お春、雇い娘おきくと共に貧しいが男の意気一本に生きる生活を送っていた。沢正は舞台の剣戟に新らしい写実的な様式を導入しようとし、段平も新らしい型の創造に苦心したが、ある日沢正が土地の不良を投げ飛ばしたことからヒントを得て、真に迫った殺陣をつけることが出来た。つづいて東京「明治座」へ沢正が出ることになり、段平も勇んで上京したが、その出しものは「桃中軒雲右エ門」、剣戟場面がないので段平は失望するのだった。五年後、沢正は南座に「国定忠治」をひっさげて公演することになった。しかし段平は中風で重態となり、晴れの舞台に殺陣をつけることが出来ない。開幕が迫り沢正が失望していた矢先、雇い娘のおきくが駈け込んで来た。段平の型を教わり、それを伝えるために来たのである。彼女は、段平そのままの殺陣を演じ、沢正を驚ろかせた。舞台を終え、病床に駈けつけた沢正の手を握り、自分を父と思うおきくに見とられながら殺陣師段平は大往生をとげた。

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スタッフ・キャスト

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映画レビュー

3.5森繁久彌主演

2025年4月25日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:VOD

悲しい

知的

YouTube 日活フィルム・アーカイブにて鑑賞

仕事に一筋の殺陣師
それを支える髪結いの女房と養女

映倫番号 1097? 1997?
一般社団法人日本映画製作者連盟に、
何故かデータが無かった。

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七色姫

4.5日本映画の持つ悲哀、忘れかけていたやるせなさが心の奥底から甦る物語

2025年4月23日
PCから投稿

新しい演劇への情熱、立ち回りに情熱を傾けた男とその妻の物語。

妻役の山田五十鈴の細かい仕草は分かりやすく、どこを取っても夫への深い愛情を感じる。一方、仕事一筋とはいえ、心の中では妻ただひとりと、森繁久彌の演じる男の悲哀感も素晴らしい。また2人の姿を見続けた(娘)きくの揺れる思いが最後になって物語を大きく動かす。
監督はマキノ雅弘。リメイク作品として脚色し、所々に夫婦、家族、使命としての仕事の要素を強く取り入れ、観る人に日本のあるべき姿を残した。特に人の細かい情や位置の演出には、強さと優しさが滲み出ている。人物を生かす構図も上手い。

物語の動く後半…、有る出来事から病床での長い場面に差し掛かる。両者のその思いの深さに涙し、その後 託した舞台に再び涙、父への思いにまた涙と、ただただ涙が続く。
マキの監督の映画は初めてかもしれないが、心に重いものを乗せてくる何とも言えない「シャシン」を作る監督だと強く思った。

物語はお盆の京都で終わる。

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星組

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